Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

舞台神聖劇の宗教性の有無

2023-07-26 | 
メルケル元首相やEUのフォンデアライン委員長などがバイトロイトに集結する。初日にマリア・フルトヴェングラーなどと同様に招待されているからだ。新制作「パルジファル」初日が生中継される。以前はラディオ中継しかなかったのだが、昨年からストリーミング中継されるようになった。技術的な問題ではなくて、その程度の上演でもストリーミングならば商売にするという複製芸術の価値の低下が証拠付けられる。要するにメディア崩壊の証である。

演出家の意図は分からないのだが、ディクテーションをしっかりつけて表現を最初からはっきりつけている。問題はそのように音楽が書かれているかどうか。指揮者はそこで小さなイヴェントを木管などを故意に強調してつけている。間違いではあるのだが、演出に呼応している限りは受け入れられる可能性がある。それゆえにアーティキュレーションは舞台上と奈落は呼応していない。

最初のハードルである晩餐の音楽となると、合唱も奈落も鳴らし切るしかないということになって、三幕にしわ寄せが来そうである。まさしくメシアンが作曲家ヴァ―クナーは晩餐の変容を信じていなかったと揶揄さわれるところであり、もしそこがそのようにならなければ、少なくとも聴衆を信じさせるだけの効果がなければ、舞台神聖劇とはならないであろう。

さて、どうなるだろうか?演出として音楽として説得力を持つ上演になるかどうか。

少なくとも上記のようなディクテーションの力も借りて歌手は細かな演技と共に見せ場を作れる演出となっている。グルネマンツも最初から解説口調の親切なハンスザックスのようで、これで最終幕のフィナーレ迄しっかり歌い切るだろうか?

音楽的には嘘くさいのだが、少なくとも歌手陣に関しては前回の2019年の上演と比較すれば遥かに上出来である。指揮者がそれほどでなくてもなんとか上演を成功に導くには異なる所で上手く運べば何とかなるのか?

少なくとも一幕が終わって早速一人がブーを素早く出したて、それに反応するように拍手が出た。バイロイトなどでは特に拍手とならない神聖劇なのだが、そうした趣とは全く異なるということになる。しかし、最も重要なのは三幕の聖金曜日の音楽における宗教性なので、そこまでどのように至るのかだけが問われることになる。

夕立となって、貴賓が赤絨毯を歩くところは生中継されなかった。(続く
PARSIFAL (Wagner) - Bayreuth - July 25th 2023




参照:
アホをギャラリーする 2019-08-17 | 文化一般
凱旋無しのヴューイング 2023-07-25 | 文化一般
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