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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

断層を隔てて比較する

2006-11-07 | 試飲百景
初めての醸造所を訪問する。何度も試みながら機会が無かったので、先ずはそのワインを試すために前触れ無く訪れる。二三本を先ず持ち帰りゆっくりと自宅で試しても良かったのだが、そのような状況を話しているうちに、開いている瓶があるからと数種類のワインの試飲を勧められる。

友人のそのまた友人が、オーストリアから態々買い付けに来ていることやネットを通しての評判とは、質は高いが割安感があることと、日常消費品をそのブランドを使って積極的に販売展開していることであった。質の高さと後者の市場戦略は相反するように見えていたので、それも確かめたかったのである。

土壌による差異が良く表れていて、質の高さを示しているが、どうもその良さが香りと味に出ていると言うように、どちらかと言えば直接的な表れ方をしている。これが謂わば、単純なワイン農家のワインの美味さと、高級ワインの味の複雑さとの違いである。

丁度、その中間にあって、深みへと進まない代わりに飲み易さがあって、簡単に味を楽しめる割には奥行きがあるのである。当然のことながらグランクリュの味覚は多層的だが、減衰が早く楽しみが薄い嫌いがある。しかし、同じ地所で価格にして半額となると、文句など言えるものか。

さてお相手をしてくれた小父さんは、歴史に興味を持っているようで、その特にワイン栽培の歴史について話していると、どうしても隣町のカトリックのとプロテスタントのとの相違に言及するようになる。するとどうしても、未開なカトリック共同体と啓蒙されたプロテスタントと言う色分けになってしまう。

さらに興味深いのが、この間にある土壌の断層であって、そこで各々栽培される葡萄と出来上がったワインの質にも表れる個性である。それが、そこで実際に試飲するワインの比較でもある。

カトリック圏のワインの、その粘土質の土壌は養分を貯めやすく味わい深い。そのためどうしても鈍重な感じになるのである。プロテスタント圏のワインの、僅か二キロ程離れているだけであるが途中に断層があるので、その土壌は砂利質であって水はけが良い。だから軽快で明晰となる。

また前者の上部斜面には玄武岩層の激しい個性の土壌が浮かび上がり、また後者の下部斜面には肉薄な石灰質の土壌が飛び地となっていたりするのが、これまたおかしい。

以前はマンハイムにいて、そこの教会で夫婦揃って合唱を歌っているとのことで、マンハイムの高等音楽学校の宗教音楽の教授の話などをしながら、プロテスタント圏のワインの味比べもする。そこから、ルツェルン音楽祭東京引越し公演の高額入場料金とピアニストのマウリツィオ・ポリーニのギャラの話となった。お勘定は、カードが使えないので請求書は郵送で付けにして貰う。(試飲百景)
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