夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性の分からぬ作品 古信楽? 糸瓜形桧垣文花入

2023-09-01 00:01:00 | 陶磁器
男の隠れ家にあった揃いの食器。前にも整理した中に下記のような大小の揃いの食器がありました。それほど古いものではありませんが、揃いで遺っていたので東京で普段使いにしよかと持ち帰ってきた作品です。

伊万里 捻八角草花文錦手大小鉢 (大20客揃:小30客揃い)
房右衛門造 合箱入 
大:20客 幅150*奥行137*高台径69*高さ64
小:30客 幅80*奥行75*高台径38*高さ40



男の隠れ家の食器を整理していたら、さらに「中」と思われる同じ食器が出てきました。



ともかく男の隠れ家にはあちこちにいろんな作品があって、さらに同じものがあちこちに散在していますので、整理に往生しています。



さて本日の作品紹介ですが、本ブログでときおり紹介してしてきた古信楽は素人では判断が難しい分野のひとつのようです。

その中でも特に「蹲」と称される小さな花入は贋作や模倣品も多いので特に難しくなっているようです。当方では基本に立ち返り、使って面白うそうな作品に予算が合えば入手することにしています。



現在は要はあまり高価な作品には手を出さずに楽しめる作品を、という事です。



本日の作品もそのような思いから入手した作品です。

氏素性の分からぬ作品 古信楽? 糸瓜形桧垣文花入 
合杉箱入
作品サイズ:口径55*最大胴径135*底径69*高さ214 


「伊賀焼」とされていましたが、おそらく「信楽」でしょう。伊賀焼と信楽の判別も難しいとされていますね。


口作りは「蹲」特有の二重口となっています。ここに縄をかけてぶら下げるためとか、蓋をするためとかの説がありますが、実際に縄のかかる程度のものでないものは贋作とされるようです。この作品はやや中途半端か?

下記の「蹲の口作り」の内容はすでに当方のブログに掲載されている記事です。

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蹲の口作り:蹲の口は特徴的なものといえる。段が入り二重口といいます。現代作品ならば装飾かもしれませんが、当時はこの二重口が必要だった理由があります。

蹲はもともと日用雑器であり、乾燥させた穀物を貯蔵したら首に縄を巻き付け、そのまま背負って運ぶこともあれば、吊るして天日干ししたとも言われます。縛ればまとめて小壺を運ぶことも出来たでしょうし、吊るせば穀物を狙う鼠などの害を避けられます。または木蓋をして縄をくくり付けるためのものという説もあります。しかしその用途であれば、四耳壺(しじこ)や茶入に見られるような「耳」の方が縄をくくり付けやすいでしょう。縄を締めずとも二重口が取手になって持ちやすいです。

いずれにせよ実用性を重視した作りになっているのは確かなようです。そして実用的な二重口は、口縁部の装飾としても美しく口縁部にメリハリが出ます。

紐をしめて運び、また壺を吊るしている中世の人々を想像しながら選ぶのも楽しい器です。

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胴の上部には檜垣文。上下の輪線が先に描く方が多いようです。檜垣文は一種の魔除けとされますが、この檜垣文の有無でだいぶ評価が違うとされています。



下記の桧垣文についての記事も他の作品で掲載されています。

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檜垣文:作品の肩回りには二本の平行線の中に「×」印が刻まれています。こうした模様を檜垣文(ひがきもん)といいます。不揃いですがヘラ目に勢いがあります。檜垣文は室町時代の作に多くみられます。その後は次第になくなっていった文様です。ただ現代作品にはよく見られる装飾で、信楽の1つの特徴的な文様といえるでしょう。

檜(ひのき)で作った垣根の形にちなんでこう呼ばれます。なお、檜は香りもよく高級木材として知られます。また檜を神聖視する習慣もありますし、垣根は居住空間を外敵から守るものです。よって檜垣文は当時の人々の神聖なお守りであり、無病息災や魔除け、安全・豊作祈願の思いが込められていたのかもしれません。

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蹲の特徴には下記のものが上がられるそうです。
・内側は驚くほどなめらかに仕上げられている。
(本歌の証?)
・高台は下駄をはいているものがある。
・桧垣文のあるものは評価が高い。
・口は二重口



なお桧垣文には思いきり勢いのあるものと丁寧に掻かれたものがありますが、窮屈な掻き方は贋作に多いようです。



ともかく糸瓜? 粽型のこの作品は面白い・・。



底の写真は下記です。



なんとも氏素性の分からぬ作品。



ま〜、使うには支障がないでしょう・・・・。











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