■ 安全資産の円に資金が逃避している? ■
日銀のマイナス金利導入にも関わらず「円高」が止まりません。「安全資産の円に資金が逃避してきている」との解説がされていますが、仮に米経済が縮小期に入ったとしても、日本よりはマシでしょう。何故なら、日本で資金運用しても「マイナス」になる可能性が高いからです。
10年債金利までがマイナスに転じているという事は、10年後に日本が景気回復していると予測する投資家が少ないという事を意味しています。日銀のマイナス金利に短期金利が瞬時に反応して金利がマイナスに転じたのも、アベノミクスの成功を市場が信じていな証拠では無いでしょか。
確かにリーマンショックの直後はドルの信用不安やギリシャの破綻不安などから、消去法で円が選好されましたが、現在ドルに目にみえるプレッシャーは掛っていません。
■ 日本売りの為の為替相場 ■
日経平均株価と為替相場がリンクしている事は多くの人が気付く所ですが、外国人投資家が日本の資産を処分(売却)して利確する際には円高の方が利益が拡大します。ですから、株が下がる時には先に為替市場で円高が仕掛けられます。
株価がひとしきり下落して、外国人投資家が手にした円をドルに換えると、円安に戻って行きます。
■ 日銀は介入するのか? ■
市場は流石に日銀の為替介入を警戒し始めました。先週末は日銀介入の噂も流れました。
しかし、80円台だった頃に比べれば110円などという相場はカワイイもので、日銀が為替介入するにはイマイチ迫力に欠けます。この程度の円高であからさまな介入をすれば、日銀が為替操作をしていると世界から非難されます。
日銀の円売りドル買い介入は、婉曲なドル買い、米国債買いではありますが・・・現在の米国債金利を見る限りは、この可能性は低いかと思われます。むしろ円安に振れると日本の資産の売却益が減少するので、日銀の為替介入は対ドルで100円を割り込む水準までは為替介入は無いのでは無いか?
■ 長期的には円安が進行する ■
短期的には外国人投資家の都合で円高局面が何度か起こりそうですが、長期的には日本の財政問題がクローズアップされるので、円安がジワジワと進むはずです。
ただ、金融危機が再び発生してドルやユーロの信頼が揺らぐ場合は、短期的に日本への資金逃避も増え、大きく円高が進行する可能性も低くは有りません。
プロでも予測が難しいと言われる為替相場。これにアルゴリズム取引の株価が引きずられるので株式、FX共に素人が太刀打ちできる局面では無くなっています。
<追記>
望月夜さんから、ヘッジファンドが円高を仕掛けたら、彼らは円安に戻る際に手持ちの円で損が発生するのでは無いかとのご指摘を頂きました。
FRBの利上げ以降、行き過ぎた円安の調整というファンダメンタルが年初来の円高の背景に有るのは確かですが、日本株が売り込まれる前に円高に振れるのは、ヘッジファンドの仕掛けの様に見えます。だいたい、金曜日のNY市場で円高が進行し、同時にシカゴ先物市場で日本株が売り込まれます。そして月曜日の朝から日本株が多くく下がる。
ヘッジファンドは円高を仕掛ける時に円を買うので損が発生しそうですが、これは何等かの形でリスクヘッジしていると思います。
FRBの利上げペースが鈍化すれば為替は110~115円/ドルを中心のBOX相場となりそうですが・・・予想を裏切るのが市場なだけに・・・。