夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

掛け軸 改装などのメンテ完了作品 野口幽谷

2020-04-16 00:01:00 | 掛け軸
最近のテレビ放送番組は再放送が多いのですが、再度録画で観たのがNHKのBS放映の「江戸あばんぎゃるど アメリカ人が愛した日本美術」の番組です。海外の蒐集家が日本の作品を蒐集し、それらを特集してまとめたものです。日本人より日本の美を理解している人が海外に多いことを改めて痛感させられました。



さらにはガラス越しの鑑賞を乗り越えて自然の光の下で作品を鑑賞する観点からの特集は日本人が忘れていた美を改めて感じました。美術館でのガラス越しの鑑賞では日本画の作品のいい点はほとんど解りません。日本の美術館ではガラスに近づくとすぐの注意されるのが落ちですが、日本画の作品は直に触れなくて良さはまったく解りません。その点が私は蒐集に食指を動かす大きな理由です。



屏風を飾るスペースもなくなり、さらには掛け軸さえも飾るところが無くなっています。外国人のほうが日本の作品をより多く愉しんでいる様が奇異に感じられました。本来は日本人のほうが感性が豊なはずなのですが・・。

番組に出ているような名品ばかりを相手にする必要はまったくありません。いい作品はそこら中にごろごろしています。今こそ日本画の美を見直す時期のように思いますが、まずは住居環境を変える必要があります。都会のマンションから飛び出る必要があるでしょう。一律化された高級マンションの間取りなど「くそくらえ!」という気概が必要ですね。



さて最近改修した掛け軸の作品の第2作品目の紹介です。今までに幾つの作品の表具を修正したかはわかりませんが、まだまだ道半ば・・・。

今回の作品は簡便な紙表具の状態で入手した作品で、下記の写真が入手した状態です。千円、二千円の価格だったと思います。

狼聲野月図 野口幽谷筆 
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 益頭峻南所蔵 箱なし 
全体サイズ:横820*縦1930 画サイズ:横630*縦1370



なんとも不気味な作品・・・、そもそも所蔵しておくかどうかさえ迷う作品ですね。きちんと表具すると作品が蘇ります。



大きな作品ですから、表具をやり替えるにしても費用が結構かかりますし、印章のみの作品ですので評価をそれほど高くはないかもしれませんが、特異な雰囲気を持った作品なので思い切って表具し直しました。



虫喰いもきれいに補修され、見ごたえの作品となりました。不気味ですが・・。



所蔵者が巻止に記されてあることなどから、依頼して即興的に描かれたものかもしれません。巻止にあった書付は箱の蓋の裏に張り付けておきます。



収納する箱も誂えておきます。

 

同時に入手した作品が下記の作品ですが、本作品との関連瀬は解っていません。サイズから双幅ではないようです。

月鴉図 野口幽谷筆 
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 益頭峻南所蔵 なし 
全体サイズ:横502*縦2000 画サイズ:横306*縦1360



この作品も表具し直すかどうかは保留中です。前述の番組の作品とは比べようがありませんが、この程度の作品は市場にごろごろと打ち捨てるような値段でたくさんあります。



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