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森友問題を捨て駒として加計問題を隠す・・・会計検査院報告のトリック

2017-11-30 06:25:00 | 時事/金融危機
 

■ 「いつまでも、モリカケじゃないだろう」という意見の問題点 

「いつまでもモリカケ問題ばかり追求していないで、きちんと予算審議やその方の重要法案の審議をして欲しい」という一見良識的な意見が増えています。

私はこの意見にピーーー!!とイエローカードを差し出したい。

「政治家が信用出来ない」のは昔からの事ですが、疑惑が発覚した場合は政治家はきちんと「社会の裁き」を受ける事は大変重要な事だと思います。

日本人の多くがサラリーマンで税金は給料から天引きされるので、自分の納税金額を把握していない方が多い。しかし、健康保険税や年金も含めると、サラリーマンの給与に占める税率は40%に近い。これだけ多くの税金を負担しているのだから、その税金が正しく使われているかをチェックするのは国民の義務です。

森友問題にしても、加計問題にしても、国家の財産や、地方の税金が正しく使われているかが問われているのであり、安倍首相がそれに関与していたかどうかを証明する事に大した意味は有りません。

安倍首相の責任問題は、税金の使い方が間違っていたと判断された時、政府の代表としての責任が生じる訳で、国民は選挙で責任を追及するなり、しないなりを決めればよいのです。


ですから予算委員会で議論すべきは、国家の財産である国有地がきちんと適正な価格で売却されたかどうかで、安倍首相に対する忖度があったとか、安倍首相が秘書官や首相夫人付きを利用して破格の値引きを強制した・・・なんて事は、国民が勝手に判断すれば良い事です。

同様に加計問題の本質も、多額の税金が補助金として投入される事の費用対効果や、提示された建設コストが正しいものであったかチェックする事に重要性があります。

ここに問題が有ったと明確になったならば、国民はおのずと「何が原因か」を想像して、選挙によって原因を排除すれば良いだけです。

■ 会計検査院の報告は加計隠しの煙幕では無いか? ■

会計検査院が森友学園への国有地の売却と価格設定に問題が有るのでは無いかとの見解を示し、森友問題に対する野党の追及が厳しくなっています。

多分、政府は「今後、この様なケースが発生しない様にルールを変更し、管理を徹底する」とうだけで、森友学園予定地を再ボーリングしてゴミの量を確認する事はしないでしょう。

森友問題で直接責任を問えるのは、価格交渉の音声データを公開された財務省の職員ぐらいで、財務省が証拠を破棄している(表向きは)以上は、佐川元理財局長の責任追及も難しいはずです。多分、ここら辺が落としどころで、但し、彼の罪を裁判で立証する事は困難かも知れません。

問題は会計検査院の報告で、野党の追及が森友学園問題に集中してしまう事です。

森友学園問題は籠池夫妻が詐欺の容疑で逮捕された事で、既に小学校の開校は中止され、国有地売却も白紙に戻っているハズ。後は登記上、学校敷地の所有者を財務省に戻し、学校の校舎を解体するか、新たな事業者が校舎コミで買い取って有効利用するかの問題となりあます。

森友問題は既に「オワコン」に近い。

一方、加計学園は、今後、今治市と愛媛県が補助金の額を決定する最重要イベントが残っているので、「税金の無駄使いを許さない」という国民の権利を行使するならば、こちらの方が重要となります。そもそも、補助金が額が96億円と、森友学園など問題にならない程大きい。

■ 今治市の第三者委員会は、案の定、「建設費用に問題は無い」との答申を出した ■

今治市も愛媛県も、今治市が設置した第三者委員会の答申が出てから補助金を予算化するとしていますが、第三者委員会は「建設業者からヒアリングして価格は適性だった」との判断を下しています。

これ、泥棒に「お前は泥棒か?」と聞いて「いいえ」と答えた返事を鵜呑みにするのと同じ状況ですが、これで今治市と愛媛県は補助金支給が正当化されたとするハズです。

■ 騒いでいるのはプロ市民で、住民は「空気」を読んで騒がない ■

本来は今治市民が大騒ぎして、住民訴訟を起こすなり、補助金の差し止めを要求するなどの行動を起こすべきですが、そうなってはいません。騒いでいるのは一部のプロ市民です。

自民党が強い地方都市では、下手に騒ぐと周囲から白い目で見られる恐れがあります。ですから、今治市民は黙っています。彼らが騒ぎ出すのは、今治市の財政が銚子市の様に逼迫して、市民病院が閉鎖されるなどの実害が生じてからになるハズです。

「ここで安倍首相に恩を売っておけば将来見返りがあるかも知れない」とか、「経緯はどうあれ加計学園が開学して若者が増えれば地域の活性化につながる」と考えているかも知れません。

そもそも、獣医学部開設の経済効果に期待しているのは、アパート経営者や、地元の商店の方々でしょう。彼ら個人事業主はあまり税金を納めていない方が多い。

今治市で補助金分の税金を実際に負担するのはサラリーマンの方々のハズです。しかし、彼らは納税意識が薄く、故に政治意識も高くはありません。自分達の税金が、一部の自営業者と学校関係者と、政治家や銀行の利益にすり替わってしまうという認識が無いのです。

■ 民主主義の根幹が問われている ■

ラフに言ってしまえば、民主主義とは、国民や住民が選んだ議員に、税金の使い方を委ねるシステムです。

「いつまでもモリカケじゃないだろう」という意見には、この視点が欠落している様に感じます。

「日本は北朝鮮のミサイルの脅威に晒されているのだから、憲法改正の方が重要」とか、「日本の自主防衛はアメリカの属国からの脱却の第一歩」と主張する最近の風潮は、「税金の使い方を検証する」という国民の義務を軽視し過ぎていると感じます。


尤も彼らは「生活保護を在日や外国人に支給するのはオカシイ」という点へのチェックは厳しい。実は私も同意見ではありますが・・・。少なくとも日本国籍を取得してから生活保護申請をして頂きたいとは思っています。


「既存通貨の価値」の裏返しとしてのビットコイン・・要はバブル

2017-11-30 02:47:00 | 時事/金融危機
 

■ ビットコインについてお題を頂いたので ■

ビットコインについてお題を頂きました。

実は、自分の為のメモ帳程度のブログですが、お題には結構悩みます。素人のブログと言えどもコメントや拍手など頂くと嬉しいもので、出来れば皆さんが喜んで下さる記事を書こう・・・そういう気負みたいなものが無くは無いのです。

本心を言うと、投資に興味を持たれる様な、少し年齢層の高い良識的な方々を「アニメ好き」に改造するという「真っ黒な野望」を持っているのですが・・・そこら辺は皆さま華麗にスルーされる様でちょっと寂しい。

■ ビットコインはバブルなのか ■

ビットコインについては過去に何度か書いています。

1) ブロックチェイン技術の実験場として通貨当局も見逃している?
2) 大量の計算に大電力を要する「マイニングコスト=価値」というのは???
3) 通貨的価値が個人レベルで手軽に国境を越える手段=資産逃避の道具として便利
4) 法的に規制されれば一瞬で消える

だいたい、こんな内容の事を書いて来たかと思います。

先般のビットコインの分裂騒ぎや、中国での規制開始によって暴落するかと思われたビットコインですが、ここに来て急激に値を上げ、「バブルだ」と言う方が増えています。

最も、私などは「無価値」のビットコインにお金が集まる事自体がバブルだと思っているので、今更ビットコインがバブルになっているとの認識は有りません。

■ 有限性の神話 ■

オランダのチューリップバブルや、香港の鉄観音バブルを引き合いに出すまでも無く、「その物本来の価値を大きく超えた値段で何かが取引される現象」をバブルと呼びます。

バブルの対象は何でも良く、肝心なのは「数に限りがある」という点です。例えば、大量に複製されるものではバブルは起こせません。そこら辺の石ころではバブルは起こせません。

ビットコインは「採掘=マイニング」にコストという制約が存在し、何となくそれが「神話化」している事によって「有限性」を担保しています。

■ 物としての尺度を持たない「仮想」の強み ■

「有限性」という意味においてはコモディテーも同じなのですが、「実用性的価値」が存在するコモディテーは、物としての受給の影響を受けるので、金とて「物」としての「現実」が価格の高騰に歯止めを掛けます。

しかし、ビットコインは「仮想通貨」と呼ばれる事で「物」としての価値を元々持っていません。だからそれが高いのか、安いのかの価値基準が無い。これがビットコインの最大の強みでしょう。

実は「仮想通貨」というビットコインの本質は、「現実の通貨」よりも「物としての特性」が薄い。現実の通貨は「一般的に流通して、物を買える」という側面によって「物」と強く結びつき、インフレ率や為替レートという形で「通貨の価値の減少」が観測されてしまいます。

■ 「儲け話」はお金を引き付ける ■

一方、ビットコインの価値は現在の所、物を買えたり、国境を越えた決済で使用したりという実用性よりも「値段が上がる」という一点により支えられています。この値段が適正かどうかの判断は保留にされ、「値段が上がるから価値がある」のです。

この「値段が上がるから価値がある」というのがバブルの本質で、一般の人達も巻き込み始めるバブルは最終段階に突入し、価値は高騰します。

■ 一般人も巻き込み始めたらバブルは終わる ■

バブルの本質として、「一般の人がその市場に参入したらバブルが弾ける」というのは真理だと思います。

ウォール街の靴磨きの少年までもが株の話をし始めた時にNY市場で株が暴落して世界大恐慌の引き金になりました。日本のバブルもNTT株に一般人が飛びついた所で弾けています。

ビットコインも、バブルだバブルだと言われては来ましたが、今までのバブルは「無価値に値段が付く」という現象に過ぎず、市場のプレーヤーはリスクにも敏感な方達でしたから、「抑制の効いたバブル」に過ぎませんでした。

しかし、一般の人達がビットコイン市場に参入し始めると・・・そろそろ。

■ 現在のビットコインの価格上昇は過剰流動性が流入しているだけ ■

昨今のビットコインの価格上昇の主役が一般人かと言えば答えはNOです。一部の投資家や、射幸心の高い人達はビットコインに手を出していますが、これらの方々はFXにも手を出す様な方で、一般時とは言えません。

ではビットコインの価格上昇の主因は誰かと言えば、ヘッジファンドなどが投入する過剰流動性です。

リーマンショック後に各国中央銀行が増刷したマネーは、過剰流動性とした市場を徘徊していますが、最近は債権市場の高値に警戒し始め、株式市場もそろそろバブルの匂いがし出したので資金が余り気味です。そんな行き場を失ったマネーの受け皿の一つがビットコインなのです。

ウォール街では多くのヘッジファンドがビットコインへの投資を始めており、彼らの資金がビットコインの値段を吊り上げています。

ステグリッツなどは「ビットコインはバブル」と言い切っていますが、ヘッジファンドのプレーヤー達は、「最後の稼ぎ時」とばかりにビットコインに群がっています。

■ 金融緩和バブルの最後の饗宴 ■

多くのアナリストが2018年危機を意識し始めています。リーマンショック以降の金融緩和バブルがそろそろ弾けるだろう・・・と。

「インフレ率を引き上げる」事を目的として各国中央銀行がばら撒いたマネーは、適切なインフレ率を達成する前に、資産市場で巨大なバブルを作り出しました。

「通過の価値の尺度=インフレ率」というのは資産市場がこれ程肥大化する前の話で、「実体経済よりも遥かに巨大な規模の資産市場」を有する現代では、「資産市場のインフレ=通貨の価値」と考える方が正しい。

要は、リーマンショックの混乱期を脱した2011年末頃から世界の資産市場は順調にバブルを拡大し続け、通貨は価値を失い続けた・・・。

その仕上げが「価値の無い通貨モドキ=ビットコインへの投資」で、これは必ずや大暴落で終焉を迎えると私も妄想します。

ただ、次のバブル崩壊はあらゆる市場で発生するので、損失はビットコインだけで発生する訳では在りません。

■ 金融危機後にビットコインはどうなるのか? ■

ここからは与太話です。

仮に世界規模の金融機が発生したとして、各国政府が資産逃避を回避する為に海外への資金の移動を制限したとします。この時、規制を逃れる手段としてビットコインの様な仮想通貨が利用される可能性は高い。

実際にギリシャ危機と並行して起きたキプロスの預金封鎖でビットコインは活用され、ビットコインの値上がりに貢献しています。中国でも海外へ資金を移すのにビットコインが使わるので、中国政府が規制の乗り出した・・のでしょう。

仮に、ビットコイン市場でバブルが弾けたとしても、システム自体が残っていれば、通貨の価値大きく棄損する時に、ビットコインは不死鳥のごとく蘇るかも知れません。

但し、国外への資産流出を嫌う各国政府がこれを規制しないハズが無い・・・とも思うのですが。


何かと話題になるビットコインですが、アメリカ開拓時代のゴールドラッシュの様で、経済と人間の関係を考える上ではは、非常に興味深いものが在ります。



本日はお題を頂いたビットコインについてですが、投資など無縁な私にとっては単なる思考の遊びの対象に過ぎないので、あまり参考にはならないと思います。ゴメンナサイ。