「ひろのひとりごと」さんにコメントしようとしましたが、散漫な内容なので、メモとしてブログに残しておきます。
■ 「仕方ない選択」が政治の本質 ■
農業人口の将来的な減少を考えると、日本の食料自給率は確実に下がります。これを国内で賄おうとすると、受給関係によって国民はかなり高い食費を負担する事になり、エンゲル係数が増大して低所得層の生活は困窮します。
現在、畜産農家の減少が社会問題化していますが、飼料を輸入する日本において、国産の畜産物の輸入に対する価格競争力は弱く、経営が安定しない為に後継者は当然減少します。他の作物も同業ですが、政治の世界では「現役の農家」が存在する限り、彼らを無視する事が出来ない。ごく一部の捕鯨で生活を立てる人達を保護する為に、国際世論を敵にまわす事を不合理としないのが現実の政治。
「TPPで日本の農家がダメージを被らない」というのは全くの「妄想」で、経営努力の足りない農家や、経営規模の小さい農家は中期的には淘汰されます。これが悪い事かと言えば、足りない労働力を生長産業に振り向けたり、農家の株式会社化の為の土地の集約と労働力の供給だと考えれば、合理的だとも言えます。但し、現在の農村のコミュニティーの維持は難しく、文化や伝統の継承といった無形の価値を犠牲にします。
TPPで問題になる「食の安心安全」の問題は、「安心や安全はお金で買う」事で解決します。縮小を続ける日本の経済で、全ての人に「安心・安全」を保障する事は不可能です。低所得者は現状でも「安全」よりは「安さ」を優先しています。国家は国民を飢え死にさせる事は出来ませんから、多少安全性に疑問があっても、安い食料を国民に確保する義務を負っています。
という訳で、何が言いたいかと言えば、TPP支持者の方や、自民党支持者(安倍支持者)の方が多くが「良い点」を強調するのが「ウソくさく」感じるだけで、「現実」というスケールに当てはめれば「仕方ない選択」である事が世の中にはとても多い。
働き方改革にしても、雇用の確保の前に、企業間の国際競争を勝ち抜かなければ雇用はもっと大きく失われます。AIやロボットなどの「自動化」の時代に、企業は日本企業が国内に留まるインセンティブは低い。だから減税や様々な優遇策で企業の海外流出を阻止しなければなりませんが、その分の負担は消費税増税の様な形で労働者が負う事になります。それでも「雇用」が確保される事で実はオツリが来ます。これも「仕方ない事」で片づけるのは容易ですが、それを国民に納得させる事は難しい。
■ 民主主愚を支えていたソサエティーの変質 ■
『BEATLESS』の原作は、とても示唆に富んだ事が書かれているのですが、「企業」や「会社」というものが「奴隷制度」の延長にあると看過しています。ただ、「奴隷」よりは「賃金労働者」は幸せです。
民主主義とは、本来「不公平である社会」を「公平」に見せる欺瞞ですが、それ故に国民は政治に「不正」を許しません。ところが、現状は公然と「不正」がまかり通て、国会で「嘘」が垂れ流されています。
これが許される社会というのは「公平の幻想」が消失した事を意味するのでは無いか。「公平」の概念を裏打ちしているのは「利益を共有する集団」ですが、それは従来は「村」であり「近代国民国家」でり、「企業」であった。しかし、資本主義が長期継続する中で格差はこれらのソサエティーの中でも拡大し、最早「公平」という幻想を支える事が出来ない。
一方でネット社会の主具現は、「ソサエティー」という枠を跳躍して直接人々が関係する世界を生み出しています。例えばSNSなどのネットコミュニティで人々は同じ趣味などで繋がっていますが、実際のソサエティーを共有しません。
陰謀論やネトウヨ言論に顕著ですが、ネットでの繋がりは、現実を無視する事で「ソコダケノファンタジー」を形成し易い。ネットの黎明期には「2ちゃんねる」などの閉じたコニュニティーの閉じ込められていた「ファンタジー」は、ネット利用者の拡大と共に現実の社会に「流失」します。これは現在無視できない規模にまで拡大しています。
「陰謀論」がトランプ大統領を生み出し、「ネトウヨのファンタジー」が安倍政権を支えています。トランプや安倍氏を支える(使う)人達は、この現象に自覚的で、意図的に彼らを誘導する発言をさせています。要は「煽って」いる。
政治に対する国民の変化は(世界的な現象)は、「ファンタジーの拡大」とは無縁では有りません。日本に限らず世界中で「現実」と「ファンタジー」がせめぎ合っている・・・それが現代の世界の政治的背景なのかも知れません。
モワモワとした妄想ですが・・・・個人的には意外に的を得ているかなと思ったりして・・・。