夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

墨竹叭々鳥図 榊原紫峰筆 その4

2017-10-31 00:01:00 | 掛け軸
少しづつ家に伝来してきた漆器類を整理しながら、修理するものなどは自宅に持ち帰り、予算の範囲内で直してきました。男の隠れ家に戻す段取りをして、展示室の片隅に寄せておいたら、結構がさばってきました。



漆器類は基本的に積み上げてもいいように保存箱を誂え、その保存箱を風呂敷で包み、名札に写真を付けて作品がなにであるか解るようにしておきます。

骨董類は箱を開けずに中身が解るようにしておくことが肝要です。箱をいちいち開けてみないと中身がわからないと破損する可能性が高くなります。また扱いに不慣れな人が箱を開けると仕舞い方が雑となり、作品を傷めることになりかねません。

念のために多少の乱暴な扱いでも中身が壊れないように箱の中の作品はクッション性を持たせておくことも寛容です。

このように整理した作品が貯まってくると「ガラクタの山」と称する・・・

後世に遺すべき痛んだ作品は、きちんと修理すべきですが、本日もそのような作品の紹介です。

墨竹叭々鳥図 榊原紫峰筆 その4
紙本水墨軸装 軸先木製 共箱
全体サイズ:縦1450*横455 画サイズ:縦270*横235



榊原紫峰は初期から晩年まで花鳥画一筋の生涯でしたが、最晩年には、古典的水墨画の世界に通じる、ほとんど墨一色による森厳な境地を拓いています。



インターネットオークションに出品されていましたが、5万円ほどで落札しています。買い得か否かは解りませんがね。なにしろ改装代金が加算されます。

「叭々鳥」については何度も本ブログに記載していますので、説明は省略しますが、実によく描けています。家内も「好き!」と・・・。



本作品は表具がかなり痛んでいましたし、軸先は他に転用されたのか取れて無残なことになっています。改装しなくてはいけませんが、打ち捨てておくにはもったいないと思い、購入しました、箱の作りから二重箱になっていたと思われます。どうしてこのような扱いになるのか不思議です。



下記の写真は本作品と他の所蔵作品「孟宗叭々鳥之図」の箱書との比較です。



印章の検証は下記の資料によります。

参考作品 その1
雪中柳鷺図
思文閣墨蹟資料目録 第453号 P46 作品NO22



作品中の印章は本作品と同一印章であることが解ります。

思文閣の「墨蹟資料目録 和の美」は非常の資料的に有意義な冊子ですが、500号からは資料的な役割のない編集になってしまったのはとても残念です。

 

箱書からも同一時期の作ではないかと推察されます。

 

同じような構図の作品には下記の作品があります。このような資料を記憶しておくと、真贋に対する感性の手助けになります。

参考作品 その2
竹雀図
思文閣墨蹟資料目録 第468号 P20 作品NO9



水墨画の可能性を感じ入る作品となっています。このような作品を好きだということが記憶につながりますね。



紫峰は初期から晩年まで花鳥画一筋の生涯でしたが、最晩年には、古典的水墨画の世界に通じる、ほとんど墨一色による森厳な境地を拓いています。本日の作品も色紙の大きさながら、画家の力量、精神性が高く評価される作品だと思います。

当方ではそれほど上等な表具はできませんが、改装してきちんとしておこうと思います。またまたがさばるのかな





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。