
掛軸にしろ、額の作品にしろ、陶磁器にしろ、空間というものが大切なのだろうと思います。
掛け軸をガラスの中に飾られたずらりと並んだ作品を美術館で観ても意外につまらないものです。床の間のような空間で不思議と作品はその魅力を発揮します。
額の作品も同じで多くの作品を壁に並べて飾られても・・、陶磁器もガラスの向こうに並べられても・・・。飾る空間を自由にできるのは所持することが必要となりますが、所持していても多くの方が飾る空間すら持たず、飾ることすらしないで、さらにひどいことに整理保管する空間すらないのは恥ずべきことでしょう。
さて恥ずべきことに、この作品は実は入手後に紛失してしまった作品です。
掛け軸から額装にするために、染み抜きして裏打ちするために表具師に依頼していたのですが、作業が完了して送られてきた際に、他の作品と一緒に段ボールの間に挟んで明記のないまま同封されており、うっかり養生材と一緒に廃棄してしまった作品です。
牡丹図 その4 平福百穂筆
絹本水墨着色軸装 軸先骨 合箱→額装に改装 誂:黄袋+タトウの予定
全体サイズ:横647*縦1495 画サイズ:横497*縦437

掛け軸の状態で入手したものですが、共箱ではありませんでした。

平福百穂は「牡丹」を好んで描いたようで、当方の他の所蔵作品にも下記の作品らがあります。
牡丹図 その1 平福百穂筆 昭和8年(1933年)頃
紙本着色小色紙 平福一郎鑑定書付 タトウ入
画サイズ:横181*横211

牡丹図 その2 平福百穂筆 昭和8年(1933年)頃
絹本着色軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:横1320*縦500 画サイズ:横365*横365



共箱でもないので額装にしようと思い、下記写真の額がいいかな?と用意していたのですが・・。

結局、染み抜きした作品を見ることもなく・・。明記のない段ボールに挟まっていたとは気が付きませんでした。てっきり養生用の段ボールだろうと思いました。

惜しいことをしました・・。数多くの作品をまとめて表具師に依頼しているために発生した初めての不慮の紛失・・。今後は最善の注意を払わなくてはいけませんね。