
真贋は不明なれどひとつかふたつくらいは手元にあってもいいと入手した「俑」の作品ですが、送られて届いた作品は大きく破損していました。
輸送中に毀れた作品 加彩武人俑
合わせひとみ箱
像サイズ:高さ560*幅190*奥行き180


以下は送られてくる前の作品の状態の写真です。


飾っておくのには見栄えがいいようなので入手しました。

いろんなところに見どころ満載・・。

中国では後漢時代から唐時代にかけて、有力者の中・大型墓に甲冑を身に着けた加彩陶の武人俑を副葬することが流行したようです。

盛唐期の8世紀前半に流行した加彩武人俑は、見栄を切るような大げさな表情、躍動感のある姿態、さらに、装飾性の強調された甲冑などに特徴があるとされます。

武人俑は、墳墓の守護者として副葬された鎮墓像で、墓主の死後の世界での安寧を護る大切な役割を担っていました。

左手の掌を胸前に突き出し、右手は腰前にあり、片足を上げて腰をぐっとひねって力を込めています。

魔除けの怪獣のようにも見えます。陝西省長武県張臣合墓(668 年)から大きさ・造形ともによく近似する作例が出土しており、真作ならほぼ同時期かやや下る7世紀後半~ 8世紀初頭の作品であると考えれます。

武官俑と一対で用いられており、武人俑も同様であったと考えられます。

足元には角のある牛や鬼(牛頭の邪鬼 ?)のようなものがいて、足で抑えつけられています。

この手のものは非常に脆く、壊れた状態のものも数多くあるようです。


同じような作品で有名なのは下記の作品らです。
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参考作品 その1 九州国立博物館蔵
加彩武人俑
幅24.5 奥行13.0 高75.5
中国にて出土地:中国出土 中国・唐時代 8世紀 加彩土製
このような作品は完品というより、壊れたものを修復している作品が多いと推察されます。

解説:筋骨たくましい堂々とした体躯で、岩座の上の仰向けに転がる牛頭の邪鬼を力強く踏みつける。兜は頂部に翼を広げた鳳凰の大ぶりな飾りを、正面には雲頭形の飾りをもつ。左右の火焔形の護耳には、赤・黒・緑などで唐草文と思しき文様が描かれる。鎧の腹部には宝相華を中心とする文様が彩色され、肩部に龍頭を象った飾りを施す。中国では後漢時代から唐時代にかけて、有力者の中・大型墓に甲冑を身に着けた加彩陶の武人俑を副葬することが流行した。なかでも盛唐期の8世紀前半に流行した加彩武人俑は、見栄を切るような大げさな表情、躍動感のある姿態、さらに、装飾性の強調された甲冑などに特徴がある。同様の特徴をもつ本作も盛唐期の比較的遅い時期に製作されたものと考えられる。
参考作品解説 その2 天理参考館蔵
白陶加彩武人俑 中国 唐(7世紀後半~8世紀初頭)
高75.1cm

解説:甲冑を身につけて兜鍪(とうぼう)を頭にかぶった猛々しい武人俑です。素焼きの陶製で、表面には白化粧を施した上で岩絵具を用いた彩色が描かれています。甲冑は造形・彩色ともに細やかに表されており、写実的な表現といって良いでしょう。背部分には現在も比較的良好な状態の彩色が残されており、制作当時の華やかな姿を今に伝えています。この武人俑は、墳墓の守護者として副葬された鎮墓像で、墓主の死後の世界での安寧を護る大切な役割を担っていました。左手の掌を胸前に突き出し、右手は腰前で握りしめ、両足は肩幅に開き腰をぐっとひねって力を込めています。全身の筋を引き締めたような緊張感を感じさせる造形で、眉間に力を込めて前をきっと見据える表情と併せて、墳墓に侵入する外敵を威嚇するのに十分な表現といえるでしょう。肩甲の獣頭も恐ろしげな風貌を見せ、これそのものが魔除けの怪獣のようにも見えます。陝西省長武県張臣合墓(668 年)から大きさ・造形ともによく近似する作例が出土しており、ほぼ同時期かやや下る7世紀後半~ 8世紀初頭の作品であると考えて良いでしょう。また、同墓では武官俑と一対で用いられており、武人俑も同様であったと考えられます。
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いずれにしても現代では中国から出回ることはなく、かなり前に日本にあったものとでないといけませんね。
さて愉しみしていた梱包をあけてみると・・。下部のところで真っ二つに破損していました。

発送先に連絡したところ発送先(売主)では責任がとれないとのこと、運送した郵便局も保証できないとのこと。意外に高価なものなのにどうしようもないことになりました。しまいには売主からは到着してから割ったのではと疑われる始末で、郵便局は梱包が悪かったとの一点張りです。なんとか交渉して購入した金額の三分の一を購入先から返金してもらいました。なんとも後味の悪い結論です。発送先も郵便局もまったく誠意にない対応には正直なところ驚きました。今までにないことなので対応の悪さにはびっくりしています。

四苦八苦のあげく、返金された金額を充当して、こちらで伝手のある職人の方に修復を依頼しました。

ちょっと時間がかかりましたが、ほとんど修復の跡が残らないようにうまく修理されてきました。

この手のものは技法的には、いくつかの部分に分けて型で作り、それらを合わせて全体の形を整え、窯に入れて焼き上げたもので、全体に白化粧をしてから、朱、緑、さらには「加彩馬庸」などには一部に金彩など数種の顔料を使って細かく彩色を加えている作品もあります。

模倣作品なのかなどの真贋は当方には皆目見当がつきませんが、なかなか良くできています。

いくつかの部分に分けて型で作っていますが、その接合は非常に脆く、焼成温度も低いので、毀れると容易には修復不能ですね。

ともかくボロボロになります。

今回は破損した部位が少なかったことが幸いでした。

頭上には鳥の冠・・・。

上下ともに顔の表情が面白い作品です。

この顔の表情が本作品の見どころですね。

毀れた部分の色の合わせ方がうまくできています。

胸にある金彩がいいですし、金彩が残ってある作品は珍しい。

立体的な部分が破損していないのもいいですね。

このように古く見せる模倣品もあるのでしょうか??

まずは見事な修復の腕前です。

非常に脆い作品なので、万全を期した保管にしておきます。

横にした状態で地袋の棚に保管します。

はてさて気軽に飾れない作品・・・。