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金融危機の引き金となり得る中東危機・・・低すぎる債権金利

2017-11-13 09:42:00 | 時事/金融危機
 

前の記事の補足として・・・

■ 「低すぎる物価上昇率」はグローバル化の当然の帰結 ■

中東危機(戦争)が破壊するものは、現在の債権市場(国債市場)です。

リーマンショック後、世界は「低成長」に悩まされています。中央銀行の狂った様な金融緩和にも関わらず、先進国の物価は上昇しません。

この原因はグローバル化によるものです。

1) 企業のグローバル化で同一労働同一賃金化が世界規模で進行
2) 特に製造業で先進国の賃金は途上国に引っ張られる形で抑制される
3) 労働市場の開放や、大量の移民が先進国の賃金の低下を後押しする

4) 新興国の過剰生産性が先進国の物価上昇を抑制している
5) 原油安が世界的に物価上昇を抑制している

6) 発達し過ぎた金融市場が、金融緩和マネーを市場から吸い上げる
7) 成長力の高い国(金利の高い国)で資金は運用される
8) 相対的に先進国での投資機会は低すぎる金利ゆえに抑制される

この様に先進国で思う様に物価が上昇しない理由は、グローバル化によって世界がフラット化する事によって起きています。

従来の様に、資金が国境に阻まれていたならば、先進国の金融緩和の影響は、先進国の資産市場のバブルを一気に加速させ崩壊するはずです。しかし、金融市場を通じて資金は先進国から金利の高い新興国や途上国に流れるので、先進国のバブルは抑制されて来ました。

■ 金融市場自体が資金の巨大なプールになっている ■

一方、巨大な金融市場は、「金融商品を高値で買う」という行為の繰り返しによって、超緩和マネーの大きなプールになっています。

新興国においてさえ、極端なバブルが抑制されている背景には、金融市場自体が過剰資金の大きなプールになっている事が挙げられます。

このプールは貪欲で、どんどん資金を溜め込む事で維持されています。底には大きな割れ目があるので、資金流入が減ると、途端に水位(市場価格)が低下し始めます。このプールにお金を入れる事を生業にしている人達は、水位の低下を恐れて、盲目的にジャブジャブと資金をバケツで注ぎ込んでいます。

こうして、リーマンショック後に供給された巨大な緩和マネーは、世界の経済を大して成長させる事も無く、又、極端なバブル崩壊を起こす事も無く、巨大な市場にプールされ続けています。

■ 債権市場のプールは危険水位を超えている ■

多少調整は入っていますが、「ダウや日経平均株価がバブルでは無い」と主張する投資家は未だに多い。「日本株は出遅れたので割安だ」と言う海外の投資家も多い。

その彼らにして「債権市場は既にバブルだ」と言われています。現在の株高は債権市場からの資金逃避によって起きていいるとも言えます。米国債金利もジリジリと上層しています。

■ 物価上昇に弱い低すぎる金利の債権市場 ■

金利の下がり過ぎた債権市場が最も恐れるのが金利の上昇です。

これはゼロ金利にペッグされた日本国債を例に取れば分かり易いのですが、物価上昇が本格的に始まって、物価上昇率が年率3%になったら、日本国債は多分破綻します。多くの金融機関が金利の見劣りする低金利の国債を保有したままでは債務超過に陥るからです。

同様に、多くの社債やジャンク債、国債において、本格的な金利上昇が発生すると、その市場は崩壊します。

■ 世界の物価は原油価格の変動に敏感 ■

「世界的に物価上昇は緩やかで、むしろインフレ率が低すぎる事の方が問題だ」という意見は当然ですが、物価上昇を抑制しているのは世界的な原油安と、新興国の過剰生産性です。

日本の異次元緩和の初期に物価が緩やかに上昇しましたが、この主要因は円安による原油価格の実質的な上昇でした。その後、原油価格が低位で安定したので、インフレ率も下がってしまいました。

「原油価格は今でも十分に安いでは無いか」とのご指摘もありますが、将来的にこの環境が保たれるとか限りません。仮に中東でサウジアラビアとイランの間で緊張が高まれば、原油価格は100ドル/1バレルの水準になるかも知れません。

■ 低金利の条件が一気に瓦解する ■

こうなると物価がポンと跳ね上がり、FRBの金利の引き上げペースも早まるハズです。ECBや日銀の資金供給量も絞られるはずですから、市場に流入していた緩和マネーが本格的な減少に転じます。

こうなって初めて、市場関係者は顔面蒼白になります。

一気に資金の流れが反転し、信用収縮が加速し、債券金利がグングンと上層します。

こうして、リーマンショック以降続いていたプラスの循環がマイナスになり、世界は未曽有の金融危機に突入するはずです。

当然、国債市場も混乱し、各国通貨の信用が揺らぎます。


・・・・ここで中東戦争が勃発する・・・・という事で前の記事に繋がります。


高まる戦争の危機・・・中東戦争

2017-11-13 05:28:00 | 時事/金融危機
 

■ 北朝鮮脅威論の裏で中東戦争の準備が進む ■

「トランプ・ビジネス」の為の見せかけの北朝鮮脅威の裏で、中東で確実に戦争の準備が進んでいます。

サウジアラビアでは先日、多くの官僚や、一部の王族が逮捕されました。彼らは「汚職」を働いたとされ、資産を国に没収されました。

これは中国の汚職一掃キャンペーンと似たもので、「不正」を理由に国王や新皇太子に敵対する勢力を排除したものと分析する専門家が多い。サウジアラビアは先般、クーデターに近い形で皇太子が交代しており、現国王とその息子である皇太子の権力基盤強化が急ピッチで進んでいます。

サウジアラビアはカタールと国交を突然断絶しましたが、今度はレバノンのハリリ首相がサウジアラビアで辞任を発表しています。ハリリ首相はサウジアラビアが後ろ盾になっていましたが、国内でヒズボラの支持が高まり政権維持が難しくなったので、ヒズボラと連帯する道を探っていたとも言われ、ボスであるサウジアラビアの機嫌を損ねたのではと言われています。

先日はシーア派組織が抵抗を続けるイエメンからサウジの首都リアドに向けてミサイルが発射され、これは迎撃されたものの、サウジ政府は背後にイランの存在を疑っています。

この様に、中東ではサウジを中心に、何やら緊張感が高まっており、きな臭い匂いが漂い始めています。

■ 中東戦争プロレスのシナリオを詰めう米露中? ■

トランプ政権では表向きのビジネスをトランプが担当し、裏のビジネスをティラーソン国務長官が担当しています。これはオバマ政権初期にオバマとヒラリーの関係に似ていますが、オバマが「広報担当」だった事に比べると、トランプはビジネスマンとしては有能です。

ティラーソン国務長官をトランプ政権に送り込んだのはキッシンジャー氏ですが、90才を越える高齢ながら、政権発足直後よるロシアに足を運ぶなど、何やら色々と画策しているご様子。

「いるティラーソンとトランプが北朝鮮を巡って対立している」などという報道がアメリカ国内ではされていましたが、トランプの娘婿のクシュナー氏がキシンジャー氏の影響を受けていると言われているので、トランプ政権の外交政策におけるキッシンジャー氏の影響力は非常に大きい。

「トランプ大統領は軍産複合体に屈した」などと一部のトランプ大統領を支持する陰謀論者がトランプを信じた自分達を擁護していますが、むしろ、軍産複合体が「キッシンジャーの戦争」に乗って来たと言う方が正しいのでは?

キシンジャーはティラーソンを使い、ロシア、中国、サウジなどと調整を続けていると思いますが、これは今後始まるであろう「中東戦争プロレス」の下打ち合わせをしているのでしょう。間違ってもロシアや中国がアメリカと直接戦闘にならない様にシナリオを詰めている・・・。

サウジアラビアは従来アメリカから武器を輸入していました。これは石油輸出で稼いだドルをアメリカに還元するシステムでしたが、そのサウジアラビアがロシアの地対空ミサイルを購入する事を発表しています。サルマン国王自らがロシアで出向いて約束を交わしています。

本来、アメリカはこの契約に不快感を示すはずですが、傍観しています。これは裏で米露の調整が既に済んでいる事を暗示しています。

アメリカはシェールガス(オイル)の生産量が拡大しているので、中期的には中東の石油依存度が低下して行きます。中東で戦争を起こすタイミングとしては、最適な条件が揃い始めています。

■ 「イランをぶっ潰す」ハズが中東から撤退する米軍 ■

イエメンからリアドに発射されたミサイルは迎撃されましたが、今後、この様な事態が再び起こらないとの保証は有りません。ミサイルの発射がイランに支援されたイエメンのシーア派民兵組織であろうが、ペルシャ湾に配備された米艦からのものであろうが、犯人はイランにされるでしょう。今回の「偽旗」は多分、サウジアラビアに対するミサイル攻撃でしょう。

こうして「サウジアラビア+湾岸産油国」と「イラン+シリア+イラク+イエメンのシーア派+ヨルダンのヒズボラ」の戦争が始まりますが、エジプトとトルコは傍観を決め込むのでは無いか・・・。トルコは国内のクルド勢力対応で手が一杯になるはず。

サウジ組をアメリカが支援し、イラン組を中露が支援しますが、直接戦闘を避ける為に空爆中心の支援になると予想されます。

ところで気になるのがサウジアラビアが購入するとされるロシア製の地対空ミサイルですが、ブラックボックスの中身はロシアが握っています。同様のミサイルを購入したトルコはブラックボックスの中身の開示を要求していた様ですが・・これはロシアに拒否されています。

ブラックボックスには敵味方識別のシステムも組み込まれているハズで、S400がロシア空軍機を標的にしても外れる可能性は否定できません。いえ、もしかすると、イラン空軍機やシリア空軍機も標的から外されている可能性が有ります・・・。

イスラエルの出方も気になりますが、イスラエルはハマスとの戦闘に忙殺されるので、サウジアラビアの支援を十分に出来ない可能性も高い。イスラエルは核ミサイルを保有していますから、イランとてイスラエルを直接攻撃はしないハズです。

こうして考えると、「イランをぶっ潰す」とトランプが始めるであろう戦争は、中露に支援されたイランなどシーア派勢力の勝利、或いは優勢での停戦になる可能性が高い。これにより、中東での中露の影響力が強化され、アメリカの影響力は大幅に低下するハズ。

トルコが既にロシアにすり寄っているので、ロシアから中東に至る産油国のネットワークが構築され、安定した原油供給を背景にBRICs諸国の経済が発展して、世界は次の成長のエンジンを手に入れる・・・私はこう妄想しています。

■ 東アジアの防衛は自分達で宜しくネ! ■

現在の米軍の力では、中東と東アジアで同時に大規模な作戦を展開する事は不可能です。だいたい東アジアの戦争となれば、米中、米露といった核保有国同士の直接戦闘に発展する可能性が高く、これは両陣営ともに絶対に避けたい。

だから、私は北朝鮮有事は絶対に発生しないと信じています。ただ、ミサイルで日本にチョッカイを掛けて、憲法改正を支援し、日本が東アジアの集団安全保障体制に組み込まれる事を支援する。

中東の戦争で中露と対立するであろうアメリカは、中露との直接戦闘を避ける為にも、東アジアの防衛を東アジアの親米国家に丸投げする可能性が高い。その方が米国製武器が売れて、さらにアメリカの防衛予算も削減できます。

■ 全ては通貨システムの為 ■

ところで、中東で戦争が起こされる根本的な原因は何か・・・・。私はドルの信用保持と、来るべき通貨システムの為だと妄想しています。

私はリーマンショック以降の超緩和的金融政策は、リーマンショック以上に危機(多分、国債も含めた債権危機)に必ずや発展すると妄想していまうが、この影響が米国債に及べば、ドルの信用危機が必ずや発生します。

これはニクソンショックに似ていますが・・・この時は中東戦争によるオイルショックがドルの価値を支えました。同様の事が短期的には発生するのでは無いかと妄想する。

但し、次に起こる中東戦争の結果、中東の産油国への中露の影響力は強まるので、ドルの信用は相対的に低下すると予測されます。こうして、「強いドルの時代」が終焉し、中露が主導する新しい強い通貨、あるいは世界共通通貨の時代が始まる。そして、世界は新たな成長のエンジンを手に入れるのでしょう。


最近のナリフリ構わない安倍政権を見ていると・・・そう遠く無い未来の話だと妄想してしまいます。


■ 中東戦争はいつ起こるのか? ■

では、「そう遠く無い未来」とはいつの事なのか・・・。

1) 大規模な金融危機が国債や通貨の信用危機に発展する頃
2) 日本が憲法改正を実現した後
3) サウジアラビアやトルコがロシア製のS400を本格的に実戦配備した後

そう考えると、次なる金融危機の影響が国債市場に波及するであろう2020年以降では無いか・・・。まあ、短期の投資をされている皆さんにとっては「遠い未来の出来事」なのかも知れません。