Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

透徹した眼力なくとも

2022-01-08 | 
お昼に速報が入った。来週からのベルリンのフィルハーモニーでのキャストが代わるとあった。復活祭でも演奏されるその準備のようなコンサート形式のオペラ「イオランタ」である。指揮もジルフェスタ―コンツェルトを休んだキリル・ペトレンコの復帰ということで注目されたが、主役のソニア・ヨンツェヴァがインフルエンザでキャンセルで、なんと急遽アスミク・グリゴーリアンが代役となった。

復活祭では、この二人にアンナ・ネトレブコが加わってロシア語歌唱の三大ソプラノの競演が目玉にもなっているので、ヨンツェヴァの再演とならないのは残念であるが、ペトレンコとの初共演とフィルハーハーモニーへのデビューが思いがけず三か月早まることになった。

そして、急遽の代役にフランクフルトでの2018年の新制作のプロフィールが出ている。つまりレパートリーとして比較的最近にも定着しているもので問題がないということだ。短い作品とはいいながら短期間に集中して練習するのだろうから、各人が準備していないと叶わない。

そのフランクフルトの公演には出かけていなかったのだが当時の評判などは覚えている。しかし、その舞台裏を使ったフィルム番組は観ていたのだが、新制作トレイラーは今回初めて観た。そこで興味深い作品への思いが語られている。一つには、亡くなった親父さんが共演したいとしていた作品で、二年ほど前に亡くなっているので叶わなかったのだが、父に捧げるとしたいところが演出設定から無理で、自分自身にと笑っている。そして、チャイコフスキーが最後に書いたオペラとしてリリックな声を考えているにも拘らずロシアンオペラの通例としてドラマティックな歌唱を求められるので、ちゃんとやらないといけないとしている。
Igor Strawinsky - Peter I. Tschaikowski: OEDIPUS REX - IOLANTA cf.3m19s

桂小金治ショー、誕生記念公演でお父ちゃんの故郷アルメニアの歌を披露
Asmik Grigorian - An Armenian song


まさしくペトレンコがヨンチェヴァを起用してやりたかったのはそのリリカルな味で、メトなどでも素晴らしい歌唱を聞かせている。そして、今回は大振りのフィルハーモニカーが演奏することからより、「マゼッパ」以上にそのペトレンコの芸術の妙とグリゴーリアンの絶妙の歌唱が期待されるところである。

確かにグリゴーリアンの歌唱のヴィデオなどはそうした配慮があるにも拘わらず、他の楽曲でのヴィデオと同様にこれといったものはまだ出ていない ― バイロイトのそれにしても決して本人の語る通り十八番ではないのだ。今回の急遽の出演にも拘らずフィルハーモニーでの演奏会形式での歌唱が決定的な記録になるのかどうか。そもそも作品自体が短く一晩の公演をこれで賄えるというものではないので、演奏会形式でそれなりの結果が期待されるところでもある。

歌手の舞台裏を扱った前記番組では、ベルリンでの「オネーギン」で父親の死のベットに通いながらの大きな転機になったとはあったのだが、フランクフルトでの舞台シックへの心理はあまり語られていなかった。しかし上の語りの様にアスミク・グリゴーリアンは可也の思い入れがあった作品だったのだと分かった。

人の深層心理を窺がうだけの透徹した目などはないのだが、なんとなく感じることは出来る。ラディオ中継も予定されていないが少なくともDCHの中継は購入すれば観れる。検査も何もなければベルリンにとんで出かけるところだった。



参照:
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