■ 台風の後の林道 ■
家内と養老渓谷駅で別れて鴨川の娘のアパートへ「除染」に向かうルートには、老川十字路から麻綿原高原を抜ける町道老津線を使います。崩落で通行止めになっていましたが、先日復旧を確認しています。
2週続きで台風が通過したので、林道は落ち葉や枯れ枝、さらには落石で荒れているハズです。ブロックタイヤのMTBなので心配要りませんせんが、ロードだったら躊躇する状況。
老津線の入り口で、ロード乗りの3人と丁度一緒になりましたが・・・「ロードでは今日は無理ですよ」と伝えようとしたら相手は外人・・・。英語で何と言えばいいのか考えている内に、相手は随分と後ろに距離が離れてしまったので、そのまま進みます。結構、体重が有りそうな方だったので、いずれにしても急坂が続く序盤で諦めるでしょう。多分・・・。
林道に入ってからは案の定、酷い路面が続きます。杉の枯葉や、折れた枝で路面はほぼ覆われています。そして、その中に落石の石ころが混じり、路面が見える場所はコケでスリッピー。ブロックタイヤとは言え、下り坂でもスピードは出せない状態です。
こんな時は景色を楽しんだり、山の空気を思い切り吸い込んだりして、楽しくヒルクライムするに限ります。途中、キョン(台湾鹿)の子供に遭遇しますが、初めて自転車を見たのか、好奇心旺盛で、自転車の先を振り返りながらチョコチョコと走っています。距離がだいぶ近づいた所で山の中へ消えて行きました。
心配した崩落も無く、無事に麻綿原の頂上に到達し、後は路面の良い内浦県民の森方面に一気に下りますが、こちらも落石が多くスピードは出せませんでした。
■ 崩落を「担ぎ」で乗り越えた先にあった物は・・ ■
鴨川に一泊して翌日は10時頃にのんびり帰路につきます。
体が鈍っているので、キツイ坂道を登ろうと「天津林道」にルートを取りますが、林道の入り口に「がけ崩れの為4.8km先通行止め」の立て看板が。まあ、MTBだから担いで越えられるだろうと、ヒルクライムを開始します。
天津林道は天神川沿いを麻綿原まで内浦山を登るコースですが、とにかく自然が豊かで私は房総の林道の中でも好きなコースです。一方、海側から登る場合、斜度がキツク、タフなコースでもあります。落石も多いので、雨の後などは危険なコースです。
野鳥の囀りや、シダの群生などを堪能しながら、ゆっくりと登って行くと、崩落現場が現れます。・・・結構ハデに崩れています。一瞬、引き返そうとも思いましたが、行ける所まで自転車を担いで行く事に。
ロード乗りはあまり自転車を担ぐ事は有りませんが、MTBに乗られる方にとっては「担ぎ」は日常茶飯事。樹林の下のトレイルのコースを走る場合は、全行程の半分は担ぐなんて事も。だって、シングルトラックと呼ばれるコースは普通に登山道ですから・・。
崩落はほぼ稜線の頂上付近から幅30m程度。上の方に崩れそうな岩も見当たらないので、エイ!ヤア!と自転車を肩に担いで、倒木を乗り越えて行きます。

結構、ぬかるんでいて足元が不安定です。これだけ水を含んだら崩落も起きるはずだ・・・。谷側に滑り落ちない様に、注意しながら自転車を運びます。


■ これシイタケじゃない? ■
丁度、崩落現場お中央部に来たところで、足元を見るとキノコが生えています。・・・て、「シイタケ」ですよね・・・。多分、スダジイの倒木に生えていたのが、崩落で落ちて来たのでしょう。
昨日見た原木シイタケとはだいぶ違いますが、スーパーで見かけるシイタケとほぼ同じ。シイタケによく似た毒キノコに「ツキヨダケ」が有りますが、ツキヨダケは柄の部分が傘に対して偏心しているものが殆どです。対して、今、眼前に有るシイタケらしきキノコは傘の中央部に柄が付いています。
丁度、空の弁当箱がバックパックに入っていたので、これにシイタケ?を詰めます。

崩落現場で思わぬお宝をゲットした後は、再び頂上を目指してペダルを踏みます。
途中、大きな石がゴロゴロと転がっていますが、その上では根の周りの土を失った杉の巨木が、「ギィー、ギィー」という音を立てながら風に揺れています。倒れて来たら大変なので、ここを急いで通過します。
その後も落石地帯が続くので、一気に林道の分岐点まで登り切ります。

■ 「私シイタケ農家の娘です」さんに鑑定してもらった ■
取り合えずゲットしてシイタケらしきキノコを専門家に鑑定してもらわないと食べるのが怖い。そこで、養老渓谷の駅前で原木シイタケを売っているお姉さんの元を訪ねる事に。
昨日、同じ売店のオジサンが、「お姉さんの御父さんは梅ヶ瀬の当たりの山を全部持っている」と言っていたから、多分、大福山のシイタケ農家の娘さんかなと目星を付けました。
タダで鑑定して頂くのは気が引けるので、原木シイタケを一袋300円で購入します。これ、スーパーの半額!!
早速、弁当箱を開けて「これってシイタケですか?」と聞いたら「あ、それシイタケ。」「大丈夫、私シイタケ農家の娘だから」だって。
「もしかして大福山に登る途中のビニールハウスの家?」って聞いたら「そう、あのビニールハウス家のだよ」だって。
「ここ数日、暖かいからシイタケがニョキニョキ、凄い勢いで生えて来てるんだよね」「ところで、それって大福山で採ったの」って聞かれました。
いかん、いかん、シイタケ泥棒と間違われてしまう・・・。ここはきちんと説明せねば。
「天津林道のがけ崩れを越えた時に、倒れた木に生えていたんだ」と言うと、キョトンとされていまいした。だって、普通、崖崩れを乗り越える人って居ないよね・・・。
■ とても美味でしたが、スリルも満点 ■
家に帰り、早速シイタケの下処理をネットで調べます。普通、売っているシイタケは「洗うな!」と言われますが、野生のキノコは良く洗って汚れを取った後に、塩水に30分以上つけて、「虫出し」をすると書かれています。
書かれてある通りに下処理をして、バター焼きにしてみました。買って来た肉厚の原木シイタケと食べ比べてみましたが、野生の方が断然味が濃厚。
まあ、原木シイタケも野生と変わり無いので、差は個体差なのでしょうが・・・。
「ねえねえ、すごく美味しいから食べてみなよ」と家内に勧めると「あなただけ食べて。二人で食べて全滅すると困るでしょう」だって・・・・。どうやら私なら毒に当たってもイイらしい・・・。
仕方無く、バター焼きにした6個程を一人で食べて、その後、3時間程は落ち着かない時間を過ごしました。無事だったので、やはりシイタケだった様です。
良かった、良かった。