Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

黄色と青の衣装で参戦

2022-04-27 | 文化一般
ウクライナ政府のプロパガンダに参戦することにした。戦う訳ではないが、ドレスデンからの中継を観て判断した。食事をしながら流しただけだが、想定以上に真面な演奏会だった。指揮者の意思もあるだろうが、主催のドレスナーフィルハーモニの思惑も見えた。つまり国旗などを掲げることもなく、最初にウクライナ語での通訳のある挨拶があっただけで、国歌も演奏されずにとても気持ちよかった。そこのフィルハーモニカーはヤノフスキ―などの指揮者で絨毯爆撃祈念演奏会など右翼的な催しもあって注意していたのだが、楽団同士の挨拶の形をとっていて、最後に「再度の訪問ではなく、逸早くホームのキーヴに還って演奏会が出来ることを祈る。」として中々微妙な言い回しで感心した。音楽でも何でも同じだが表現者のセンスがこうしたところに表れる。

先ずプログラムが気が利いている。ベレゾフスキーは1845年ウクライナ生まれで、モーツァルト世代であるが同じように早世で、また同様に死因が不可解で小説化されているらしい。現在の北東国境線に近いフルヒフ出身らしい。ハ長調交響曲が演奏される。そしてショーソンの「ポエーム」はドレスデンとは異なりヴィ―スバーデンではゼメネンコというオデッサ出身の若いタレントが弾く。HPを見ると結構期待の出来感じでバシュメットにも習っていてスピヴァコフ指揮で演奏もしている。ロシア楽派だろうか。アンコールにスコーリックの「メロディ」が入っていて、二年ほど前に亡くなった作曲家で、ルヴィヴ出身ながらヴィーンで学んだ両親は1945年にシベリア送りで死亡している。カバレフスキーに作曲を習っているようだ。

後半が1895年生まれのリャトシンスキーの交響曲三番でソヴィエトの作曲家としても重鎮だったようだ。キエフよりも西寄りのジトミールという町の生まれのようで、地理的にも興味が尽きない。もうこれだけで十分な文化的な宣伝になっている。

そして交響楽団も特別編成ではないと思うが平均年齢は若くて、こうした無期限のツアーでいい指導者に恵まれれば上手くなりそうな雰囲気で、少なくとも徹底的にプログラムを練れるので政治的なおかしな圧力が掛からなければいい演奏をすると思う。だから政治的にも壁になれるような指揮者の手腕が問われる。演奏風景を観ている限りは音楽的に集中できるだけの環境や雰囲気は感じられるので、実際にどうなのか楽しみとなる。

ヘッセンの州都ヴィ―スバーデンで開かれる演奏会の主催は州知事と市長になっているので出てくる可能性もある。コロナ前のネルソンズ指揮ブルックナー八番よりも売れていて悪い席でも30ユーロもするので躊躇していたのは、ただの政治的な催し物かどうかを見極めたかったからだ。それで直前になったのでネットでは買えず、電話して席を押さえた。午後に再び見ると前列が空いていたので席替えして貰った。後列で起立の儘国歌迄と思っていたが、その額を払えば座っていて演奏者がよく見える席の方がやはりいい。

ドレスデンでは如何にもこの手のコンサートに慣れていない人たちが一楽章ごとに拍手していたが、ヴィ―スバーデンではどうなるか。宣伝の仕方などで変わる。ラインガウワー音楽祭が一般発売を引き受けているなど興行主の三団体の常連さんを主に公報で集まった人も少なくはないであろう。式次第からして見ものである。

黄色と青の衣装で出かけるぞ。



参照:
「スペードの女王」初日批評 2022-04-13 | 文化一般
外国国歌を起立して歌う馬鹿 2022-03-15 | 文化一般
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