
財務省の篠原尚之IMF副専務理事と、ゼーリック前世界銀行総裁
■ IMFへの600億ドルは「貸し出し」 ■
昨日の記事の解説になります。
IMFへの600億ドルは、出資では無く、「貸し出し」でした。
同様にリーマンショック後に1000億ドル、故中川財務大臣から貸し出されていますが、
この内の半額は返済されているそうです。
今回の600億ドルはそれを、「再貸し出し」したという事の様です。
出所は外国為替特別会計。
ドルの外貨預金から手当する方法と、
政府が短期債を発行して日銀が買い受ける方法とがあります。
前者ならば、米国債を売却する必要もあるかと思われ、
多分、後者の様に為替介入同様、短期債を発効したと思われます。
■ 日本はリスクを負っている ■
5兆円とはもの凄い金額の様に思えますが、
政府と日銀は、同様の手法で兆円単位の為替介入を繰り返しています。
結果的に、ドルが手元に残りますが、
ドルにしても、米国債にしても、リスクがゼロではありません。
今回の5兆円の貸付も、「ドル建て」である事から、
世界の金融システムの安定の為に、日本がリスクを負ったと言えます。
「ドル崩壊」など決して考えてはいけないマスコミには、
これを「リスク」と書く事は許されません。
むしろ、「日本の対外資産が増大した」と書くでしょう。
■ IMFの副専務理事は代々日本人のポスト ■
・・・リスクの見返りが何なのか?
IMFの福理事は歴代、日本の財務省出身者が勤めており、
財務省の職員が多数出向しているそうです。
それだけ、日本も、日本円も世界の通貨システムに
ガッチリと組み込まれた存在です。
■ ユーロッパのIMF、アメリカの世界銀行 ■
IMFはブレトンウッズ会議の後、世界銀行と共に補足します。
専務理事は代々ヨーロッパ人が努めています。
一方、世界銀行の総裁は代々アメリカ人でしたが、
ゼーリックが辞任した後任に、
韓国系アメリカ人のキム・ヨン氏が就任しています。
IMFの専務理事や、世界銀行の総裁が欧米人に限られてういる事への
途上国や新興国からの不満は、以前から多かったので、
韓国系のキム氏の就任は、その不満を逸らす目的があるのかも知れません。
■ クリスティーヌ・ラガルドのIMF専務理事昇格は、ストロンカーン逮捕で成立 ■
IMFの全専務理事はストロンカーン氏でしたが、
アメリカのホテルで、客室係の黒人女性に暴行を働いたとして昨年逮捕されました。
しかし、これは客室係りの女性の狂言であったと裁判で判明しています。
ストロンカーン氏が逮捕されてしまったので、
IMFはクリスティーヌ・ラガルド氏を専務理事に昇格させます。
日本ではあまり報道させれる事の無かったこの事件ですが、
IMFを巡るスキャンダルには陰謀の臭いが立ち込めています。
さらに、ゼーリック世界銀行総裁も任期満了前に「辞任」しています。
IMFと世界銀行で何が起きているのか?
この問題を考えてただけでも、夜も寝れません。(しっかり寝てるけど)
■ 欧米の世界支配のシステムとしてのIMF ■
IMFも世界銀行も、通貨システムの安定を目的に掲げていますが、
IMFは途上国には「恐怖の存在」です。
国家財政が破綻した国に、IMFは資金を貸し出しますが、
タダではお金は貸しません。
その国の内政に徹底的に干渉し、
欧米の都合の良い国に、徹底的に改造されます。
農地改革や農業の近代化の名目で、伝統農業は破壊され、
モンサントやカーギルなどが支配する体制に組み込まれます。
アジア通貨危機で国家破綻に瀕した韓国では、
財閥が解体され、外国人資本家が韓国企業を支配する様になりました。
その結果、サムソンや現代が世界的に大躍進をしますが、
利益は国外に流出して、韓国の地方経済は崩壊寸前の状態です。
■ IMFの目的はユーロ防衛? ■
今回、日本のみならず北欧諸国もIMFへの出資を表明しています。
IMFが資金を厚くするのは、ユーロ危機への対応が主な理由でしょう。
ギリシャを発端にしたユーロ危機は、スペインに飛び火する事で、
いよいよユーロを根本から揺るがし兼ねない問題に発展し始めました。
スペインはギリシャ程酷い状態ではありませんが、
失業率が20%を超える状況で、国民の不満も高まっており、
ギリシャの様なノラリクラリとした対応では、本当にユーロが崩壊する可能性があります。
ですから、IMFも資金を厚くして、ユーロ防衛にそろそろ本腰を入れるのでしょう。
■ クリスティーヌには気をつけろ ■
ストロンカーン氏はいかにも悪者という顔つきでしたので、
クリスティーヌ・ラガルド氏の笑顔には、ついつい警戒心を解いてしまいます。
しかし、クリスティーヌのソフィスケートされた笑顔に鼻の下を伸ばしていると、
尻の毛まで抜かれるのがIMFだという事を忘れてはいけません。
そして、日本は財務省を通して、IMFの運営に深く絡んでいる事も、
絶対に忘れてはならないのです。