人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

金融危機第二波・・・被害者は?

2009-08-25 11:33:00 | 時事/金融危機



■ 景気は回復しているのか? ■

米国も日本も株価が順調に回復し、
景気はあたかも回復しているように見えます。

その一方で、世界の不良債権は4.5兆ドルと言われ、
その内2.5兆ドルをアメリカが保有しています。
アメリカの地銀の倒産件数は、今年に入って81行を数え、
これはさらに増加中です。

シティーグループは米国政府より450億ドルの資本注入を受けていますが、
今年度末までの損失の予測が440億ドルです。
シーティー・グループは確実に再度の経営危機に瀕し、
国民の税金が(あるいは日本人のお金が)確実に440億ドル消失します。

景気を後追いする、商業不動産市場の縮小が止まらず、
住宅も本来優良債権である、富裕層のプライムローンが
サブプライムローンを越える規模で破綻しています。
クレジット・カードのデフォルトも増え続けています。

これでも、景気は回復しているのでしょうか?

■ 相場は変動しなければ利益を生まない ■

株式を始めとする、金融や商品の相場は、
相場が変動して初めて利益を生み出します。

相場が上昇基調の時は、ゲームの参加者のほぼ全員が、利益を得ます。
相場が急落する時でも、空売りを仕掛ている手合いは、
大多数のプレーヤーが損をする中で、利益を出します。

株式市場から、金融市場、そして商品市場へとお金は移ろい、
目先の効く物達=相場を操作出来る者 は、莫大な利益を上げてゆきます。
そして、最後はドルの空売りで大儲けをするでしょう。

■ せこく稼ぐ方法も充実 ■

さらに、先日発覚したゴールドマン・サックスのHFT(高頻度取引)の様な
せこい手を使っても、稼ぎまくります。

HFTは証券取引所内のレンタルサーバー内のプログラムが、
高速で売り買いを繰り返すシステムです。
従来の「場立ち」に近い概念ですが、
株価の上昇を、誰よりも早く察知して、誰よりも早く買い、
さらに誰よりも早く売り抜けるしプログラムです。

株の売買が電子化した現在、株の上昇を読んだ一般投資家が、
何百キロも離れた地点から、インターネットを経由して「買い」を入れても、
証券取引所のサーバーに寄生する大手投資銀行のプログラムが
「買い」を入れ、さらに「売る」方が、はるかに短時間で処理出来ます。
ある株に、ある投資家が「買い」を入れた時、
その1秒の取引の間に、何回も大手投資銀子のシステムが売り買いを介入させ、
利ザヤを抜いてしまうのです。

これは、もうセコイとしか言いようの無いシステムですが、
このような、微々たる利益も大量に行えば莫大ば利益を上げる事が出来ます。
ほとんど、インサイダー取引としか言いようのない取引ですが、
現状は証券取引所は、合法と判断しています。
証券取引所は売買手数料で成り立っていますから、
HFSは彼らにとっては、大歓迎のシステムです。

日本の東証においても、海外の投資銀行は兜町から遠くにはオフィスを構えません。
距離が離れれば、0.1秒単位の遅れが生じ、儲けの機会を失うからです。

これが、株価暴落となれば、さらなる差を生じます。
売るに売れない一般投資家を尻目に、
真っ先に売り抜けるのは、投資銀行のプログラムです。

■ 一般投資家や日本の金融機関はカモ同然 ■

相場を支配し、さらにはセコイ手でも稼ぎまくる、アメリカの投資銀行相手に、
一般投資家や日本の銀行、生命保険、年金資金はカモ以外の何物でもありません。

一般投資家は、それぞれ自己責任での資産運用ですから、
損しても文句は言えません。
勝てるゲームを、あるいは、負けないゲームを心掛ければ良いだけです。

しかし、我々の銀行預金は、生命保険は、年金はどうなるのでしょう?
我々の手の届かない所で、せっせと掠め取られて行くのを傍観するだけでしょうか?

「元本が保障されない金融商品を購入した方が悪い」と言えばそれまでですが、
例えば、金融危機の第2波で生命保険会社が破綻したとします。

最初の何社かは、生命保険の保健機構で8割リカバーされたとします。
しかし、市場崩壊の規模があまりにも大きくて、
多くの会社が次々倒産した場合、保健機構もカバーし切れなくなります。
さて、最大手の日本生命が破綻するようなケースではどうでしょう。
最後に破綻する大手の契約者達を、保健機構は救えるでしょうか・・・。

■ 金融崩壊も国際金融マフィアの筋書き? ■

市場が崩壊してしまえば、金融マフィアとて被害を被る事は同じでは・・・?
しかし、考えて見てください。
会社と個人、経営者は別者です。

会社は潰れても、経営者として十分の利益を上げ、
タックスへヴンにでも資産を逃がしておけば、
あるいは、ドル崩壊の前に、金の地金にでも変えておけば、安泰です。

銀行や企業は、利益を上げる道具であって、
経営者や出資者達は、運命を共にする存在ではありません。
社員は会社と運命を共にしますが・・・・。

さらに、そもそも、金融危機自体が金融マフィアの仕掛けた詐欺行為だとすれば??
元々、儲かる見込みの無い商品を乱発しているのだから、
全額を回収する事など、彼らは考えてはいません。

ですから、先ず金融商品に飛びついた顧客から集金し、
さらに、政府の資金(国民の税金)を集金し、
一度底を突いた相場の再上昇で、もう一儲けして、
さらに、最後に空売りで大もうけして、
ドルも空売りして、ハイ・サヨウナラ。

彼ら詐欺師の前には、ヘジ・ファンドのドン、ウォーレン・バフェット氏の方が、
余程、正直者に見えます。
現に、彼はドルの危機を警告し、アメリカの財政赤字の爆発的拡大を警戒しています。
(盗人が善人に見えるのは、キリスト教的ダブルスタンダードですが・・)

■ 我々に出来る事 ■

このような、連中を前に、私達庶民に出来る自衛とは何でしょう?
ドル建ての資産を売却する事でしょうか?
来るべき大失業時代に備えて、住宅ローンを圧縮するか、
不良債権化した住宅を売却して、負債を圧縮する事でしょうか?
子供をしっかり勉強させて、無駄に私立高校に通わせない事でしょうか?
生命保険を、県民共済にでもして、いざという危機に備える事でしょうか?

・・・どれも、生活を根底から覆す危機に対して、
心許ない自衛手段に思えます。

しかし、考え方を変えれば、
戦後60年以上経って、疲弊した日本のシステムと、
固定化された利権システムが、金融崩壊とともに葬り去られるのなら、
若者にとっては、世界の危機も悪く無い出来事かもしれません。
むしろ、戦争などという危機よりも、悪くないのかも知れません。
持たざる者は、あまり心配する必要は無いのです。

私達40代は微妙ですね。
中途半端に持ってしまっているし、
中途半端に持っていない・・・・。

さて、9月以降、世界はどうなるのでしょうか?