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本当は怖いマイナス金利・・・金利上昇に脆弱な市場

2016-02-04 08:46:00 | 時事/金融危機
 
■ 日銀のマイナス金利は日本国債金利も押し下げる ■

日銀の導入したマイナス金利ですが、様々な影響を与えると思われます。

1) 金融機関が国債を日銀に売却
2) 日銀当座預金ではマイナス金利となるので運用で金利を稼ぐ
3) 短期金利を中心に金利が低下

4) 住宅ローンなど担保の採れる物件には銀行は積極的に貸しだす
5) 景気の不透明感から企業向け融資は増えない
6) 多くの資金は円安の影響もあって米国債に向かう

7) 短期金利と共に短期・中期国債の金利も低下
8) 残存9年の国債金利までが既にマイナスになっている

■ 日本国債金利が低下する限り異次元緩和は継続され、財務省は国債発行益が得られる ■

国債金利がマイナスという事は政府は国債発行益が得られる事になります。一方でマイナス金利の国債は、マイナス金利がさらに進まなければ損が確定してしまいますから国内の金融機関が国債を保有する魅力はほとんど有りません。金融機関は国債を購入してもせっせと日銀に売却するでしょう。

国債金利がマイナス方向に自由度を持つならば、金融機関はマイナス金利の国債を購入して、それをさらに低い金利で日銀に売却する事で利ザヤを稼ぐ事が出来ます。

日銀が異次元緩和の原資である日銀当座預金にマイナス金利を課しても、国債金利が低下し続ける限り、金融機関は国債を買い続ける事が可能です。財務省とすれば国債を発行すれば発行する程利益が出るという夢の様な状況が出現します。

■ 海外の投資家は日本国債保有で利益が出にくくなる ■

日銀のマイナス金利導入は為替市場にも影響を与え、当然円安が進行します。多分、日銀の最大の目的が円高を反転させる事だったと思われます。

一方、海外の投資家にとっては円安の進行とマイナス金利によって、日本国債を保有しても利益が得られなくなります。

ここからが陰謀論の世界ですが、利益の出ない日本国債を海外の投資家が買い増す様な事があれば、何等かの仕掛けがされるのかも知れません。

■ 平成バブルの崩壊時に日本株を売り崩したソロモンブラザーズ ■

日頃から私は金融資本家達は「株を買い上げて、ある時売り崩す事で底値で株を買い占める」と書いています。実際の世界恐慌の引き金となったNY株式市場の大暴落は、株式取引用の短期の貸付を一気に引き上げる事を引き金に、金融資本家達が実弾売りで株を暴落させました。

しかし、現在の市場においては様々なヘッジが働いている事を、市場規模が大きくなり過ぎている為に、一部の投資家達が自在に株価を操作する事が難しくなっています。

実際に平成バブルの株価崩壊に際してはソロモンブラザーズは複雑な手口で暴落を演出しました。

1) 日本は株の持ち合いで流通株数が少ない事に目を付ける
2) 日本株を買い上げて価格を上昇させる
3) 一方で「日本株が暴落したら大儲け」というファンドをアメリカで大量に売る
4) ファンドの資金を元に現物買いの先物売り(3月限)の裁定取引をなんと1900億円分実施
5) ファンドの資金を元にに日本国債を大量に購入する

6) 日本国債を一気に売却して金利を上振れさせる
7) 金利上昇を嫌気して株が売られ易い状況を作り出す
9) 裁定取引を解消して下がりきった先物を買い戻し、大量の現物を売る
10) 日本株は見事に暴落してソロモンブラザーズや、その尻馬に乗った外資は莫大な利益を得る

現在日本国債の金利はこれ以上無い程に下がっています。今までは利ザヤはほとんど付かなくても国債売却資金を日銀当座預金に置いておけば金融機関は0.1%の利益が選られました。しかし、今後はそのスキームは使えません。

日本国債のマイナス金利の進行が止まった時、金融機関の日本国債需要は低下するはずです。この需給関係の変化は国債金利に上昇圧力を加えるはずです。

異次元緩和以降、ジリジリと低下して、とうとうマイナスに転じてた日本国債金利ですが、どこかの限界を超えると、金利がジリジリと上昇に転じる可能性は否定出来ません。これが、下がり過ぎた金利の怖い所です。

■ マイナス金利の恐怖 ■

日銀のマイナス金利導入で住宅ローン市場などは活気付くでしょう。金融機関は担保さえ取れれば貸出を拡大するはずです。

住宅ローンを借りる個人の中には「変動金利」を選ぶ人も多く居るはずです。最近、「年収200万円台でも住宅ローンが組めます」なんんて広告を目にする事が有ります。・・・・これこそが日本のサブプライムローンです。

下がり過ぎた金利は、リスクと金利の関係を歪めてしまいます。低金利の継続で都心を中心にマンションブームが継続していますが、それもそろそろ息切れしそうでした。このタイミングでの日銀のマイナス金利導入で、マンションやアパート建築が増えそうですが、これから増える物件はリスクが軽視され過ぎた物件が多くなります。

こうして、加熱感の無いバブルが不動産市場以外でも拡大して行くのでしょうが・・・金利が上昇した時点で一気に破綻するはずです。

日経平均株価は今の所17,000円台を防衛ラインとした攻防が続いていますが、世界経済の減速感が強まる中で、日経株価が上昇に転じて20、000円台を目指す様になれは非常に危険です。

■ 第二のリーマンショックがやって来るのか? ■

金融資本家達の作戦はいつも単純です。

「個人の資産をどうやってかすめ取るか」・・・この一点に尽きます。

日本だけで無く、新興国やヨーロッパやアメリカでも個人資産はターゲットです。ただ、日本の場合は庶民の資金運用があまりにも保守的な為に、公的資金がそのターゲットとなっています。

年金負担者の一人当たり100万円の積立金が市場で運用されている事に私達はあまりにも無自覚です。

人々は日々、一所懸命に労働し、賃金を得、そしていくばくかを貯蓄や投資に回しています。既に金融抑圧(不当な低金利)によって貯蓄の利益機会は奪われていますが、今後投資の利益が消え去るであろう事に多くの人は気付いていません。日本人に限らずアメリカ人もですが・・・。