Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

フォロー対象のキャリア

2023-07-16 | 文化一般
腹の調子は大分よくなった。それでもまだガスが溜まる。完全ではないがもう少し投与を続ける。

MET公演の二日目後半にはまだ触れていない。取り分け言及の必要も感じないが、当初の期待はオテロ四幕のコンサート形式上演にもあった。特にオテロのアフロアメリカンのラッセル・トーマスを初めて生で聴くのが目的だった。ザルツブルクでのティーテュス役に出ていた時の、ゴルタ・ショルツへの郊外への散策での攻撃などが話題になって、その時の抗議の声からフォロー対象になっていた。要するに今でも人種主義的な差別に戦う姿勢が注目を引いたのだった。

その時の中継映像などを観ていてもまだまだ歌えていないのは分かり、批判もあったのだが、その後キャリアを積んでオテロ歌いになっていた。ショルツの方は現在メディアに売りだされている。

結論からするとヴィデオで観ていたり嘗ての批評の様に声を割ることはなかったが、歌の表現としてはやはり頂点にはまだ距離があった。技術的な問題である。それでも公演の流れの中でMETで歌ったりできる実力も芝居もあるので、それはそれで立派なものではないか。

残念乍ら相手役のデズデモーナを歌ったブルーは全く期待するほどの歌ではなかった。あれではまだ上では歌えない。歌えるようになるには技術がいる。しかしその天性のものは身体の大きさからしても持っている。ただそこまで行くのかどうかは分からない。

そして注目の音楽監督ネゼセガン指揮のオペラ演奏だが、ミュンヘンのそれと比較するとお話しにならなかった。全く何一つ語らない指揮と音楽。これでは歌手が場を作るしかない。世界のトップの座にいるオペラ指揮者としてはお話しにならない。前任者のレヴァインをまだ引き継いでいない。

それは前日の幻想交響曲ではっきりしていたのだが、この金曜日に生中継されたヴェルビエール音楽祭からのズビン・メータ指揮の演奏で更に明らかになった。セミプロのユース管弦楽団なのだが、先ず指揮が違うそして演奏のセンシティヴィティーが全く違う。座付き楽団としての精妙な伴奏も聴かせないのに一体なぜ世界一なのよ。こんな事をしているから劇場の存続すら危ぶまれているのだ。



参照:
暇潰しのMET公演を髣髴 2023-07-03 | 文化一般
率いられる座付き管弦楽 2023-07-06 | 音

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