夜噺骨董談義

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忘れ去られた画家 中林竹洞 その2 澤番雉図 

2011-09-09 06:02:41 | 掛け軸
8月末に再婚いたしました。相手はコアラさんです。これからもよろしくお願いいたします。

中林竹洞の第2作目の投稿となります。

中林竹洞の絵は山水画が代表的で赤坂の料亭などにも掛けてあったことがありました。
なかなか山水画には私は縁がないようです。



南画というものはこのころになると一定の限界説のようなものが書物には書かれています。自由な南画というものが薄れ、士分などの一定の生活が安定した画家が描いてもそこに新の風流はないのではないかというものです。何物にも縛られず、自由な気風の南画こそが真の南画というもという意見です。その根底には池大雅らの自由な気風の南画家達がいます。

そのようにのちに評価された中林竹洞がこのような賛の作品を描いたこと自体が非常に興味深い作品です。



番である南画家というと誰あろう池大雅池玉蘭が思い浮かびます。



夫婦二人で自由なまま絵を描いた、まさしくこの二人を想定して描かれた戯墨と思われます。また、羨んで描いたのかもしれません。



澤番雉図 中林竹洞筆
絹本水墨軸装 軸先木製 合箱 
全体サイズ:縦1885*横380 画サイズ:縦110*横335

本作品は賛は「澤雉十歩一飲五歩一啄不追樊籠(とりかご) 東山隠士戯墨」



(沢辺の野生の雉は、十歩あゆんで僅かの水を飲み、五歩あゆんで僅かの餌をとるのだが、それでも籠の中で養われることを求めはしない。)。

印章は「成昌之印」と「字伯明」の朱方印が押印されている。



賛の引用は「沢雉十歩一啄、百歩一飲、不期畜乎樊中、神雖王不善也。」(荘子)の文で意味は「沢辺の野生の雉は、十歩あゆんで僅かの餌をとり、百歩あゆんで僅かの水を飲むのだが、それでも籠の中で養われることを求めはしない。(籠の中では餌は十分で)気力は盛んになるだろうが、心が楽しくないからだ。」です。

名古屋出身の画家では中林竹洞と山本梅逸が二大南画家と称されいます。

中林竹洞:安永7年生まれ、嘉永6年没(1778年~1853年)、享年78歳。

名は成晶、字は竹洞、東山隠士、沖澹。

名古屋の医者の子で、同地の山田宮常や神谷天遊に画を学び、27歳で京都に上り、南画を研究して、山水画に長ずる。

「竹洞画論」、「画道金剛杆」などの画論の書を著し、博学でもあった。兄弟弟子であった山本梅逸とともに、名古屋の二大南画家と称された。

子の竹渓を梅逸に預け弟子とし、精緻な写生的技法に優れた画家として大成し名をなした。

竹洞は中国の元、明の技法を究め、さらに京都にて諸派の画を研究した。南宋画的な絵よりも、色彩画の上品な味わいのある絵が竹洞の真骨頂といえる。

竹洞の作品は特に印象が強いわけではなく、画家としてそれほどの注目を集めていないのが現状である。しかし竹洞は『芥子園画伝』や『佩文斎書画譜』などの画論に精通していたのに加え、中国絵画を多く臨模して作画に活かしたことで、当時日本文人画の第一人者と称された画家であった。

日本の文人画家を論じる竹洞に注目すべきであるが、伝存作品、著作ともに多く、比較的容易にその精神に触れることができ、十九世紀の文人画を理解するためには最も適当な画家である。そして何よりも真理を探求し、軽佻浮薄に流れない竹洞のストイックな生き方は共感をよぶ。

中林竹渓の作品は後日、投稿しようと思います。

私見ではやはり南画は池大雅、浦上玉堂、与謝野蕪村、青木木米そして近年だと富岡鉄斎でしょう。


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2 コメント

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それはそれは (米吉)
2011-09-10 07:09:27
吉報に心より御祝い申し上げます。
おめでたき事この上なく、夫婦雉がお二人の姿と重なり、更に喜ばしい記念すべき日となりました。
今日は横浜二俣川の実家に、いただいた掛け軸を
飾りに来ています。納戸から壺を選んで配置したところ、とても良い感じでしっくりと上品に納まりました。
米寿の母親も床の間に対座し、よかよか!ほんによか!と喜んでおります。
楽しいこと、喜ばしいこと、嬉しいこと、可笑しいこと、感動することって何度あっても良いものです!
おめでとうございます!そして、ありがとうございます!
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床の間 (夜噺骨董談義)
2011-09-10 10:54:20
ありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。

そうですか、実家の床の間に飾っていただけましたか。
ご母堂様も気に入って頂けたならよかったです。かえって、気に入らない掛け軸ならご迷惑かと心配しておりました。
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