■ 勝手に景気を回復させてみる ■
世の中不景気なので、私が勝手に景気回復を妄想してみます。
日本の景気を手っ取り早く回復させるにはどうするか・・・?
そうだ、潤沢にある高齢者の金融資産を活用しよう。
■ 日本の資産の8割を50歳以上が所有する ■
日本の経済が停滞している理由の一つに「所得再配分」が上手く機能していない事が挙げられます。
2010年時点では、金融資産1500兆円の内、
60歳以上が60%程度
50歳以上が82.4%
ちなみに20歳以上の人口に占める割合は(2010年)
60歳以上が、34%
50歳以上が、49%
給与が低く、子育てや住宅ローンで消費額が大きい若者より
将来の不安に備えて貯蓄に勤しむ老人の方が貯蓄額が大きいのは当然と言えます。
数字だけ見ると50歳以上が82.4%もの金融資産を持っていると見えますが、
これを「世代間格差が大きい」と弾劾できるかどうかは微妙です。
■ 所得再配分で景気は上向く ■
「適切な所得再配分によて景気は回復する」と言われます。
仮に、何らかの方法で高齢者の資産を、若者に再配分したとします。
若者は消費指向が強いので、経済は活性化します。
■ 所得再配分で銀行預金は減る? ■
ここで気になるのは、高齢者の金融資産が減れば、
国債を支えている銀行預金が減少するのでは無いかという疑問。
景気が回復するという事は、銀行預金が減少して、
流通する通貨が増えるのでは無いか?
その場合、日本国債の需給に影響が無いか気になる所です。
■ 景気回復で税収が増えるのが先か、金利上昇が先か? ■
景気が回復すれば、税収も回復します。
ですから、貯蓄が減っても、財政は回復する。
これは一見正しいように思えます。
実際に小泉時代はプライマリバランスが改善されていました。
■ 金利上昇と税収の改善のどちらが先か? ■
心配性の私は、税収の回復と、金利上昇のどちらが先かが気になります。
1) 景気が回復する
2) 民間の資金需要が高まる
3) 金利が上昇し始める
1) 景気が回復する
2) 企業収益が改善する
3) 所得税・法人税収が増加する
さて、どちらのプロセスが先行するのでしょうか?
先ず、個人の所得は景気回復に遅れるはずです。
所得の回復は、景気回復が確実になってから起こるはずです。
(雇用は改善しますから、所得税は増えますが)
法人税はどうでしょう?
日本の企業は現在負債を膨らめていますから、
収益が改善したら先ず最初に、「減損処理」などを行うのでは?
企業は借金を返したいし、税金はなるべく納めたく無い。
■ 金利が上昇し始めたら、金融機関は日本国債をどうする? ■
日銀の国債買取プログラムが入札割れになる事が続いています。
これは、新規に発行される日本国債の金利が下がる事を見越して、
現状、手元にある日本国債を金融機関が手放さなくなっている為に起こります。
では、金利が上昇し始めたらどうなるでしょうか?
金融機関は、金利の低い国債を売却して、
金利の高い国債に乗り換えるのでは無いか?
中古市場の国債は、当然新規国債と実質金利を揃える為に、
中古国債価格は値下がりします。
これにより中古国債にも需要が生まれます。
・・・何だか、金利が上昇しても国債は大丈夫な気がしてきました。
■ 民間の資金需要がより高まったらどうなるか? ■
景気回復局面では民間の資金需要が高まります。
金融機関は金利に飢えていますから、
民間が国債金利よりも高い金利でお金を借りてくれて、
かつ、リスクが少ないと判断されるならば、
金融機関は民間に資金を貸したがるでしょう。
当然、日本国債を売却して、民間への貸付を増やすのでは無いか?
この時、日本国債の需給バランスは崩れないのでしょうか?
■ 日銀が買い取るのだろう・・・ ■
日本国債の金利が上昇し始めたら、
多分日銀が金融機関からの買取量を増やすのではないでしょうか?
これにより、円が市場に供給されるので、
マネタリーベースが拡大し、景気をさらに押し上げます。
おっと、いい感じに景気回復して来ました!!
■ さらなる金利上昇で、金融機関の含み損が膨らむ ■
さて、ここで困った事が発生します。
金利の上昇が1%、2%と進むと、
金融機関の保有する日本国債の含み損が膨らみます。
金融機関は益々、手元の日本国債を売却して、
金利の高い新規国債や、その他の民間貸付に資金をシフトします。
■ 国債の発行コストが増大する ■
日本政府は2013年度は115兆円程度の借換債を発行を予定しています。
これは償還期限の来た国債の償還資金を、
新規の国債発行で賄うもので、
借金で借金を返す行為です。
借換債115兆円、新規国債40兆円と仮定します。
合計155兆円の国債発行の金利が1%上昇すると、
1.55兆円の金利負担が増えます。
2%の金利上昇で、3.1兆円の金利負担の上昇です。
■ 税収の改善と、2%の金利上昇はどちらが先か? ■
2%の金利上昇が発生するのと、
税収が改善するのとどちらが先か?
日本のこれまでの金利動向を見ていると、
2%の金利上昇が1年以内に発生するとは考えられません。
すると、金利上昇よりも、税収の上昇が先行します。
国債の金利負担の増加分は、税収の増加でバランスしそうです。
オ!!・・・何だか、それ程悲観的にならなくても良さそうです。
■ 金融機関が手持ちの国債を手放したらどうなるか? ■
しかし、ここで私の思考は振り出しに戻ってしまいます。
2%の金利上昇が発生したら、金融機関は手持ちの国債を全て売却するのでは無いか?
しかし、それでは日本国債市場が崩壊してしまいます。
金融機関が理性的であるならば、
手持ちの国債は売却しないで、国債市場の崩壊を防ぐはずです。
その為に、金融機関は日本国債の残存年数を減らし続け、
残存3年以下の国債に運用をシフトしました。
■ パニック売りにならなければ、大丈夫 ■
こうなると、日本の護送船団根性が生きてくるかも知れません。
国債を売却したヤツは許さない!!
裏切り者が現れない限り、きっと大丈夫・・・。
最後は、金融機関の「良心」にすがってしまう、本日の記事でした。
まあ、日本企業が総崩れになり、
世界経済で赤信号がピコピコしている状態で、
景気回復を夢想しても、仕方が無いのですが・・・。
私自身は、日本国債よりも、米国債の状況の方が心配です。
<追記>
私は心配性なので、最悪はどうなるの?という発想に陥りがちです。
でも、世の中、悲観的になるから、不景気なのであって、
もう少し前向きに考えれば、景気は回復するはず。
私がいつも楽しみにしている「ひろのひとりごと」さんは、
経済統計から、正論を展開され、景気回復に前向きな提案をされています。
「ひろのひとりごとさん」を読むと、日本経済は大丈夫!と思えるのですが、
それでも不安症に私は、ひろさんのコメント欄で不安材料を書いて
「ひろさん」に、不安を払拭してもらっています。
「陰謀論者」の私としては、それでも、何か良からぬ事が起きるなら
「陰謀」が存在するのではという見方をしてしまいます。
サブプライム危機だって、普通に考えれば、「サブプライム層にカネ貸さないだろう?」
って思うのです。
所得もろく無い人達に、ローンを組ませていた・・・。
そんな状態を認識していながら、グリーンスパンは「バブルでは無い」として、
金利引き上げを先延ばしにしていた・・・。
こういう不自然な事が何故起きるのか?
最近、副島氏などは「陰謀」という言葉を使うべきでは無いと主張しています。
世界経営の為の「共同謀議」という言葉を使うべきだと。
もし、「共同謀議」なるものが存在するならば、
世の中の事象は、合理に解釈できない事が多く起きるのでは無いでしょうか?
「ひろさん」の正論が何故政府や日銀や財務省に理解出来ないのか?
そこにこそ、「共同謀議」の密やかな臭いを感じてしまうのです。
「陰謀」とは、何と、甘く密やかな言葉なのでしょう・・・・。
<追記2>
牧神の午後さん、パードゥンさん
GUCCIさんの所でご紹介ありがとうございま。
私は素人なので、どうしても「???」な事が多く、
素朴な疑問を記事のネタになっています。
詳しい皆さんのご指摘で、目からウロコ状態になるのも楽しみの一つで、
こんなブログを書き散らしています。
陰謀論の弊害は、どこにでも陰謀の影を見てしまう事で、
そこら辺の匙加減は、非常に難しいものがあると思っています。
経済学は平時にはそこそこ当たると思うのですが、
パニック時には、全く機能しないのでは無いかと思っています。
自然科学も複雑系を扱う事は非常に難しく、
往々にして、非線形の現象を引き起こします。
まして、経済など、人の意思や、政治的思惑に左右される事象は、
前提条件を変えられてしまうと、予測と異なる結果に陥りがちです。
私が「陰謀論」が好きなのは、「前提条件の変更」を
パラメーターに加えられるからです。
凡そ学問的ではありませんが、危機回避の方法としては有効ではないかと思っています。