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Line時代の群像劇・・・『Just Because!』は傑作だ

2017-11-28 07:00:00 | アニメ
 


『Just Because!』より

■ 今期アニメのダークホース 『Just Because!』 ■

今期アニメはダントツで『宝石の国』が素晴らしく、私的には2017アニメのベスト1は確定。

次を追うのが『アクションヒロイン・チアフルーツ』と『月がきれい』ですが、ここに来て第三コーナーから猛烈な追い上げを見せるのが『Just Because!』

■ 「群像劇の妙手」現る ■

中学時代まで過ごした藤沢の高校に転校して来た泉 瑛太。高校三年生の三学期の転校という事もあり、クラスには編入せずに自習室登校を選択します。

学校には中学時代の野球部の親友の相馬 陽斗と、クラスメイトだった夏目 美緒が居ますが、連絡も途絶えていたので再開しても直ぐには相手が分からなかった。そんな3人ですが、夏目は相馬を、泉は夏目を中学時代から思い続けている絵に描いた様な三角関係。

肝心の相馬はブラスバンド部の地味な森川 葉月に何故かゾッコンで、告白しようと迷っています。ホームランを打ったら告白する・・・そう決めてバッターボックスに立ちますが、何故かピッチャーは再会したばかりの泉。

そんな二人をグランド脇からワクワクしながら見つめるのは写真部の二年生の小宮 恵那。彼女は「謎の転校生」に興味津々で、二人の対決に夢中でシャッターを切ります。

そして、二人の野球対決を校舎の上から見つめるのはブラバン部の森川。相馬が自分への告白を掛けてバッターボックスに立っているなどとは知らず、夏の予選を思い出してトランペットで応援歌を吹き始める。すると、バラバラに練習していた部員もそれに加わって、二人だけの野球対決を盛り上げます。

「謎の転校生」という写メを写真部の小宮から受け取った夏目は「え、そんなの聞いてない」と急いでグランドに目をやります。野球対決を終えた二人がマウンドで笑い合うのを見ながら「笑えないよ」と一言。相馬への煮え切らない思いを入試を控えた苛立ちで誤魔化します。

一話のストーリーを書いてしまいましたが・・・グランドの野球対決を見つめる夏目、森川、小宮を同じ時間で捉え、次々にカットを切り替えて行く演出はスリリングです。何気なく見つめる野球対決が、その後の彼らを強く結び付けて行く。

■ Line時代の群像劇 ■

5人の高校生の群像劇の『Just Because!』ですが、この作品の特筆すべきは「同時間性」。

群像劇の多くはAが〇〇していた時、BとCは▽▽をしていた・・・といった描き方をします。この同時間性は上に書いた冒頭の演出にも表れていますが『Just Because!』で面白いのはLineのグループ会話が、離れた友人達をリアルタイムで繋いでいる所。

『月がきれい』でもLineの会話が効果的に使われていましたが、あくまでも主人公二人の会話であって電話とあまり変わりません。

ところが『Just Because!』では友人5人のLine会話と、その他の二人だけのLine会話が使い分けられながら物語が進行します。そしてそのいずれの会話も「舌足らず」なのが面白い。誰も本音を語らない。或いは語れない。

こんな感じでLineで繋がる群像劇は、離れた場所の友人達を緩やかにリンクしながら進んでゆきます。二人で居る所に、他の人のLineが着信して状況がリアルタイムで変化する。

■ 6話で繰り替えされる野球対決 ■

1話の野球対決のシーンがあまりに見事だったので2話目以降が「間延び」して感じられますが、6話で再び野球対決となります。

今度は相馬は、告白を断られて関係がギクシャクしてしまった森川からのLineに返事を出すかどうかを掛けてバッターボックスに立ちます。

これを再び異なる場所で、夏目、森川、小宮が見つめる訳ですが、前回はただ眺めていただけの彼女達ですが、今度は彼らと強い関係性を持った状態で野球対決を見守ります。夏目も森川も何かを決意し、そして小宮は恋の予兆を感じ取ります。

1話と似た構造のシーンを6話で再演する事で、お互いの関係性の変化を際立たせて見せる脚本には、ただただ唖然とするばかりです。

■ 脚本は『さくら荘のペットな彼女』の原作者、鴨志田一 ■

見事なオリジナル脚本を書いているのはシリーズ構成も務める鴨志田一。『さくら荘のペットな彼女』のラノベ原作者ですが、この作品のアニメ化以来、岡田磨里と一緒に仕事をする事が多い様です。(サムゲタン事件で闇に葬られたアニメ版。これだけでもネトウヨは万死に値する)

群像劇としての岡田脚本の良い点を吸収しつつ、さらに構造的に複雑な脚本をものにしています。

監督は小林敦という方らしいですが、あまりネットに情報が有りません。空気感を大切にした丁寧な演出を心掛けている様ですが、お手本は京アニに『響けユーフォニアム』といった感じ。

背景は実写を画像処理しているらしく、ここら辺の技術の進歩には舌を巻くばかりですが、動画の相性は悪くありません。

特に6話ラストの河原での相馬と森川のシーンなどは、夕焼けから薄暮に移ろっていく様が実に美しい。『カラフル』の原恵一を思い出しました。

制作は小さな駆け出しの会社らしく、作画が残念な回も多いのですが・・・それを補て余りある内容の作品です。

■ 「やなぎなぎ」がいっぱい ■

OP主題歌は「やなぎなぎ」。



彼女の独特の歌詞センスと、透明な歌声、私の中では「ザ・アニソン」を象徴する存在です。
今回はやなぎなぎはEDの作詞作曲と音楽プロデュースも担当している様です。



彼女は音楽集団supercellの初代ボーカリストですが、私が彼女を知ったのは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のOP「ユキトキ」から。

「アザレアを咲かそう・・・」という歌詞のインパクトがあまりに凄くて・・・それ以来ファンです。

作曲が石川智晶になると雰囲気がガラリと変わります。



『凪のあすから』のED「アクアテラリウム」は名曲です。


■ 「泉先輩をデートに誘っていいですか」「だめ・・・」 ■

今期ダークホース筆頭の『Just Beause!』ですが、物語は佳境に差し掛かっています。7話のラストで小宮が「泉先輩をデートに誘っていいですか」と夏目に直接切り出します。夏目の答えは「だめ・・・」

この展開で「だめ・・・」はアニメ史上に残るのでは無いか。従来ならば「別に、何で私に聞必要があるの?」と切り返すシーンです。

これまで煮え切らない夏目と泉の関係に視聴者はジリジリとモドカシイ思いをしていますから、この「だめ・・・」は爆弾級の破壊力を持ちます。脚本における「一言の力」ってスゴイ。


毎回、見事な「引き」で次週が待ち遠しい『Just Because!』、このままきっちりと終盤まで描き切れば今期アニメの上位にランクインしそうです。


・・・しかし、小宮さんが振られて泣く姿しか想像出来ない・・・。小宮ファンとしては複雑な心境です。




年金って本当に貰えるの?・・・ちょっと不安だから調べてみた

2017-11-28 03:52:00 | 時事/金融危機
 

■ 年金受給開始年齢が75才になる? ■

自民党の有識者会議が公的年金の受給開始年齢を70才以上に出来る仕組みを提言するなど、国民年金の受給開始年齢が75才に引き上げられるのではないかとの報道がされています。

正確には「受給開始年齢の選択肢を75才まで広げる事で、支給金額を増やす選択も出来る制度にする事を検討する」と言う方が正しいかと・・。

ただ、年金の受給開始年齢は世界的に引き上げられる方向に有り、日本の国民年金の受給開始年齢の65才は先進国の中では決して高い年齢ではありません。

75才の繰り下げ受給が検討されるという事は、将来的には国民年金の受給開始年齢は70才になると見て間違い無いでしょう。(厚生年金もリンクするはず)

■ 厚生年金の受給開始年齢は65才になる ■

厚生年金は出生年によって受給開始年齢が変わって来ますが、現在65才以下にも支給されている報酬比例部分は男子では昭和36年生まれ以降、女子では昭和41年生まれ以降の方では廃止されるので、私の様な昭和40年生まれは65才まで厚生年金は貰えなくなります。

以前は60才が受給開始年齢であった国民年金も、現在は原則として65才が開始年齢です。しかし、60才で国民年金をもらう事も出来ます。但し、最大で30%の減額となりますので、月額は4万5千円程の減ってしまいます。

但し、先述した様に受給開始年齢は引き上げられる方向にあり、将来的には70才まで引き上げて、65才からもらう事も出来るが減額され、75才まで支給開始年齢を繰り下げる選択も出来る制度となるでしょう。

■ 定年延長によって65才までの雇用を義務付ける ■

将来的に年金の受給開始年齢は65才となりそうなので、同時に雇用期間を65才まで伸ばす政策が実行されています。

2019年度から公務員の定年年齢は段階的に65才まで引き上げられます。民間企業は60才定年が一般的ではが、給与は減りますが「65歳までの継続雇用制度の導入」が義務付けられています。

「給料が半分になったのに、仕事量は変わらないよ」と文句を言いながらも、60才以上の方がバリバリ働いている(働かされている)のが現在の日本です。

■ 私の世代は65才まではビタ一文も年金が貰えない? ■

ここで、最初の「75才支給開始の選択肢」に話を戻しますが、現在の国民年金の受給が65才±5才という事は、将来的には国民年金の受給開始年齢が70才±5才となる事は充分に想像出来ます。

厚生年金も国民年金も65才まではビタ一文も貰えない時代は、確実に到来するでしょう。多分、昭和40年生まれの私の年金はそうなるハズ・・・。

■ 世代間格差の極みとも言える年金制度 ■

早い人は18才から年金を払い始め60才までは払い続ける義務が在ります。

滞納者が多いと言われる国民年金も、現在では年間所得が300万円以上(給与総額では在りません)の人は、14か月以上国民年金を滞納すると、資産が差し押さえられます。(本人が払えなければ配偶者の資産も差し押さえ)。

これ、ほとんど年金と言うよりは「税金」に等しいのですが・・・私達の世代の年金はどんどん遠のいて行きます。まるで逃げ水の様に・・・。

現在年金を払っている世代は確実の払った額を貰えず、現在年金を貰っている世代は確実に払った額より沢山貰える・・・まさに世代間格差の極みと言えるのが現在の日本の年金制度です。

この歪がどうして生まれたかと言えば・・・戦後、年金制度の無い時代に現役だった方々が老人になった時に「無年金」になってしまったから。そこで現役世代の払う年金を老人が受給する「賦課(ふか)方式」という年金制度が誕生した。

まともな国ならば、徐々に「積立方式」に移行して、自分の払った年金は自分で貰う制度に変更されるのですが、日本ではこれが出来なかった。

一つの理由として、日本のインフレ率がバブル時代までは高かったという事が挙げられます。「積立方式」は運用方法が悪いとマイナス運用になる恐れが有り、又、インフレ率が高いと貰う年金が「ちんけ」な額になる恐れもあります。

■ 将来的なインフレを考慮すれば「賦課方式」を維持した方が得策? ■

ここで問題となるのが「将来のインフレ率」です。

日本は既にステルス財政ファイナンスに突入していますから、どこかの時点で通貨の信用棄損によってインフレ率は急上昇するはずです。仮に10%を超える様なインフレ率が続いた場合、「積立方式」の年金は「ちんけな額」になってしまう可能性が大きい。

一方、現在の「賦課方式」の場合、マクロ経済スライド方式を少し手加減してあげれば、或いは受給開始年齢を引き上げれば、「少しちんけな額」に押さえながら、年金制度を維持する事が可能になります。

日本の官僚は優秀ですから、将来の財政破綻の事も考慮して、年金制度を「賦課方式」のままにしているのでは無いか・・・私はそう妄想しています。


70才まで現役で働く体力は維持しないとイケナイ。そんなムリゲーな時代を私達は生きて行くことになりそうです。