休日を挟んだ金曜日、日本株を弄ぶには最適な日と言われています。
日本株市場が身動き出来ない休日の海外市場で円高に大っく振られ、先物市場で日本株を大きく売り込まれたら、休日明けの日本市場はパニック状態になる事は目に見えています。
NY株市場の下落がそれに拍車を掛けたので、12日の日経平均は、あっさりと15,000円を割り込んで終了。
12日のNY市場は上昇に転じ、為替相場も少し円安に戻っているので、月曜日の日本株は反動で大きく値を戻すかも知れません。
こうして、何度も波状的に最終防衛ラインの15,000円を巡る攻防を仕掛けた方が、日銀やGPIFやゆうちょ、かんぽからガッポリと資金を引き出す事が出来ます。
しかし、15,000円をこうもあっさりと割り込むとは思いませんでした。
原因は円高。
日銀のマイナス金利導入と、FRBの利上げによって本来は円安のなる局面。しかし、市場が「売り」を意識している時は、どんな材料も「売り材料」になります。結局、市場参加者のセンチメントが市場の方向性を決めている訳ですが、中央銀行と市場の対話が完全に行き違っています。
そもそも、「対話」など初めから存在せず、実は市場はいつでも身勝手に状況を解釈しています。市場動向と中央銀行の思惑が一致している時には「対話」が成立している様に見えますが、一旦方向性を違えれば「けんか」となります。
尤も昔から「政府と中央銀行には逆らうな」との格言が市場には有りますが、反対に「中央銀行も市場には勝てない」という格言?も存在します。「市場が牙を剥く」との表現も。
いずれにしても昨日は2012年5月のバーナンキショック前に付けた15,000円を割り込んでしまいました。
この時の日経平均15,000円は、アベノミクスの期待感で付けた値でしたが、日銀が緩和政策に転じる事を予測したファンドや海外投資家達が日本株のポジションを大きく拡大した事や、国内投資家達がアベノミクスへの期待感から日本株投資を拡大した時期でした。
しかし、バーナンキショックによって上昇基調は一転して日本株は大きく下落します。バブル崩壊を経験している日本人、特に個人の株式投資は一気に冷え込んでしまいました。そこで政府は2013年6月7日にGPIFの運用比率を見直す事を発表します。これを好感して市場は再び上昇に転じました。
その後は、日銀、GPIF、ゆうちょ、かんぽなどの資金が、日経株価の下落局面を買い支えて日本株は海外のファンドも売り崩す事が出来ない状況で20,000円にまで達しました。
一方で、海外勢はバーナンキショックの13,500円から買い上がって来た訳で、利益を確定するには、これ以上の金額で売り抜ける必要が有ります。15,000円というのは海外勢の想定する売り抜けの水準で、余程のショック、例えばドイチェバンクの破綻などがなければ、これが攻防ラインとなるはずです。
一方、13,500円にオプションが積み上がっていると言われており、多分、バーナンキショックの底値を割ったら、ここからは空売りやオプションを含めて一気に日本株を売り崩して利益を拡大するはずです。私は底値は8000円台と妄想しています。
X-DAYがいつになるかですが、日本の国内情勢には左右されないと思われます。多分、ドイチェバンクの破綻など、リーマンショック級の危機を世界が意識した時になるのでは無いでしょうか。
安倍政権は株価を操作して好景気を装って来ましたが、甘利ラインを割り込む事で、アベノミクスもいよいよ終了の時が近づいています。
「チーーーン」という音が聞こえた様な12日の日本株市場でした。