■ 日本一の富士山に登ろう 2009 ■
今年も「富士登山」のシーズンがやってきました。
学生時代、ゼミの仲間とで登って以来ヤミツキになり、
7回目の富士登山となります。
富士山の魅力は、何と言っても気軽に3776mという高山に登れる事。
老若男女を問わず、毎年大勢の方が山頂のご来光を目指します。
高山病にさえ掛からなければ、地道に一歩一歩登って行けば、
眼下に雲海を見下ろす絶景を堪能できます。
中には走って登る人もいて・・・実は私も2度程チャレンジしました。
富士吉田の駅から距離にして20km程度。
標高差3000mを5時間程度で登り、
下りは、スバルライン口まで1時間30分程度です。
これなら、充分日帰り登山が出来ます。
■ 人の苦痛の記憶は2年しか持たない ■
我が家は娘が小学校1年生の時より、2年おきに「富士登山」を決行しています。
息子と妻は高山病の症状がひどく、妻は嘔吐しながら必至で登ります。
あまりの苦しみに、翌年に「富士登山」を企画しても、逃げられてしまします。
しかし、2年後には誰とも無く、「富士山に登ろう」と言い始めます。
多分、人の苦痛の記憶は2年でクリアーされるのでしょう。
前回は息子のバスケット部員3人も加わり、
大所帯での登山となりました。
さすがに中2ともなると体力が有り余っていて、
歌は歌うは、3000m以上の高所で走り回るは・・・。
あんなに高山病に苦しんだ息子も、中2ともなると平気なようで、
あるいは友人との対抗意識からか、ハイペースで山頂に到着していました。
■ 今年は娘たち4人をエスコート ■
今年の富士登山は娘が言い出しました。
「中一のバスケット部員と行きたい」と。
妻は休みが取れない事を理由に逃げ、
息子も部活を理由に不参加。
結局、私一人で4人の娘達をエスコートする事に。
しかし、いくら普段運動している娘達でも
必ず体質的に高山病に掛かる子がいるはずで、
私一人では荷が重い。
そこで今回はツアーに参加する事にしました。
googleで「富士登山 ツアー」で検索して
上位でヒットしたのが、「クラブゲッツ・富士山を歩こう」ツアー。
ガイド・温泉・ホテルのランチ付きで、\15,800のお手ごろ価格。
さらに、帰りのバスは隣の最寄の船橋駅まで送ってくれます。
■ 地震に台風・・・大丈夫か富士登山 ■
ところが、8月12日の登山前日未明・・静岡で地震発生!!
さらには台風まで接近して、
はたしてツアーが決行されるのか危ぶまれる状況に・・・。
しかし、娘達の日ごろに心掛けのおかげ?か、
当日は台風も通過し、晴天が広がっています。
朝6時に駅に集合し、いざ富士山へGO!!
ところで、バスケは過激なスポーツなのか・・・
一人は手の指を2本骨折してギブス。
娘はヒザの関節の炎症で、前日病院で治療を受けている状態。
・・・大丈夫なのか・・・今年の富士登山・・・・。
■ 2009年の富士山は天候不順 ■
さて、東京駅からバスに乗り、11時前には早くもスバルラインの5合目に到着。
昼飯を済ませ(カレーが800円とか、もう許せない価格)、
ガイドの説明が始まりました。
ガイドさん曰く、今年の富士山は天候不順で
毎日登山するガイドですら、ご来光は4回しか拝めていないとの事。
それどころか、悪天候で8合目から引き返す事の方が多いそうです。
しかし、12日、13日は奇跡的に晴天が予想され、
我々はかなりラッキーでした。
■ 絶妙なペース配分 ■
ガイドさんは慣れた方で、ペース配分が絶妙です。
長くゆっくり歩き続けて、しっかり休憩するのがコツだとか。
小学校3年、4年生と思しき子供達も元気に登って行きます。
娘達は手を繋いで、歌を歌って、すっかりピクニック気分。
私はいつもの事ながら、ただ普通に登ってもつまらないので、
無意味に水を持参して、30kg以上のザックでトレーニングを兼ねての登山です。
娘達のザックに納まりきらない荷物と一眼レフカメラを手に持った姿は少々異様です・・。
しばし、娘が撮影した富士山の雲のコレクションをお楽しみ下さい。
■ 7合目を過ぎると高山病が・・・ ■
順調に標高を上げてきた登山も、7合目を過ぎるとそろそろ高山病が出始めます。
小学生達、若い女性の何人かが、不調を訴え始めます。
我が女子バスケット部員も一人が頭痛で苦しみ始めました。
実は、自由研究を兼ねて例年、家内の病院のパルスオキシメーターを携帯しています。
血中酸素飽和度(SPO2・・赤血球の酸素との結合の割合)と脈拍を簡単に計れます。
赤外線を指に透過させて計測を行う小さな機械です。
SPO2と脈拍を掛け合わせれば、酸素供給量の目安となりますが
高山病の症状が出ると、計測エラーが増え始めます。
脈拍を検出し難くなるようです。
脈拍の数値自体は、大きな変化が見られませんので、
高山病の症状が出ると、脈拍が弱くなり、
結果的に酸素が供給不測になるのかも知れません。
■ 宿は劣悪な環境 ■
今回は8合目、標高3200mの白雲荘に宿泊します。
ご存知の方も多いでしょうが、富士山の山小屋の環境は劣悪です。
一つ布団を二人で共有し、隣を向けば、他人の顔が真近にあります。
女性も男性も区別無く、どんどん押入れの様な、2段の棚に押し込まれて行きます。
これで普通に寝れる人は、大物です。
大抵の人は、山小屋の不眠と、過密による酸欠で熟睡出来ません。
山小屋仮眠の後に、高山病を訴える人が多くなります。
今回は女子4人に囲まれて・・・
あっちからゴロン、こっちからゴロン・・・
いくら小学生とあまり変わらない中学1年とは言え、
私の方が気を使ってしまいます。
どうせ、寝れないので私は広間でビールを飲みながら出発の午前0時を待ちます。
広間には、やはり寝付けない人が集まっていて、
気の合う人同士、会話がはみます。
私は小学5年生の男の子とそのお父さんと仲良しになりました。
■ やはり高山病が娘たちを襲う ■
午前0時に宿を出発し、一路山頂のご来光を目指します。
しかし、娘達はやはり軽い高山病。
昨日から高山病の症状を訴えていた子は、結構きつそうなので、
私がザックを持ってあげて、身一つで登らせます。
8合目から上の登山道は、いわゆるアリジゴクと呼ばれるザラ場です。
一歩進む毎に、半歩ずり落ちる・・。
これが結構体力と精神力を奪って行きます。
娘達には深呼吸をさせて(息に圧力をかけて吹きだすと、肺の内圧が上がります)
励ましながらようやく本八合目の富士山ホテル2に到着です。
(とてもホテルとは言えない、掘っ立て小屋ですが・・・。)
ここで、もう一人の子が眠気と吐き気を訴えます。
顔面も蒼白で、例年の経験から、こうなるともうテコでも動きません。
我が子ならば、頭を叩いて登らせますが、
他所のお宅のお嬢さんでがそうも行きません。
富士山ホテル2は休憩所があるので、
高山病の症状が強い二人はここで登山を断念させて、
ここからご来光を見るように指示します。
6時にピックアップする約束をして、残りのメンバーで山頂にアタックです。
ツアー参加者33人のうち、8合目以上を目指したのが27人。
頂上を目指すのが23人。
その内、小学生男子が3人、中学生女子が2人。
やはり、富士山は過酷です。
2000mの五合目まで車でアプローチする現在の登山では
高度順応が出来ずに、1/3の方がリタイアします。
■ 大混雑の登山路を避けて ■
毎年、富士登山のピークはお盆前後です。
13日も登山路は大混雑。
これでは渋滞でご来光には間に合いそうにありません。
そこで、ガイドの賢明な判断で、下山路から山頂を目指す事に。
しかし、下山路は山頂まで「蟻地獄」の連続です。
山頂までの標高差250mを、崩れる足元と戦いながら一歩一歩登って行きます。
■ 雲間から流れるペルセウス座流星群 ■
8月13日未明は運良く、ペルセウス座流星群の出現日です。
生憎の曇り空ですが、ときおり現れる雲の切れ間を
5分に一個ぐらいでしょうか、流れ星が流れて行きます。
これには子供達も大感激です。
さらにはオリオン座大星雲も見えるし、
夏の第三角形もしっかり分るし、
プレアデスも、地上よりクッキリ見えます。
■ 「腐女子モード」全開!! ■
3500m以上は、高山病に掛からない人でも
息が上がってきつい難所です。
しかし、なぜか3500m以上で元気になる人達がいます。
我が家の娘も、小学校1年生の時からそうでした。
宿を出た後は、腹痛と眠気を訴えますが、
いわゆる胸突き八丁という岩場になると、
大人をガンガン追い越して楽しそうに登ります。
今回も娘の友人の少女Hが、ハイ状態に突入。
自称「腐女子モード」突入で、アニソンを次から次に歌い続け、
さらには、高速トークで「腐女子」の何たるかを熱く語り、
さらには弱音を吐く小学5年男子をビシ!と説教・・・。
これにはガイドもすっかり呆れ顔・・・。
だって、ガイドですら息が上がる3500m以上の高所ですよ・・・。
私の軽い頭痛の原因は、はたして低酸素なのか、それとも・・・・。
■ ハイペースで山頂到着 ■
下山道が空いていたので、午前4時には山頂に到着。
日の出が、4時50分くらいなので、余裕があるくらいです。
しかし、高山病の二人を置いてきて正解でした。
結構、ハイペースでしたので、連れてきたら途中から下山を余儀なくされたでしょう。
山頂は例年通りの大混雑で、
休息所で娘二人にラーメンご馳走します。
トッピングはワカメだけで900円はちょっといただけませんが、
これが何とも美味しいし、温まる。
■ 強風で体感温度は氷点下 ■
ご来光を見ようと、休憩所を出ると、
山頂は強風が吹き荒れていました。
風速10メートル以上、台風並みの風で、
子供は吹き飛ばされそうで、時折、四つんばで進みます。
荷物になるかと思いながらも持って越させた(運んだのは私ですが)
ベンチコートを着込ませても、寒さに震えています。
南極のブリザードを耐えるペンギンの様な状態で、ご来光を待ちます。
待つこと10分。
朱色に染まる雲の上に、太陽が現れます。
自然のダイナミックなショーに、疲れも忘れてしばし釘付けです。
・・・しかし寒い・・・。
太陽がすっかり姿を現しので、下山道入り口に移動します。
本日は強風の為、お鉢巡りは中止です。
山頂の滞在時間はたったの1時間30分で、急ぎ下山します。
■ 登り3、下り7 ■
高山病の二人もどうにかご来光を見たようで、
一人は元気を取り戻し、山頂に行けなかった事を悔しがります。
もう一人は、まだぐったりしていますが、
急ぎ防寒着を脱がせ、下りの支度をさせます。
脱がせた防寒着が、皆何故かザックに納まりません。
仕方がないので、もう不要のペットボトルの水を捨てて、
私のザックに・・・ん?収まり切らない。
仕方がないので小脇に抱えて、いよいよ下山です。
富士山では登りが3、下りが7と言われます。
足元からザラザラ崩れる下山道は転倒し易く、
かなりヒザに負担を掛けます。
後ろ向きで下る人もいるくらいで、
日ごろ運動していない人は、ここで足が攣るか、ヒザが笑います。
娘達はというと・・・・さすがバスケ部。
さっきまでの高山病がウソの様に、順調なペースで下って行きます。
途中何度も滑りながら、コケながら、ケタケタ笑いながら・・・。
標高が2700mを切れば、高山病の症状はウソのい様に無くなります。
こうなると、山頂を断念した子達は元気100倍です。
結局、目標の9時30分にスバルライン5合目に到着。
娘達は一目散に、お土産屋さんに飛び込んで行きます。
「ねえねえ、先輩達にお土産買わないとヤバイよね・・・」などと言いながら・・。
■ 温泉で生き返る ■
11:00にバスが出発します。
帰りに河口湖畔の寂れたホテルで温泉入浴。
これは生き返ります。ツアーでよかった。
同じホテルで、ランチを食べ、大満足で帰路に着きます。
バスの中は熟睡かと思いきや、
娘達は大はしゃぎ。
「変顔」の撮影会で盛り上がっています。
■ サプライズ ■
あっという間にバスは船橋駅に着き、
電車で一駅で津田沼に到着。
駅で同じバスケ部の2年生の先輩母娘に遭遇。
実は、彼女達も富士山にチャレンジしていました。
山頂で会う事を約束していましたが、
あの混雑ではそれも叶わず・・
尤も、先輩も高山病で8合目までの登山だったようです。
しかし、地元の駅でバッタリ出会うとは神様も粋な計らいをします。
今年も「富士登山」のシーズンがやってきました。
学生時代、ゼミの仲間とで登って以来ヤミツキになり、
7回目の富士登山となります。
富士山の魅力は、何と言っても気軽に3776mという高山に登れる事。
老若男女を問わず、毎年大勢の方が山頂のご来光を目指します。
高山病にさえ掛からなければ、地道に一歩一歩登って行けば、
眼下に雲海を見下ろす絶景を堪能できます。
中には走って登る人もいて・・・実は私も2度程チャレンジしました。
富士吉田の駅から距離にして20km程度。
標高差3000mを5時間程度で登り、
下りは、スバルライン口まで1時間30分程度です。
これなら、充分日帰り登山が出来ます。
■ 人の苦痛の記憶は2年しか持たない ■
我が家は娘が小学校1年生の時より、2年おきに「富士登山」を決行しています。
息子と妻は高山病の症状がひどく、妻は嘔吐しながら必至で登ります。
あまりの苦しみに、翌年に「富士登山」を企画しても、逃げられてしまします。
しかし、2年後には誰とも無く、「富士山に登ろう」と言い始めます。
多分、人の苦痛の記憶は2年でクリアーされるのでしょう。
前回は息子のバスケット部員3人も加わり、
大所帯での登山となりました。
さすがに中2ともなると体力が有り余っていて、
歌は歌うは、3000m以上の高所で走り回るは・・・。
あんなに高山病に苦しんだ息子も、中2ともなると平気なようで、
あるいは友人との対抗意識からか、ハイペースで山頂に到着していました。
■ 今年は娘たち4人をエスコート ■
今年の富士登山は娘が言い出しました。
「中一のバスケット部員と行きたい」と。
妻は休みが取れない事を理由に逃げ、
息子も部活を理由に不参加。
結局、私一人で4人の娘達をエスコートする事に。
しかし、いくら普段運動している娘達でも
必ず体質的に高山病に掛かる子がいるはずで、
私一人では荷が重い。
そこで今回はツアーに参加する事にしました。
googleで「富士登山 ツアー」で検索して
上位でヒットしたのが、「クラブゲッツ・富士山を歩こう」ツアー。
ガイド・温泉・ホテルのランチ付きで、\15,800のお手ごろ価格。
さらに、帰りのバスは隣の最寄の船橋駅まで送ってくれます。
■ 地震に台風・・・大丈夫か富士登山 ■
ところが、8月12日の登山前日未明・・静岡で地震発生!!
さらには台風まで接近して、
はたしてツアーが決行されるのか危ぶまれる状況に・・・。
しかし、娘達の日ごろに心掛けのおかげ?か、
当日は台風も通過し、晴天が広がっています。
朝6時に駅に集合し、いざ富士山へGO!!
ところで、バスケは過激なスポーツなのか・・・
一人は手の指を2本骨折してギブス。
娘はヒザの関節の炎症で、前日病院で治療を受けている状態。
・・・大丈夫なのか・・・今年の富士登山・・・・。
■ 2009年の富士山は天候不順 ■
さて、東京駅からバスに乗り、11時前には早くもスバルラインの5合目に到着。
昼飯を済ませ(カレーが800円とか、もう許せない価格)、
ガイドの説明が始まりました。
ガイドさん曰く、今年の富士山は天候不順で
毎日登山するガイドですら、ご来光は4回しか拝めていないとの事。
それどころか、悪天候で8合目から引き返す事の方が多いそうです。
しかし、12日、13日は奇跡的に晴天が予想され、
我々はかなりラッキーでした。
■ 絶妙なペース配分 ■
ガイドさんは慣れた方で、ペース配分が絶妙です。
長くゆっくり歩き続けて、しっかり休憩するのがコツだとか。
小学校3年、4年生と思しき子供達も元気に登って行きます。
娘達は手を繋いで、歌を歌って、すっかりピクニック気分。
私はいつもの事ながら、ただ普通に登ってもつまらないので、
無意味に水を持参して、30kg以上のザックでトレーニングを兼ねての登山です。
娘達のザックに納まりきらない荷物と一眼レフカメラを手に持った姿は少々異様です・・。
しばし、娘が撮影した富士山の雲のコレクションをお楽しみ下さい。
■ 7合目を過ぎると高山病が・・・ ■
順調に標高を上げてきた登山も、7合目を過ぎるとそろそろ高山病が出始めます。
小学生達、若い女性の何人かが、不調を訴え始めます。
我が女子バスケット部員も一人が頭痛で苦しみ始めました。
実は、自由研究を兼ねて例年、家内の病院のパルスオキシメーターを携帯しています。
血中酸素飽和度(SPO2・・赤血球の酸素との結合の割合)と脈拍を簡単に計れます。
赤外線を指に透過させて計測を行う小さな機械です。
SPO2と脈拍を掛け合わせれば、酸素供給量の目安となりますが
高山病の症状が出ると、計測エラーが増え始めます。
脈拍を検出し難くなるようです。
脈拍の数値自体は、大きな変化が見られませんので、
高山病の症状が出ると、脈拍が弱くなり、
結果的に酸素が供給不測になるのかも知れません。
■ 宿は劣悪な環境 ■
今回は8合目、標高3200mの白雲荘に宿泊します。
ご存知の方も多いでしょうが、富士山の山小屋の環境は劣悪です。
一つ布団を二人で共有し、隣を向けば、他人の顔が真近にあります。
女性も男性も区別無く、どんどん押入れの様な、2段の棚に押し込まれて行きます。
これで普通に寝れる人は、大物です。
大抵の人は、山小屋の不眠と、過密による酸欠で熟睡出来ません。
山小屋仮眠の後に、高山病を訴える人が多くなります。
今回は女子4人に囲まれて・・・
あっちからゴロン、こっちからゴロン・・・
いくら小学生とあまり変わらない中学1年とは言え、
私の方が気を使ってしまいます。
どうせ、寝れないので私は広間でビールを飲みながら出発の午前0時を待ちます。
広間には、やはり寝付けない人が集まっていて、
気の合う人同士、会話がはみます。
私は小学5年生の男の子とそのお父さんと仲良しになりました。
■ やはり高山病が娘たちを襲う ■
午前0時に宿を出発し、一路山頂のご来光を目指します。
しかし、娘達はやはり軽い高山病。
昨日から高山病の症状を訴えていた子は、結構きつそうなので、
私がザックを持ってあげて、身一つで登らせます。
8合目から上の登山道は、いわゆるアリジゴクと呼ばれるザラ場です。
一歩進む毎に、半歩ずり落ちる・・。
これが結構体力と精神力を奪って行きます。
娘達には深呼吸をさせて(息に圧力をかけて吹きだすと、肺の内圧が上がります)
励ましながらようやく本八合目の富士山ホテル2に到着です。
(とてもホテルとは言えない、掘っ立て小屋ですが・・・。)
ここで、もう一人の子が眠気と吐き気を訴えます。
顔面も蒼白で、例年の経験から、こうなるともうテコでも動きません。
我が子ならば、頭を叩いて登らせますが、
他所のお宅のお嬢さんでがそうも行きません。
富士山ホテル2は休憩所があるので、
高山病の症状が強い二人はここで登山を断念させて、
ここからご来光を見るように指示します。
6時にピックアップする約束をして、残りのメンバーで山頂にアタックです。
ツアー参加者33人のうち、8合目以上を目指したのが27人。
頂上を目指すのが23人。
その内、小学生男子が3人、中学生女子が2人。
やはり、富士山は過酷です。
2000mの五合目まで車でアプローチする現在の登山では
高度順応が出来ずに、1/3の方がリタイアします。
■ 大混雑の登山路を避けて ■
毎年、富士登山のピークはお盆前後です。
13日も登山路は大混雑。
これでは渋滞でご来光には間に合いそうにありません。
そこで、ガイドの賢明な判断で、下山路から山頂を目指す事に。
しかし、下山路は山頂まで「蟻地獄」の連続です。
山頂までの標高差250mを、崩れる足元と戦いながら一歩一歩登って行きます。
■ 雲間から流れるペルセウス座流星群 ■
8月13日未明は運良く、ペルセウス座流星群の出現日です。
生憎の曇り空ですが、ときおり現れる雲の切れ間を
5分に一個ぐらいでしょうか、流れ星が流れて行きます。
これには子供達も大感激です。
さらにはオリオン座大星雲も見えるし、
夏の第三角形もしっかり分るし、
プレアデスも、地上よりクッキリ見えます。
■ 「腐女子モード」全開!! ■
3500m以上は、高山病に掛からない人でも
息が上がってきつい難所です。
しかし、なぜか3500m以上で元気になる人達がいます。
我が家の娘も、小学校1年生の時からそうでした。
宿を出た後は、腹痛と眠気を訴えますが、
いわゆる胸突き八丁という岩場になると、
大人をガンガン追い越して楽しそうに登ります。
今回も娘の友人の少女Hが、ハイ状態に突入。
自称「腐女子モード」突入で、アニソンを次から次に歌い続け、
さらには、高速トークで「腐女子」の何たるかを熱く語り、
さらには弱音を吐く小学5年男子をビシ!と説教・・・。
これにはガイドもすっかり呆れ顔・・・。
だって、ガイドですら息が上がる3500m以上の高所ですよ・・・。
私の軽い頭痛の原因は、はたして低酸素なのか、それとも・・・・。
■ ハイペースで山頂到着 ■
下山道が空いていたので、午前4時には山頂に到着。
日の出が、4時50分くらいなので、余裕があるくらいです。
しかし、高山病の二人を置いてきて正解でした。
結構、ハイペースでしたので、連れてきたら途中から下山を余儀なくされたでしょう。
山頂は例年通りの大混雑で、
休息所で娘二人にラーメンご馳走します。
トッピングはワカメだけで900円はちょっといただけませんが、
これが何とも美味しいし、温まる。
■ 強風で体感温度は氷点下 ■
ご来光を見ようと、休憩所を出ると、
山頂は強風が吹き荒れていました。
風速10メートル以上、台風並みの風で、
子供は吹き飛ばされそうで、時折、四つんばで進みます。
荷物になるかと思いながらも持って越させた(運んだのは私ですが)
ベンチコートを着込ませても、寒さに震えています。
南極のブリザードを耐えるペンギンの様な状態で、ご来光を待ちます。
待つこと10分。
朱色に染まる雲の上に、太陽が現れます。
自然のダイナミックなショーに、疲れも忘れてしばし釘付けです。
・・・しかし寒い・・・。
太陽がすっかり姿を現しので、下山道入り口に移動します。
本日は強風の為、お鉢巡りは中止です。
山頂の滞在時間はたったの1時間30分で、急ぎ下山します。
■ 登り3、下り7 ■
高山病の二人もどうにかご来光を見たようで、
一人は元気を取り戻し、山頂に行けなかった事を悔しがります。
もう一人は、まだぐったりしていますが、
急ぎ防寒着を脱がせ、下りの支度をさせます。
脱がせた防寒着が、皆何故かザックに納まりません。
仕方がないので、もう不要のペットボトルの水を捨てて、
私のザックに・・・ん?収まり切らない。
仕方がないので小脇に抱えて、いよいよ下山です。
富士山では登りが3、下りが7と言われます。
足元からザラザラ崩れる下山道は転倒し易く、
かなりヒザに負担を掛けます。
後ろ向きで下る人もいるくらいで、
日ごろ運動していない人は、ここで足が攣るか、ヒザが笑います。
娘達はというと・・・・さすがバスケ部。
さっきまでの高山病がウソの様に、順調なペースで下って行きます。
途中何度も滑りながら、コケながら、ケタケタ笑いながら・・・。
標高が2700mを切れば、高山病の症状はウソのい様に無くなります。
こうなると、山頂を断念した子達は元気100倍です。
結局、目標の9時30分にスバルライン5合目に到着。
娘達は一目散に、お土産屋さんに飛び込んで行きます。
「ねえねえ、先輩達にお土産買わないとヤバイよね・・・」などと言いながら・・。
■ 温泉で生き返る ■
11:00にバスが出発します。
帰りに河口湖畔の寂れたホテルで温泉入浴。
これは生き返ります。ツアーでよかった。
同じホテルで、ランチを食べ、大満足で帰路に着きます。
バスの中は熟睡かと思いきや、
娘達は大はしゃぎ。
「変顔」の撮影会で盛り上がっています。
■ サプライズ ■
あっという間にバスは船橋駅に着き、
電車で一駅で津田沼に到着。
駅で同じバスケ部の2年生の先輩母娘に遭遇。
実は、彼女達も富士山にチャレンジしていました。
山頂で会う事を約束していましたが、
あの混雑ではそれも叶わず・・
尤も、先輩も高山病で8合目までの登山だったようです。
しかし、地元の駅でバッタリ出会うとは神様も粋な計らいをします。