Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

蘇生のボストンサウンド

2022-10-21 | 文化一般
英国の世界的なオペラハウスの音楽監督にチェコのヤクブ・ヒュルサが選ばれた。2024年の新シーズンからロンドンのコヴェントガーデンで采配を振るう。現在の音楽監督パパ―ノはミュンヘンにくる話もあったのだが、交響楽団を振りたいとして断っていて、恐らくアンドリス・ネルソンズやらへの打診はあった筈なのだが、期間延長したパパーノを継ぐことになる。

この指揮者は、日本の管弦楽団などを振っていてそこでは有名らしいが、生ではそれも直ぐ近くでその指揮を聴いたのは一度しかない。それもリハーサルで、おかしな管弦楽団を前にフルートの名人パユと苦心していたのを身近に見ている。その結果は決して良くなかった。古楽器奏法交じりのおかしな管弦楽から思い通りの音楽を引き出せなかったのだろう。

しかし、昨シーズンのビッグファイヴデビューでのクリーヴランドと並んでのボストンでの指揮中継は注目されるものだった。現在の指揮者ネルソンズの下では明らかに下位にしか位置しない名門交響楽団であるが、恐らく小澤以来かの素晴らしいボストンサウンドを響かせていた。昭和のオーディオファンには懐かしい東芝が使っていた商標まさしく「ボストンサウンド」であった。

今これを書きながら流しているその録音でもそのヴェルヴェットの様な弦楽器も素晴らしい。小澤時代にもあまり聴けなかった響きで、これは誰もが満足すると思う。そのインタヴューで答えている指揮者も楽団が正しい音を判断してくれるとしていて、この指揮者の最もいいところが出ているのではなかろうか。

その他、今本格的な再発見となっていて近々ベルリンからペトレンコ指揮の選集が大きな話題になるだろうスークの大管弦楽曲もプログラムに入れていて独自の音楽を聴かせている。勿論生まれ故郷のヤナーチェックのオペラに関しては今後とも更なる期待がされるライフワークとなりそうである。

そのような塩梅で、驚くことにロンドン在住とあって、これはもう欧州大陸での仕事は里帰り的な限定的なもので、英米を中心に活躍するつもりなのだろう。その割には英語も話し慣れていないことから、比較的最近の判断なのかもしれない。いずれはプラハで活躍するものと思っていたのだがやはりそれはまた違うのかもしれない。

上のデビュー生中継を聴けば、ボストンへと足場を片足動かすのは時間の問題だと思われる。その後先週になってヴィーンの交響楽団を突然辞めたオロスコが振ったのを少し聴いたのだが、これまた誰が聴いてもアメリカ風と感じる音楽であり、ボストンのシックなものを好む聴衆がそちらを選ぶとは思い難い。

兎も角、バムベルクでのいいプログラミングでの演奏会に機会があればと思う。未だこれから頂点が訪れる可能性も強い。

季節のパンは栗入りである。Keschdebrotと書いてあるのをアルファベットで順に読んで何かと尋ねようと思ったら、自分の口からのその響きで分かった。ケシュデ、ああ栗だ。標準語ではカスターニアンで、プファルツの訛りである。これは住んでいないと、なんでか分からんよね。



参照:
ミュンヘン行の代わりに 2022-10-15 | 生活
天使が下りてくる 2020-09-21 | 文化一般
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