バムベルク交響楽団の先月の演奏会録音中継を聴いた。初めの30分超えのお目当てのエリザベート・クールマン引退歌唱の前半を流した。とても準備が出来ていて丁寧に歌っていて可也良かった。十八番を集めたものだと思うが、あの艶のある声を聴くと惜しいなと思う。アルトは難しい声域で中性的な声が多い。彼女もソプラノから専門の声域を落として来ていた。
元々はオペラ劇場で活躍していたのだが、ルールトレンナーレのデッカー演出キリル・ペトレンコ指揮「トリスタン」で不幸にも練習中に事故に遭って、その後はオペラから身を引いた。それでもペトレンコのベルリンでの就任演奏会の第九でアルトを歌った。
Elisabeth Kulman - Schlag auf Kehlkopf 2011
Tristan und Islode
Beethoven: Symphony No. 9 / Petrenko · Berliner Philharmoniker
密かにペトレンコ指揮での復活やバーデンバーデンでの出番を楽しみにしていたのだが叶わずで、MeToo騒動でも積極的に声を上げていたので様々な面での活躍も期待していたのだった。
同時刻帯にBBCでバーミンガムからの生中継が始まった。モンテカルロで振っている次期音楽監督山田が振る演奏会で注目された。山田の指揮は車中のラディオで聴かされることが多かったので、好印象は持っていたからだ。実際に途中から聴いた「ドンファン」でもよく管弦楽が鳴っていて、ラトル時代に生で聴いているそれよりもずいぶんと解放的になっていた。同時に雑な面に気が付く。
モーツァルトのアリアの前に舞台で本人の挨拶があって、後半のマーラーの交響曲四番では、BBCのラディオ3で支援されているエジプトのソプラノが前半に続き歌っていた。興味ある指揮はモーツァルトでも音楽的な魅力は発揮されていた。しかしマーラーとなると色々と管弦楽のバランスとかイントネーションのつけ方が、リズムの精緻さの結果として表れるのでどうしても端折ったアウフタクト感とかが、そのテムピ設定とは裏腹に表れてくる。これは管弦楽団の程度とは関係なく、例えば上のバムベルクでのフルシャは上手に振っていて感心した。
どこかで同じようなのを聴いたと思ったら大植のよりいきった指揮で、バイロイト祝祭劇場の「トリスタン」で初日から盛んにブーイングを受けたものだった。結局ブザンソンで優勝したそれも小澤以降最も優秀かもしれない指揮者でも乗り越えられない壁である。精々カールツルーのバーディッシェスシュターツテアターぐらいで数年修行をすればよいのだが、ああした一度華やかな場所で脚光を浴びた先代のネルソンズなどでも中々それが叶わずに将来性を暗くしている。特に日本の音楽家のそれを見ているとまるでカメとウサギの競争の様で、どんなに頑張っても追いつく先ではもう既にウサギは遠くに走り去っているというパラドックス。追うものが蛇行走行してどうするのだと思うことになっている。マネージメント会社にすれば即稼いでくればいいだけ。
月末の予定表。先ずは週末にザルツブルク音楽祭の申し込み。バイロイトのプログラムは来月初めに持ち越しなので待っていられない。週明けて26日水曜にはミュンヘンからの「ジュディッタ」録画中継、27日木曜エンゲル指揮2020年ドナウエッシンゲン音楽祭再放送、28日金曜にはベルリンからアロイスツィムマーマン、ルトスワウスキーやブラームスなどのショートツアープログラムのラディオ等での生中継 ― 裏番組のエンゲル指揮のフライブルクの卒業作品SWR演奏会は聴いていられない。またプライムシートでの無料ハイレゾ放送となる。それまでにもう少しNASを掃除しておきたい。
参照:
お前はアホかの今は昔 2019-08-25 | マスメディア批評
歓喜へ歌への対照と構成 2019-08-24 | 音
元々はオペラ劇場で活躍していたのだが、ルールトレンナーレのデッカー演出キリル・ペトレンコ指揮「トリスタン」で不幸にも練習中に事故に遭って、その後はオペラから身を引いた。それでもペトレンコのベルリンでの就任演奏会の第九でアルトを歌った。
Elisabeth Kulman - Schlag auf Kehlkopf 2011
Tristan und Islode
Beethoven: Symphony No. 9 / Petrenko · Berliner Philharmoniker
密かにペトレンコ指揮での復活やバーデンバーデンでの出番を楽しみにしていたのだが叶わずで、MeToo騒動でも積極的に声を上げていたので様々な面での活躍も期待していたのだった。
同時刻帯にBBCでバーミンガムからの生中継が始まった。モンテカルロで振っている次期音楽監督山田が振る演奏会で注目された。山田の指揮は車中のラディオで聴かされることが多かったので、好印象は持っていたからだ。実際に途中から聴いた「ドンファン」でもよく管弦楽が鳴っていて、ラトル時代に生で聴いているそれよりもずいぶんと解放的になっていた。同時に雑な面に気が付く。
モーツァルトのアリアの前に舞台で本人の挨拶があって、後半のマーラーの交響曲四番では、BBCのラディオ3で支援されているエジプトのソプラノが前半に続き歌っていた。興味ある指揮はモーツァルトでも音楽的な魅力は発揮されていた。しかしマーラーとなると色々と管弦楽のバランスとかイントネーションのつけ方が、リズムの精緻さの結果として表れるのでどうしても端折ったアウフタクト感とかが、そのテムピ設定とは裏腹に表れてくる。これは管弦楽団の程度とは関係なく、例えば上のバムベルクでのフルシャは上手に振っていて感心した。
どこかで同じようなのを聴いたと思ったら大植のよりいきった指揮で、バイロイト祝祭劇場の「トリスタン」で初日から盛んにブーイングを受けたものだった。結局ブザンソンで優勝したそれも小澤以降最も優秀かもしれない指揮者でも乗り越えられない壁である。精々カールツルーのバーディッシェスシュターツテアターぐらいで数年修行をすればよいのだが、ああした一度華やかな場所で脚光を浴びた先代のネルソンズなどでも中々それが叶わずに将来性を暗くしている。特に日本の音楽家のそれを見ているとまるでカメとウサギの競争の様で、どんなに頑張っても追いつく先ではもう既にウサギは遠くに走り去っているというパラドックス。追うものが蛇行走行してどうするのだと思うことになっている。マネージメント会社にすれば即稼いでくればいいだけ。
月末の予定表。先ずは週末にザルツブルク音楽祭の申し込み。バイロイトのプログラムは来月初めに持ち越しなので待っていられない。週明けて26日水曜にはミュンヘンからの「ジュディッタ」録画中継、27日木曜エンゲル指揮2020年ドナウエッシンゲン音楽祭再放送、28日金曜にはベルリンからアロイスツィムマーマン、ルトスワウスキーやブラームスなどのショートツアープログラムのラディオ等での生中継 ― 裏番組のエンゲル指揮のフライブルクの卒業作品SWR演奏会は聴いていられない。またプライムシートでの無料ハイレゾ放送となる。それまでにもう少しNASを掃除しておきたい。
参照:
お前はアホかの今は昔 2019-08-25 | マスメディア批評
歓喜へ歌への対照と構成 2019-08-24 | 音