彼女のことを書くのは、初めてだろうか?記憶に無いのは、特別に印象が強い女性でないからである。それでも、何故か彼女の母親も父親も、彼女の事を語る時、「あの子の結婚だけが気懸かりで」とか、「まだ一人だから」と言ってこちらの様子を窺うのである。
勿論、本人がローティーンの時から顔馴染みであるので、厭な気はしないのだが、何度聞いても特に心が動く訳でもない。と言えば、よっぽど外見上魅力の無い娘に思われるかもしれないが、違うのである。日本人の美意識からすると、彼女はドイツ人にしては珍しい美人らしいのである。
それを分析すると、次のようになる。ドイツ女性の顔立ちからして、鼻高く、目は大きく、眼窟が深くとの傾向があるが、その中でも面長の瓜実顔で、目元も日本美人だと言うのである。それは何も一概に一重瞼で切れ長の浮世絵美人を指すのではない。ある日本人男性は、それを明確に定義した。彼によると、眉毛と目との距離が肝心と言う。つまり、目の上が迫っているとキツイ女に見えて、開いていると優しく見えると言う結論である。福笑いを考えて欲しい。それでもあまり開き過ぎるとそれはそれで 間 が 抜 け る と彼は言い切った。
なるほど、考えた事も無かったし、あまり気にならないので、気が付かなかったのだが、言われてみればその通りである。確かに中世の日本美人はお歯黒にして、眉を上の方に描いていたような。その基準からすると上の彼女は日本の誰が見ても美人となるらしい。しかしこうして書きながらも、彼女の目元が脳裏に浮かばないほど印象が弱くていけない。
こうした評価を一度、彼女の母親に話したものだから尚のこといけない。どうも日本人には特別な美人と思われている事にその時以来なったようだ。母親も「私も若い時は娘とそっくりだったんだよ。」と図に乗る。父親は、十年ほど前に大病して、昨年も手術を受けた。経過も良くまだ若いので、見た目は元気そうだが、不安が募るのだろう。
隣接する家が壊された後の敷地に新築の家を建てた。地下付き三回建てで、屋上庭園まで入れれば総床面積500平米ほどになる。立派なものである。大掛かりな建造なので施工は知っていたが、施工主が誰かは知らなかった。父親は、その家を案内すると言い出して、全てを見せてくれた。完成まで八週間ぐらいと見込んでいるから、内装はまだ何も出来ていない。特に娘の所有となるアパートメントでは、ここに何々が来るとか言って詳しく説明した。自慢の階段の横に張られるデコレーションの砂岩の原石を示し、屋上庭園の贅沢な眺めも見せてくれた。
あまりの投資の大きさに、驚きを伝えると、これは財築投資と違って趣味だからと満足そうに答える。今後の事も考えているんだとも。また、なにやらこちらの仕事の具合まで質問されて、まるで娘本人の居ないお見合いみたいである。現在は元気に働いているにも拘らず父親が少し弱音を見せた様で忍びない。築完成の暁には、シャンパンでも開けようと言う事にした。
こうして綴っていても、長女の彼女の姿があまり浮かばない。決して影が薄い女性ではないのだが、何となく際立つ個性のイメージが無いのである。すると彼女は、やはり典型的な日本美人なのである。
勿論、本人がローティーンの時から顔馴染みであるので、厭な気はしないのだが、何度聞いても特に心が動く訳でもない。と言えば、よっぽど外見上魅力の無い娘に思われるかもしれないが、違うのである。日本人の美意識からすると、彼女はドイツ人にしては珍しい美人らしいのである。
それを分析すると、次のようになる。ドイツ女性の顔立ちからして、鼻高く、目は大きく、眼窟が深くとの傾向があるが、その中でも面長の瓜実顔で、目元も日本美人だと言うのである。それは何も一概に一重瞼で切れ長の浮世絵美人を指すのではない。ある日本人男性は、それを明確に定義した。彼によると、眉毛と目との距離が肝心と言う。つまり、目の上が迫っているとキツイ女に見えて、開いていると優しく見えると言う結論である。福笑いを考えて欲しい。それでもあまり開き過ぎるとそれはそれで 間 が 抜 け る と彼は言い切った。
なるほど、考えた事も無かったし、あまり気にならないので、気が付かなかったのだが、言われてみればその通りである。確かに中世の日本美人はお歯黒にして、眉を上の方に描いていたような。その基準からすると上の彼女は日本の誰が見ても美人となるらしい。しかしこうして書きながらも、彼女の目元が脳裏に浮かばないほど印象が弱くていけない。
こうした評価を一度、彼女の母親に話したものだから尚のこといけない。どうも日本人には特別な美人と思われている事にその時以来なったようだ。母親も「私も若い時は娘とそっくりだったんだよ。」と図に乗る。父親は、十年ほど前に大病して、昨年も手術を受けた。経過も良くまだ若いので、見た目は元気そうだが、不安が募るのだろう。
隣接する家が壊された後の敷地に新築の家を建てた。地下付き三回建てで、屋上庭園まで入れれば総床面積500平米ほどになる。立派なものである。大掛かりな建造なので施工は知っていたが、施工主が誰かは知らなかった。父親は、その家を案内すると言い出して、全てを見せてくれた。完成まで八週間ぐらいと見込んでいるから、内装はまだ何も出来ていない。特に娘の所有となるアパートメントでは、ここに何々が来るとか言って詳しく説明した。自慢の階段の横に張られるデコレーションの砂岩の原石を示し、屋上庭園の贅沢な眺めも見せてくれた。
あまりの投資の大きさに、驚きを伝えると、これは財築投資と違って趣味だからと満足そうに答える。今後の事も考えているんだとも。また、なにやらこちらの仕事の具合まで質問されて、まるで娘本人の居ないお見合いみたいである。現在は元気に働いているにも拘らず父親が少し弱音を見せた様で忍びない。築完成の暁には、シャンパンでも開けようと言う事にした。
こうして綴っていても、長女の彼女の姿があまり浮かばない。決して影が薄い女性ではないのだが、何となく際立つ個性のイメージが無いのである。すると彼女は、やはり典型的な日本美人なのである。