人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

米経済は回復しているのか?

2009-08-11 11:45:00 | 時事/金融危機
■ AIG黒字決算 ■

ほとんど瀕死と思われていたAIGは純利益で18億円を上げて、黒字化しました。
リストラと業績回復が原動力の様ですが、
政府から注入された資金をCDSの清算として
ゴールドマンや投資ファンドにばら撒いて達成した黒字化です。

ファニーメイやフレディーマックも黒字を予想しており、
アメリカの金融危機はあたかも収束の様相を呈しています。

各社の株価も回復しつつあり、
大もうけした連中は笑いが止まらないでしょう。

■ 業績が回復する根拠が見当たらない ■

しかし、AIGの業績は本当に改善しているのでしょうか?
大手銀行のストイレステストに際しては、
ルールの変更という粉飾決済で切り抜けた米国の事ですから、
AIGの黒字化には何かトリックがあるように勘ぐってしまいます。

まして、優良住宅ローンのデフォルトが続く中、
ファニーメイやフレディーマックが黒字化するなんて、考えられません。
いずれも、不良資産を不当に高く査定して、
無理やり作り出した黒字でしょう。

不気味なのは、ストレステストの時には、
そのカラクリを書き立てて危機感を煽っていた面々が静かな事。
金(ゴールド)の投資家や、FXでドルの暴落に賭けている一部の投資家以外、
今回のAIGの決算には、疑問を呈する人は少ないようです。
これは、不気味です。

危機を煽って株価を下げて、回復を演出して一儲け。
さらに、空売りのポジションをキープして、
真相が明らかになりそうになったら、もう一儲け。
・・・こんなシナリオでしょうか?


■ 失業率の改善の中身 ■

先日発表されたアメリカの7月の雇用統計は
失業率が9.5%から9.4%に改善しています。
ここでも、アメリカ経済のグリーンシュートが見られるように錯覚させられます。

しかし、仔細に雇用統計を検討すれば、
労働人口が大幅に減少している事に気付くはずです。
6月は15万5000人の労働人口の減少でしたが、
7月は42万2000人の労働人口が減少しています。
彼らは求職者にカウントされませんから、
分母が小さくなる中での、0.1%の失業率の低下は、意味を持ちません。

むしろ、休職活動すらあきらめた人々が増えている実体を重視すべきです。
政府も失業の長期化を問題視し始めています。

■ 金融だけが改善している ■

GMやクライスラーも再生しつつあるといっても、
破格の値段で在庫セールをしているだけで、
本業が軌道に乗るかどうかも疑わしい状態です。
当然、生産が軌道に乗らなければ更なるリストラが待ち受けています。

商業不動産の下落も拡大し、地方銀行の倒産も72件となりました。
このように、アメリカの実体経済は回復の気配も見えないのに、
金融の業績だけが完全しています。

これは、非常に不自然です。
たしかに、各国政府が大量に供給したマネーは
金利を貪る為に、リスク市場に戻ってきています。
しかし、これはお金がお金を呼んでいるだけの
非常に脆弱なプチバブルです。

■ 最後に笑うのは誰 ■

国債金融マフィアは、銀行の一つや二つ潰しても、
痛くも痒くもありません。
困るのはそこで働く金融マン達で、
ボスは潰れる銀行からも、利益を搾り取ります。
それが、たとえ国民の税金であったとしても。

食べる前には豚は太らせる必要があります。
根拠も無く豚が太ってきたという事は、
狩りが近いと思って、警戒した方がよさそうです。

AIG、ファニーメイ、fレディーマックが売り浴びせられた時、
事実上国有化されているこれらの企業を
アメリカ政府は支え切れるでしょうか。

考えただけでも恐ろしい・・・。