夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

漳州窯 明末呉州染付 鳳凰文大皿

2022-12-24 00:01:00 | 陶磁器
我が家の毎年恒例の今頃の話題は「サンタさん」・・・。お風呂場では3人でサンタさんの仮装大会。



さて漳州窯の作品は約400年前の中国明時代末頃で中国の南の福建省で焼かれた輸出用磁器です。その漳州窯に作品では呉州赤絵・青絵、餅花手が人気が高く、染付の作品は意外に評価が低いようですが、染付の作品では呉須の発色も良くのびのびとした筆使いは魅力あふれるものです。



玄関に置いてある庭にあったというケヤキの木の根で作った衝立とテーブルに飾っています。



漳州窯 明末呉州染付 鳳凰文大皿
誂箱入
全体サイズ:口径373~384*高台径177*高さ75~85



漳州窯の染付の作品の魅力は筆遣いがのびのびしていることと、その発色にあります。呉須の色の青が薄いものはやはり評価が下がります。



径38cm近くある大皿ですが、デザインは真中に鳳凰が描かれその頭上には太陽が描かれ、外周には区分けされた中に図案化された竹、梅?、桃の絵が描かれた吉祥の大皿です。

輸出用に量産化されたためででしょうが、漳州窯の作品の多くの作品はパターン化されたデザインのものが多いようです。


ところで中央の鳥は鳳凰、または朱雀・・・?? 鳳凰と朱雀は実は両者は似て非なるもののようです。鳳凰は四霊のひとつですが、朱雀は四神のひとつというもののようです。この図柄は呉須染付の定番の図柄ですね。



鳳凰は中国の「四霊(古代中国の『礼記』に記される霊妙な四種の瑞獣のことで、応龍、麒麟、鳳凰、霊亀のこと)」のひとつで、「平安」を表し、360種の鳥類の長とされる存在です。その姿は五色絢爛に輝き、飛べば郡鳥がそれに従うため、鳥王と呼ばれました。鳳は雄を、凰は雌を表し、一緒になって愛の象徴になる、とのことです。 また、鳳凰は、死者の魂を迎え、天上へと運ぶ役目を担っているとされています。 

朱雀は、古代中国で天の四方を司るとされていた霊獣「四神(玄武、青龍、白虎、朱雀のこと)」のひとつで、南方を司る聖なる鳥のことです。鳳凰の眷属
(血筋のつながっている者)で、五色の音色で鳴き、体もまた五色に彩られたウズラのような姿をしているそうです。 その翼は災厄を祓い、福を招くと伝えられています。 



ところでこの時代に景徳鎮窯で量産されたのが古染付です。

古染付:中国の明朝末期に景徳鎮窯で焼かれた粗雑な染付磁器。古染付の呼称は、日本で近代になってからつけられたもので、江戸時代には南京染付のなかに含められていた。古染付は2種に大別される。その一つは碗、皿、鉢などの日常食器であり、造りは薄手で、見込にはいかにも飄逸で軽妙洒脱な絵模様が描かれているのが特色です。そしてもうひとつがこの絵画風の文様に魅力を感じた江戸初頭の茶人が、好みの茶道具に絵付させて新味を得ようと、景徳鎮窯に水指、花生、向付、鉢、香合などの焼造を注文し、その結果つくられたのが、粗厚で風韻のある古染付です。後者は明の天啓年間(1621~27)に優品の多くが焼造され、天啓染付、天啓赤絵、南京赤絵と派生しています。



この景徳鎮窯の古染付の作品群と漳州窯の染付作品とを混同してはいけませんね。



ともに大皿もありますが、一般的に古染付には少ないようです。



縁の虫喰いや僅かなホツがあるようですが、ニュウ、補修なく、この手、この時代の皿ではとても良い状態です。

*虫喰いを補修した作品もみかけますが、かえってマイナス評価となるようです。



口縁が反っている作品が高級品とされます。



高台は特徴の一つ砂高台で所々胎土が見えます。丁寧に作られた作品は高台内の釉薬を拭き取ったりしていますが、かえって自然のままのほうが野趣に溢れています。



虫喰いや砂付き高台は時代が下がって清初になると少なくなるようです。釉薬の安定性などが良くなりますが、作品の魅力は半減となり、評価金額も格段に落ちてしまいます。



玄関には福田豊四郎の展覧会の出品作と一緒に飾っています。。



漳州窯の染付の作品は本ブログにていくつか紹介されていますが、下記の3作品はその代表例です。

漳州窯 明末呉須染付 蓮池水禽文様大皿 その3
割補修跡有 誂箱
全体サイズ:口径360*高台径*高さ72



漳州窯 明末呉須染付蓮池水禽図大皿 その2
杉古箱入
全体サイズ:口径373~384*高台径*高さ75~85



ちなみに上記作品の題としている「蓮池水禽図大皿」は漳州窯における明末呉須染付において定型化された最もプピュラーな図柄であり、下記の作品が「なんでも鑑定団」に出品されています。

*ただし上記の「蓮池水禽図」は特異な図柄と言えます。

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なんでも鑑定団出品作(2018年3月6日)


評:17世紀、中国明王朝の後期から末期までの福建省南部の漳州窯で焼かれたもの。ほとんどが当時の中国の主要な輸出品のため大量生産で粗製乱造。普通コバルトの青色がもっとねずみがかってくすんでいる。

見込が蓮池水禽、蓮の花の池に水鳥が遊んでいる。周りが八窓、八つの窓に草花文を散りばめている。典型的な明の文様。裏行がまた良い。焼く時に癒着を防ぐために窯に砂を撒くので皿の裏に砂がたくさん付く。依頼品は綺麗にそぎ落としてあり、高台に付いているだけ。おそらく寺院や有力武家の注文品だったのだろう。

評価金額:250万円

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「普通コバルトの青色がもっとねずみがかってくすんでいる。」というように呉須の発色を評価のポイントとしていますが、評価金額はなんと250万円ということであり、これはさすがに法外に高い。下記のように補修跡はあるものの当方にもこの図柄の作品は多々あります。



サイズもいろいろ・・・。



ポピュラーでない図柄で出来の良い発色ならまだ評価が高いのは解りますが、いまはインターネットで数多くの漳州窯の作品が市場に溢れています。

蒐集するなら図柄と発色良いものにしたほうがいいでしょう。

当方の他の所蔵作品には下記の作品もあります。

漳州窯 明末呉須染付 蓬莱山図大皿 その3
杉古箱入
全体サイズ:口径387~391*高台径185*高さ80~85



下記の作品らは景徳鎮窯と思われます。所謂、古染付系統・・。

景徳鎮窯 明末染付山水人物文様芙蓉手大皿
口径312*高さ58*高台径172



景徳鎮窯 古染付芙蓉手人物文輪花大皿
口径410*高さ65



景徳鎮窯の染付も多種多様ですが、やはり昆虫類が中皿や小鉢にパターン化されています。



当方でさえかなりの数の明末の染付の作品があります。明末の染付は中国の染付の最後の佳品群でありながら、日本にしかないので染付の入門編のような作品群でしょうね。











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