朝六時過ぎにチューリッヒへ向けて出発して夜の九時過ぎに戻って来た。予定では何処かで一泊する予定であったが、予定が狂い無駄足となった。本日は特に高騰していて燃料だけで90ユーロ以上で、キロ80セントの車両の償却を考えると500ユーロ以上の損失である。
仕方ないのでその近辺での用件を急遽アレンジしたが一軒しか用を足せなかった。多い時は年に三十日ほど通った町でもあるが、用事があると全く時間が無いので、シャッフハウゼンのラインの滝やらは未だ嘗て見学した事が無い。ワインの栽培地を通り過ぎてそこへと向うが、ボーデン湖のコンスタンツへと向うのと殆んど変わらないので失望する。そこのワイン産地へは初めて足を踏み入れた。しかし滝の場所では雨足も強かったので車から降りずに、バスの観光客を眺めて、河を越えてシュヴァルツヴァルトへと向う。ブライスガウ方面へと向う最短距離をナヴィゲーションさせたので、土地勘があると云っても初めての細い谷を走行する。
ドイツと云ってもシュヴァルトヴァルトは、まるでスコットランドか何処かのように辺境な感じがするのが良い。ドナウエッシンゲンを越えてからフルトヴァンゲンへの谷は雪も残っていてなかなか趣があった。ハイテクの研究機関がこの町に存在しても、元々のこの町の生活感や気質は今でも変わらない。
そこからエルツタールの方へと降りて行く途中の谷下りはお馴染みなのだが、岩肌を巻いて緑の草原の谷へと一気に落ちて行くのが素晴らしかった。スイスからこの山域の山道を走り出して、独特の空気感に気が付いていたが、嶺の反対側の谷に入ると尚の事この感興は強くなる。山間の冷たく湿った空気の淀みは、何かの力を以って、心理的に襲い掛かり、そこに住む人々の気質や文化を明確に形作っている。家畜が人間と住む大きな屋台組みの伝統的な家々は、実用から生み出されたのだろうが、家畜ばかりか親子代々が同じ屋根の下に住む大変珍しい家庭形態が今でも継承されている。アルプスの谷の農家とはその規模と繋がりが違う。
それにしても、この土地と繋がりの無い亡き友人の事が急に思い出されて、尚且つ一時間も経たないうちに、違う会話の中でその友人の埋葬風景を詳しく語らなければいけなかった状況は不思議である。そこへ引退した郵便配達人の常連の客が葬式から黒ネクタイで入って来た。この地域は強力なカトリック圏で、家畜の堵殺を含めた生き死にが日常に確りと根付いている。このまるで地霊のような強力な環境の力は、丁度林檎の花などが咲き乱れる緑の谷を縛り付けているが、この正体が一体何なのだが未だ解らない。この地理的空間は、丁度哲学者ハイデッガーの生まれ故郷から、後年の山荘そしてフライブルクの勤務先との間にスッポリと挟まれている。
参照:土地に根ざした生活 [ 生活・暦 ] / 2006-04-29
仕方ないのでその近辺での用件を急遽アレンジしたが一軒しか用を足せなかった。多い時は年に三十日ほど通った町でもあるが、用事があると全く時間が無いので、シャッフハウゼンのラインの滝やらは未だ嘗て見学した事が無い。ワインの栽培地を通り過ぎてそこへと向うが、ボーデン湖のコンスタンツへと向うのと殆んど変わらないので失望する。そこのワイン産地へは初めて足を踏み入れた。しかし滝の場所では雨足も強かったので車から降りずに、バスの観光客を眺めて、河を越えてシュヴァルツヴァルトへと向う。ブライスガウ方面へと向う最短距離をナヴィゲーションさせたので、土地勘があると云っても初めての細い谷を走行する。
ドイツと云ってもシュヴァルトヴァルトは、まるでスコットランドか何処かのように辺境な感じがするのが良い。ドナウエッシンゲンを越えてからフルトヴァンゲンへの谷は雪も残っていてなかなか趣があった。ハイテクの研究機関がこの町に存在しても、元々のこの町の生活感や気質は今でも変わらない。
そこからエルツタールの方へと降りて行く途中の谷下りはお馴染みなのだが、岩肌を巻いて緑の草原の谷へと一気に落ちて行くのが素晴らしかった。スイスからこの山域の山道を走り出して、独特の空気感に気が付いていたが、嶺の反対側の谷に入ると尚の事この感興は強くなる。山間の冷たく湿った空気の淀みは、何かの力を以って、心理的に襲い掛かり、そこに住む人々の気質や文化を明確に形作っている。家畜が人間と住む大きな屋台組みの伝統的な家々は、実用から生み出されたのだろうが、家畜ばかりか親子代々が同じ屋根の下に住む大変珍しい家庭形態が今でも継承されている。アルプスの谷の農家とはその規模と繋がりが違う。
それにしても、この土地と繋がりの無い亡き友人の事が急に思い出されて、尚且つ一時間も経たないうちに、違う会話の中でその友人の埋葬風景を詳しく語らなければいけなかった状況は不思議である。そこへ引退した郵便配達人の常連の客が葬式から黒ネクタイで入って来た。この地域は強力なカトリック圏で、家畜の堵殺を含めた生き死にが日常に確りと根付いている。このまるで地霊のような強力な環境の力は、丁度林檎の花などが咲き乱れる緑の谷を縛り付けているが、この正体が一体何なのだが未だ解らない。この地理的空間は、丁度哲学者ハイデッガーの生まれ故郷から、後年の山荘そしてフライブルクの勤務先との間にスッポリと挟まれている。
参照:土地に根ざした生活 [ 生活・暦 ] / 2006-04-29