Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

名曲もイントロ当てクイズ

2022-10-06 | 文化一般

ヴィーンの国立劇場の音楽監督フィリップ・ヨルダンが事実上更迭となった。夏には2025年シーズンからの延長が発表されていなかったので、終了と見られていたが、夏の間に既に告知されていたらしい。

しかしなぜかヨルダンの方が強い反論をしている。最も興味深いのは現支配人のロスチッチに請われて就任したので、何ら変わりがなく、更迭とは何事かと反論している。自らは応募したポストではないというのだ。

これはとても興味深い発言で、なるほど同じマネージメント事務所のキリル・ペトレンコがベルリナーフィルハーモニカーの直前の試験公演をキャンセルした事情にあやかったぐらいにしか思われない。そんなことが通るのは世紀の天才しかいない。

パリの国立オペラの音楽監督をしていた立場からヴィーンに就任するとなって、到底務まらないだろうというのが大方の見方であったが、聴衆の人気に押されての期待は無くはなかった。しかしこの間にコロナ禍があり、聴衆の特に日本など海外からの観光客の支持やまたは日本への引っ越し公演の成功などの機会を逃して仕舞った。

劇場としてもヴィーンの市としてもそうした期待があったからこその抜擢であった筈なのだが、経済的にも期待される効果が得られずに裏切られたという事だろう。

兎に角、ヴィーンでは交響楽団の指揮者をしていたのだが、どんな名曲を振ってもイントロ当てクイズの様になにを指揮しているのが一秒ぐらいでは分からないという離れ業の指揮者だった。要するに楽譜に書いてある、それ以前の長短システムの、正しい音が出ていなければこれは音楽先進国では務まらない。

先日クロンベルクで聴いたモノがそれに近かったのだが、そういう基礎的音楽教育がなされているのかどうかは分からないのだが、古楽とか現代音楽とか称してその様な音を鳴らす演奏者がいることは間違いないようである。

そしてヨルダンの方は、劇場批判として所謂音楽劇場コンセプトに対して噛みついているのだが、まさしく彼に残された活躍の場としてその他の英米系の指揮者らとその市場を別けあわなければいけなかったのだが、全くの勘違いを披露している。本気でそのように考えているのかと知って怖くなったぐらいだ。

どうも全く分かっていない可能性がある。同僚の風貌が見劣るペトレンコが場末の劇場に追いやられて、こちらはその間交響楽団やらで盛んに売り込まれた。そしてヴィーンにまで上り詰めた ― 因みにその途上でミュンヘンでも機会を与えて貰ったのだが、誰も何も語れないぐらいの散々な評価だったのだろう。

ヴィーナーフィルハーモニカーがこれ以上イントロ当てクイズを演奏する訳にはいかないので、当地の公共放送が伝える様に、今後同劇場で指揮をすることがあるのかどうか、若しくは音楽先進国で指揮する機会が得られるのかどうか大きな疑問ですらある。



参照:
頭のどうも冴えなさ 2022-10-05 | 文化一般
「笛を吹けども踊らず」 2017-07-29 | 文化一般

コメント
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