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自国通貨建ての国債は暴落しない?・・・暴落はするけれどデフォルトはしない

2012-11-26 02:33:00 | 時事/金融危機
 


■ 自国通貨建ての国債は暴落しない ■

最近、三橋氏の支持者の方達が主張する「自国通貨建ての国債は暴落しない」という主張。

1) 国債を大量に発行しても、国の支出は国民の所得や企業の収益となる
2) 国民の所得や企業の収益は銀行預金として預けられる
3) 景気が悪化した状態では銀行預金は国債で運用される
4) 外貨預金に資金が流れても、円が消える訳では無い
5) 円は日本でしか使えないので、おのずと日本に還流し銀行預金になる

概ねこの様な主張かと思います。
一見、どこにも間違いの無い理論です。

■ 日本国債を20兆円増刷しても需給バランスは悪化しない?! ■

安倍総裁が首相に就任して、日本国債を年間20兆円ずつ増刷した場合はどうでしょう。

1) 現在の赤字国債、44兆円に20兆円上乗せして合計の赤字国債が64兆円。
2) 仮に20兆円を建設国債としても、国債の供給量が20兆円増える事には変わり無い
3) 借り換え債の発行が115兆円。(2013年度)
4) 合計で単年度の国債発行額が約179兆円。
3) 税収42兆円(平成24年)

さて、単年度で179兆円の国債を市場が消化できるでしょうか?

建設国債の20兆円が問題です。
建設国債の償還期限は60年です。
その間にどのくらいインフレが進行するかの予測で金利が決まります。

ところで、60年後に償還される国債に魅力はあるのでしょうか?
多分、償還目当てでは無く、市場で売買される金融商品として買われるのでしょう。
さて、こんな国債が市場で人気が出るでしょうか?

安倍氏の政策は日銀の量的緩和とセットになています。

1) 日銀にマネタリーベースを20兆円拡大させる。
2) 財務省が金融機関に新発国債の割り当てを決める。
3) 資金は日銀がほぼゼロ金利で供給する。
4) 建設国債の増発20兆円分も市場で消化される。
5) 日銀が国債を20兆円多く市場から買い入れる

これが「自国通貨建て国債」の旨みで、新発市場の需給バランスは、
中央銀行の資金供給によって確保できてしまいます。

日本国債は現物市場で年間7700兆円、一日平均で30兆円弱取引されています。
年間で20兆円増えた所で、大勢に影響は無いとも言えます。

日銀が資金供給を続け、財務省が金融機関を統率する限り、
新規国債市場の需給バランスは崩れそうにありません。

どうやら、「自国建て国債」は内的要因では、容易に受給バランスが崩れないのは本当の様です。

但し、現在の日本国債は、日銀の間接的買い入れによって支えられているとも言えます。



■ 海外のヘッジファンドが日本国債を売り浴びせるケース ■

それでは良く言われる、ヘッジファンドの売り浴びせについて考えてみます。

1) 日本国債の海外保有は10%程度(約100兆円)
2) 日本の格下げなどをきっかけに、仮に10兆円規模の日本国債が一斉に売られる
3) 日本国債の一日の現物売買の出来高は30兆円弱
4) 10兆円の売り圧力は30兆円に対して十分の大きい
5) 10兆円を日本の金融機関が買い切れなれば日銀が購入する

ここから先がシナリオの別れる所です

6A)市場が日銀の買い支えで平静を保ち、日本国債の暴落が阻止される
6B)市場に不安が広がり、日本国内の金融機関も売りに転じて、国債が連鎖的に暴落する

国債が暴落しないという方の反論は次の様なものかと思います。

1) ヘッジファンドが日本国債を売っても、手元に残るのは「円」である。
2) 円が無価値になる取引を、彼らが仕掛ける合理的理由が存在しない

これは確かに説得力のある説明です。
かつて、日本国債の売り浴びせを仕掛けたヘッジファンドは、
一方で、空売りによる利益を目論んでいました。

ところが、国内の金融機関が買い支えてしまった為、空売りに失敗して損失を出しています。
日本国債の空売りは、こういったファンドの経営者が自殺した事から
「後家作り」などとあだ名される、無謀な取引と言われています。

一日の現物市場の出来高が30兆円弱、
先物市場の出来高が4兆円強。
先物市場で売り浴びせて、暴落を狙うのでしょう。

現在、ヘッジファンドが保有する日本国債は70兆円に達するという説もあります。
国内の金融機関が買い支えられない規模の売り浴びせがどの程度か、
それが、3兆円規模なのか、5兆円なのか、10兆円なのか・・・・

70兆円という海外ヘッジファンドの保有高は、
既に、十分脅威となるレベルです。

かつてジョージ・ソロスがポンドを売り崩した様に、
現在の日本の円高が、過剰な円高だとするならば、
ヘッジファンドが日本国債暴落に伴う円安で、巨利を稼ぐ事も不可能ではありません。

ただ、それも程々にしないと、日本発の世界危機に発展する可能性があります。
結局、テクニカル的にはヘッジファンドによる日本国債暴落はあり得ますが、
世界経済を犠牲にする程の動機が無い事が、安全弁となっているのでしょう。

要は、いつでも暴落させられるけど、やるメリットが無い。


■ 銀行の取付騒ぎが発生すれば日本国債は暴落する ■

上の理論が正しいにも関わらず、日本国債が破綻するケースを考えてみます。
外的要因で、日本国債の需給バランスが崩れるケースとして、
海外で発生した金融危機により、金融機関で取付騒ぎが発生する例を考えてみます。

1) 海外で大規模な金融危機が発生する
2)銀行に殺到する海外の人々の映像を目の当たりにして、日本の老人達が不安になる
3)日本の銀行も危ないという風説が流れる
4)人々が銀行に殺到して、預金を引き出そうとする
5)取付騒ぎに発展して、銀行がシャッターを閉じる様な事態になる
6)銀行から預金流出して、銀行が国債を売却して現金を確保しようとする
7)国債が暴落する

極端な例ですが、あり得ない話ではありません。
韓国では日常茶飯事ですし、日本でもかつて信用金庫などで取付騒ぎが発生しています。
人々が銀行に安心して預金を預けていられるのは、
その預金が守られていると信じているからです。
ペイオフ制度があるとは言え、不安に駆られた人達は、現金化の選択をしないとも限りません。

■ ユーロの崩壊から日本国債が売られるケース ■

それでは、世界的な金融危機が発生して、いわゆる「国債バブル」が弾けるケースはどうでしょう?
ユーロの崩壊を想定してみます。

1) リーマンショック以降、世界の国々は国債を大量に発行している
2) 民間の負債が、国債という形で、中央銀行に集中している
3) ユーロが崩壊が発生する
4) EU諸国の国債が暴落する

ここでも結果は2通り考えられます

5A) 資金がユーロからドルと円に大量に流れ、日本国債は勝ち組になる
5B) 国債の信用が一気に崩壊して、米国債と日本国債も暴落し、世界はジ・エンド

さて、ユーロ崩壊の様な極端な危機が発生した場合、
マーケットのプレーヤーはどう反応するのでしょうか?
尤も、ユーロ崩壊の様なケースでは、全ての市場が冷静さを取り戻すまで閉鎖されるのではないでしょうか?

市場が再び開かれるまでに、対策が打たれれば大丈夫かもしれませんが、
多分、ユーロ崩壊を目の当たりにしたら、世界の人々は預金を下ろしに銀行に殺到するはずです。
結局、市場を閉じた所で、世界的な取付騒ぎが起きる事が想定されます。

■ 米国債が暴落するケース ■

基軸通貨の米国債が暴落するケースを考えてみます

1)金融危機の再発で米国内で金融機関が危機に陥る
2)再び財政出動で、FRBが大量の米国債を買い入れる
3)世界が米国債を売り始め、米国債の暴落が始まる
4)FRBが無制限に米国債を買い支え、ドルの信用が一気に失われる
5)アメリカがデフォルトを宣言する

このケースでは、世界経済も同時に破綻します。
日本の金融機関と政府の保有する米国債とドル資産が一気に価値を失います。

日本政府が外貨預金として積み上げた米国債がデフォルトすれば、
日本政府のバランスシートが一気に悪化します。
ここで、日本国債売りが発生しそうですが、
ドルと米国債が破綻した段階で、日本の金融機関では取付騒ぎが発生するでしょう。

まあ、「金融危機って、いつ来るの?」と言われてしまえばそれまでですが、
それは「世界の景気っていつ回復するの?」という質問に近いかもしれません。

世界は莫大に積み上げた負債を既に処理し切れません。
量的緩和で、絆創膏を傷口に貼る様な手当を繰り返していますが、
デリバティブ残高は既にリーマンショック以前の水準を超えています。
再び、信用不安が発生すれば、どうなるのか・・・誰でも予測可能なはずです。

■ 米国で暴動が発生するのが一番怖い ■

私は米国で暴動が発生するケースが一番怖いと思っています。


1)金融危機が発生し、再びリーマンショックの様な状況になる
2)失業者が街に溢れる
3)ふとしたきっかけで暴動が発生する
4)暴動が全米に広がり、収拾が付かなくなる
5)銃を持った群衆と、軍の攻防に発展し、内乱状態になる。
6)米国債がデフォルトする
7)場合によっては、州単位で連邦から離脱してアメリカ合衆国が消え去る

アメリカの南部諸州は、毎度の様に連邦からの独立法案が州議会に提出されるお国柄です。
連邦のメリットである強いドルが消滅すれば、連邦崩壊もあり得ない話ではありません。
アメリカ合衆国が消えてしまえば、ドル崩壊の責任も追及出来ません・・・。

まあ、こんな事は起きてはいけないのですが・・・・。

■ 金融危機の再来はあり得ない未来か? ■

結局、日本国債は内的要因では、なかなか暴落しません。
これは米国債にも、南欧債にも共通していて、
中央銀行が直接的、あるいは間接的に買い支える限り、
金利上昇を防ぐ事が、ある程度は可能だからです。
但し、これはある程度、需給バランスが安定している場合に限られます。

世界的金融危機の再来の様な、極端な外的危機に際しては暴落も起こり得ます。
現在、ヨーロッパの銀行などでは南欧債をECBの資金で買い支えていますが、
危機が深化するのつれて、ストレスも高まっています。
ギリシャのデフォルト(既にデフォルトと同様ですが)などのショックで、
金融機関が一気の南欧債を手放す様な事になれば、
スペインやポルトガルはデフォルトの危機に陥ります。
この時、EUの足並みが揃わなければ、一気に危機が深刻化します。

結局、金融危機の再来が発生するかに世界の運命は委ねられています。

■ 金利の上昇にこそ注意が必要 ■

中央銀行の国債の直接引き受けは、通貨政策上のタブーです。
しかし、ドルもユーロも円も直接的、あるいは間接的に既にこのタブーを犯しています。

ただ、その規模が「常識的」である内は、国債の需要が低下しない事がリーマンショック以降照明されたとも言えます。

一方、「常識」を逸脱すれば、市場は一斉にその国の国債を売り抜ける可能性は皆無ではありません。
例えば、日本国債を20兆増発して、景気が思うように回復しない様な場合、
国債発行を抑制すべきだとの圧力が生じるでしょう。
そこで、国債発行を抑制すると、景気が一気の底抜けして、
税収が壊滅的に減少します。
失業率も10%を超えて上昇した場合、市場は日本国債の安全性に疑問を持つはずです。

一日の出来高が30兆円もある日本国債の現物市場で、
売り圧力が高まった場合、それを吸収する事が出来るのか?
一旦、金利上昇が限界を越えれば、売りが売りを呼ぶ悪循環が発生します。
限界の金利上昇が1%なのか、2%なのかは不明ですが、
2%は金融機関の含み損を考えると、それなりに危険水域ではないかと思われます。

日本の金融機関はIMFの調査に対して、
国債金利が1.5%に達したら国債を売却すると回答しています。


白川日銀総裁のエレガントな不景気政策で、金利上昇を抑えてきた日本国債ですが、
自民党政権が国債増発をごり押しした場合、需給バランスが崩れば、
金利は短期間に1.5%到達するはずです。

私達は、景気回復を熱望していますが、
その為に国債を大量に発行する危険性を、もう一度真剣に考える必要がありそうです。


■ 最早止められない量的緩和 ■

本当の危機は意外にも、世界の危機は、景気回復局面で訪れるかもしれません。
リーマンショックが、日本のゼロ金利政策の停止による金利上昇によって発生した様に、
世界にジャブジャブ撒かれる、緩和マネーが停止した時、
世界経済はどこかで目詰まりを起こすのでしょう。

それは、多分、株式市場などよりも余程巨大な債権市場で発生するはずです。

「国債市場はバブルでは無い」と言う人も居ますが、
低利の資金の枯渇で崩壊する市場こそが「バブル」なのでは無いでしょうか?


一番の危機は、ドルの供給量が減少した時です。
ドルはリーマンショック後、マネタリーベースを3倍程度に拡大しています。
アメリカはQE3を実施中ですが、規模は無期限としています。
既に、ドルは量的緩和を停止出来ないのです。

■ それでも自国通貨建ての国債は暴落しない ■

さて世界経済が崩壊したら日本国債はどうなるのでしょうか?

多分、日銀が全量買い上げるのでしょう。
その後は、日銀の直接引き受けへと進みます。

確かに自国通貨建ての国債は暴落しませんが、
インフレによって、国民の預金を政府が吸収します。

一方、他国に国債を大量に売っている国がデフォルトした場合、
損をするのは、海外の国債購入者です。

借金は返すものと考える日本人と、
借金は踏み倒すものと考える西洋人の文化の違いですが、
はたしてどちらが得なのか・・・?

安倍氏の政策は正しい・・・正論ではあるが、何か違う・・・。

2012-11-25 06:36:00 | 時事/金融危機
 

■ 「コンクリートから人へ」が支持された理由 ■

民主党の掲げた「コンクリートから人へ」の政策は、
政権発足時に、多くの人に共感を持って受け入れられました。

その理由は以下の通りだと推測されます。

1) 自民党政権は永年に渡り公共事業を行ってきた
2) 高度成長期の終了と共に、不効率な公共事業が増えた
3) 整備新幹線や、地方の高速道路など採算に乏しい公共事業が問題となった
4) 財政赤字が拡大し、財政圧縮の気運が高まった
5) 公共事業が利権の温床で、一部の既得権者が富を得る事に国民が反発した

6) 無駄な公共工事より、高齢化社会で必要とされる医療福祉分野への予算配分が求められた
7) 一部の人が儲かる公共事業より、公平な所得の再配分を国民が望んだ
8) 地方に投資される公共事業に、大都市の住民が反感を抱いていた

■ 共通通貨「円」によって富は都会に集中する ■

小泉改革以来の公共事業の縮小で、地方経済は瀕死の状態になりました。

本来、共通通貨である「円」を使用する日本では、
地方の資金は、預金を通じて、より資本効率の高い都市部に集中します。
ですから、政府が何もしなければ、地方経済は衰退します。


そこで、都市の税収を、地方に還流する必要が生じます。
それが、公共事業の本来の目的です。

公共事業とは所得の再配分の一形態なのです。

その公共事業が縮小された為、地方経済は困窮します。
公共事業で直接利益を得ていた建築土木関係の企業と従業員が減少します。
金回りの良い彼らを相手にしていた地方の歓楽街に閑古鳥が鳴きます。

さらに、大規模店舗法の改正により地方の街道筋に都会に本社を置く大型店が進出します。
車社会が進んだ地方では、駅前の商店街よりも郊外の大型店に客が集まります。
こうして、本来、地方経済に還元されていた消費支出が、都市部の企業に吸い上げられました。
結果として、地方の商業施設は衰退し、シャッター商店街が出現します。

■ 都市住民の声を反映した民主党政権発足 ■

日本経済が好調の時は、公共事業による再配分に国民は寛容でした。

しかし、バブルの崩壊以降、都市住民の生活レベルも低下します。
非正規雇用の拡大や、若者の失業率上昇などが顕著になります。
民主党政権の「コンクリトから人へ」の政策は、都市部の住民の心を捉えます。
都市部に新たに発生した貧困層は、公共事業による所得再配分の恩恵にあずかれないからです。

民主党が政権を取った原因は、都市部の議席数を大量に確保した事でした。
「浮遊票」と呼ばれる票が、民主党に集中したのです。

■ 「お湿り」にもならなかった民主党の「バラマキ」 ■

民主党は「子供手当て」など、分かり易いバラマキで政策をアピールします。

一方で、財源の手当ては、「埋蔵金」の発掘に頼っていました。
「仕分け」を大々的に実施して、「対財務省」の姿勢をアピールしますが、
実際には「仕分け」を仕切っていたのは財務官僚で、
さらに埋蔵金は、思っていた程発掘されませんでした。

財源が手当てされないので、「子供手当て」なども早期に終了してしまいました。

公立高校の授業料に無料化で、高校に通っていた子供達の中には、
授業料が納められずに、退学する学生も出る結果となりました。

民主党の「バラマキ」は、「お湿り」にもなりませんでした。

■ 「バラマキ」の裏で行われた「見えない増税」 ■

長引く不況で財源が逼迫した事により、民主党(財務省)は「見えない増税を」を行います。

「特別減税」を廃止したのです。
サラリーマンの方は、源泉徴収される為、ご自分の納税額に鈍感です。
しかし、給料明細を注意深く見ると、増税されている事に気付くでしょう。
消費税増税の議論が伯仲する裏で、増税は確実に行われているのです。

さらに、「国民総背番号制」と揶揄された「マイナンバー法案」が国会に提出されました。
しかし、これは個人事業主などの所得把握が確実になる為に、
自民党の反対によって、国会を通過していません。

■ 公共投資が減少し、生活保護が増大した民主党政権の政策 ■

民主党政権下で減少したのは公共投資です。
これは建築土木分野だけでなく、仕分けによって様々な予算が縮小しています。
一方、失業業率の増加により、生活保護世帯が増大しました。


生活保護に関しては、様々な意見がありますが、
「労働せずに、生活出来る事」が幸せかどうかは疑問が残ります。

民主党政権下においては、公共事業から生活保護へ、財政支出が変化しただけとも言えます。

■ 欧州型社会民主主義と、アメリカ型資本主義の間で揺れる日本 ■

日本は資本主義国家ですが、一方で、世界で最も成功した社会主義国家でもあります。
「和」を主じる国民は、「富の再配分」に寛容でした。


これは、欧州型の社会民主主義にも共通する感覚です。
欧州各国は、税負担が日本よりも高く、社会保障も充実しています。
「ワークシェアリング」などの制度も普及しています。

一方で日本の社会民主主義は若年層の多い人口構成が支えてきました。
高齢者など非労働者の割合が増加する中で、
低コストの日本の社会主義的システムは破綻し始めています。



一方で、日本は小泉改革以降、アメリカ型の資本主義に大きく方向転換しています。
バブル崩壊によって経済が縮小する中で、
従来の社会主義的システムを維持していては、企業の競争力が奪われるためです。
円高の影響を緩和する為には、高い人件費や社会保障費が企業の負担となったのです。
同時に、地方への富の再配分は、経済の非効率化として縮小されました。


その結果、地方では貧困化が進行し、
都市部では貧富の差の拡大という「二極化」が進行します。
この不満の受け皿となったのが、民主党政権である事は、前述しました。

■ 財政拡大無くしては成り立たない社会主義政策 ■

民主党の支持団体は労働組合です。
民主党の前身の一角を、旧社会党や民社党が占める様に、
民主党は半分は社会主義的政党です。

ですから、民主党がマニフェストにうたった政策は、社会主義的でした。
ところが、これらの政策は財政の拡大無くしては成り立ちません。
民主党は財政拡大政策を実施しながら、財政圧縮をするという自己矛盾を抱えて立ち往生します。


■ 戦後社会民主主義的政策の復活 ■

安倍総裁の打ち出す政策が注目を集めています。

1) 金融緩和を拡大してマネーサプライを増やす
2) マイナス金利(日銀当座預金)なども視野に入れ、資金のブタ積みを解消する
3) 建設国債の発行など、積極的に財政出動して資金供給と景気刺激を同時に行う
4) 規制緩和なども検討する
5) 為替介入は行わない
6) 3%のインフレ率を目指す

どれも評価に値する政策で、それなりの規模で実行すれば、
日本経済が復活する可能性は大きいと思います。

公共事業を柱とした経済活性化は、戦後の自民党の社会民主主義政策の復活とも言えます。
一方で、この政策が自民党政権末期同様、財政赤字の拡大をもたらす事は疑いがありません。

人工動態が高齢化に偏る社会では、
公共投資が高度経済成長時の様な経済効果を生む事は無いでしょう。
税収増による赤字の縮小という自民党支持者の主張が現実性の無い事は
私達が経験的に理解していることでは無いでしょうか。

日本の過去の公共支出と経済成長の相関や、
世界の別の国のこれらのデータが、
必ずしも現在の日本に当てはまらない事を無視した議論は危険なのです。



■ グローバリゼーションの時代に不効率な社会コスト増大政策が通用するか ■

財政と金融両面からの経済支援は、リーマンショック後の中国やアメリカの政策です。
アメリカはこの政策で、経済の失速を最低限に抑えてきました。
一方で、この政策が経済を回復軌道にまで乗せられるかどうかは、
今後の米経済の動向を見てから判断する必要があるでしょう。

中国は国営企業が経済を動かしているので、
民間の支出と、政府の支出の区別が付きません。

中国では、誰も済まないマンション群など、無計画な投資が注目されています。
地方政府が旗振役とって推進した開発計画が頓挫したのです。

これと同じ状況を日本もかつて経験しています。
地方自治体が旗振りとなって造成された工業団地やニュータウンが、
荒地となって放置されていた事は、記憶に新しいと思います。

あるいは、採算性に乏しい事から半官半民で運営された「第三セクター」方式の事業が、
ことごとく失敗して赤字の山を築いたことも記憶い新しいかと思います。

この様に、需要を無視した行政主導の事業は、ほぼ赤字に陥ります。
何故なら、採算性が合わないので、民間が手を出さない分野だからです。
結局、行政主導の事業は、将来に渡って黒字化しない事が宿命付けられています。


これらの不効率は資本主義的には否定されるべきものです。
一方、社会主義的には容認されます。
しかし、その非効率さ故に、社会主義国家は滅亡しています。


■ 「国土強靭化」という新たな看板 ■

安倍総裁と自民党が掲げる「国土強靭化」は、従来の公共事業の看板を架け替えただけに思えます。

確かに東北の大震災依頼、防災に対する感心が高まっています。

一方で、冷静に考えて、東北の海岸線を高さ10mを越える堤防で囲う事が現実的かという問題もあります。

何百年に一度、大津波に襲われる集落が、居住に適しているかは疑問があります。
人命が軽い明治時代以前ならば、津波による人命の損失は「仕方が無い」で済まされます。
人々は、しばらく非難した後は、漁業に便利な海岸近くに戻って来ます。
社会資本も、木造建築程度ですから、掘っ立て小屋なら直ぐに再建できます。

ところが、人の命が重くなった現代では、人命は何事にも優先します。
今回、10mを越える津波が発生した集落で安心して人が居住する為には、
10mを超える防波堤が必要となります。
まさに、中世の要塞都市の様に、海を眺望する事もままならない異様な光景が出現します。

ところで、車という運送手段が発達した現在、
そうまでして海辺に居住する必要があるかと言えば、これは疑問です。

ただ、先祖伝来の土地に対する責務は、日本人にとって重要なので、
「高台に引っ越すべきだ」と言う合理的主張が正しいとは言い切れません。

東北の津波災害危険地と同様に、日本の沿岸部は、どこも津波の危険が無いとは言えません。
リアス式海岸の様に、山が海に迫った入り江では、津波被害は起こりやすくなりますし、
房総半島などでも、元禄地震で、大きな津波被害が発生しています。

それでは、日本の津波警戒地の海岸線を、高さ10mの堤防で全て覆う事が正しいのでしょうか?
主観的判断をするならば、それは「美しく無い」と思えます。

■ 自然災害のリスクとコスト ■

NYを襲ったハリケーン・サンディーの被害に世界は驚愕しました。

大潮の満潮と重なったことが原因で、高潮による被害がNYで発生しました。
日本では当たり前の防潮堤や排水施設が、NYではオザナリになっていたのでしょう。

ところが、アメリカでは災害復旧の迅速さは賞賛されていますが、
一方でNYの防災施設を増強しろとの声も挙っている様です。

ところで、サンディーの報道で面白いのは、
台風通過後に直ぐに、保険支払いの総額が発表された事です。

アメリカ人は合理的ですから、被害が発生しても保険が支払わればOKと判断するのかも知れません。
保険料は値上がりするでしょうが、災害保険に加入する人も増えるでしょう。
災害すらも、彼らはビジネスチャンスに変えてしまいます。

ただ、保険に加入できない貧乏人は、リスクに怯えることになります。

アメリカでは今後、防災設備の補強のコストとメリットが測りに掛けられるでしょう。
しして、保険による損失のカバーも、その計算の中には含まれるのでしょう。

■ アルマジロの様に、殻に閉じこもる日本人 ■

災害の対応一つ取っても、日本人とアメリカ人の違いは明確です。

アメリカ人は最低限の対策をして、後は危機対応の迅速さと保険でカバーします。
危機に際しては、現場判断が充分に機能し、
命令系統が混乱しても、現場は充分機能するのでしょう。

一方、日本は危機に対して、事前の対策を重視します。
堅牢な堤防を築き、ダムを設置し、山も砂防ダムの要塞の様にして災害を事前に防ぎます。
防災訓練も、職場単位まで徹底して行い、予行練習に余念がありません。

しかし、予想を上回る危機が発生した時、対処が出来なくなります。
津波においても、地震後の予測行動が出来たかどうかが、生死を分けました。
復旧に際しても、命令系統が混乱すると効率的に活動が出来ませんでした。
しかし、個々人のレベルでは、混乱も無く、必至に災害に耐える姿が世界に感動を与えました。

何が良くて、何が悪いのかは、一概には結論できません。

ただ、リスクを積極的に取る事で収穫を得る狩猟民族と、
リスクを事前に極力回避して、収穫を守る農耕民族の差が明確に出ていると思えます。

日本は大きな危機を予知すると、アルマジロの様に殻の中に閉じこもる習性があるのでしょう。
「国土強靭化」は、そんな日本人の習性に強くアピールする事でしょう。


一方で、世界的危機を前に、日本人はやはりアルマジロの様に殻に閉じこもっている様に感じます。
安倍氏の打ち出した政策は、攻撃的の様に一見見えますが、
実は、非常に内向きである事が、気になります。


民主党政権発足時に、私達が見た夢を、今回は自民党に見ているのでは無いか?

国民が怠っているのは、実は、努力なのでは無いかと、
バリバリ働く東南アジアの若者と接して感じる今日この頃です。



アベってのがクレイジーな事を言ってるぜ・・・・でも首相になったら信じても良いぜ

2012-11-21 14:20:00 | 時事/金融危機
 

ウォールストリートのとあるバーの片隅で、グラスを傾ける二人の男達・・・・



「日本ではアベってのが、面白い事を言ってるみたいじゃないか?」

「そうなんだよ。もっと国債を増やせば景気が回復するって言ってるらしい」

「クレイジーだぜ。だって日本の国債のGDP比は200%に達しているじゃないか?」

「でも、不思議だよな、日本の国債は暴落するどころか、日銀の買いオペが未達だそうじゃないか」

「そりゃそうだよ。日本の銀行には預金が山の様にあるからな」

「だったら、金利の高い海外で運用した方が得だろう?」

「そうでも無いのさ。日本の海外運用は円高で為替差損を出しちまったからな。
 老人達は預金が一番安全だと思ってる。」

「しかし日本人もよく20年も不景気に耐えられるもんだな」

「あいつら、きっとマゾなのさ。自分でハラキリする位だから・・・」

「しかしアベってのも、マイナス金利とか、大胆だよね。」

「そうでも無いさ、スイスはマイナス金利じゃないか」

「あそこは、マイナス金利にでもしないと金が集まりすぎちゃうからな。ユーロがヤバクなる」

「日銀はマイナス金利を受け入れるのかなあ?」

「シラカワが総裁のうちは有り得ないだろう」

「そうだよね。シラカワは金利上昇を何よりも警戒しているからな」

「彼のやり方は実にエレガントだよ。日本を生かさず殺さずで安定させている」

「それに比べたらアベのやり方は、野蛮だな」

「カネをばら撒くだけなら誰でも出来るよな」

「そうそう、ルールを違反しても勝ちたいなんて、いかにもアジアの黄色いサルだ」

「でも、FRBだって相当ヤバイ事やってないか?」

「いや、オレ達はいいんだ。オレ達がルールだからな。ただ、サルどもがルールを破ったらお仕置きだ」

「シラカワはそこら変は、わきまえてる」

「ああ、財務省だって、誰がボスかは知っている」

「アベが知らないわけは無いよね・・・」

「そうだな。でも建設国債を日銀が引き受けたらアウトだ」

「ああ、確かに。償還される頃に日本があるかどうか?」

「でも、年間20兆円、日本の財政に余裕が出来れば、オレ達にも回って来るだろう」

「それもそうだ。それにTPPを盾に、建築市場に乗り込むって手もある」

「日本のゼネコン株は紙屑同然だから、買収すればぼろ儲けだ」

「確かに。サルどもに働かせて、ウワマイをはねるのは楽でいいや」

「アベってヤツは、結構イイヤツなんじゃないか?」

「まあ、首相になれたら、オレはアベを信じてもイイネ」

「確かに、お墨付きって事にはなるよな」




その頃ホワイトハウスでは・・・


「アベは良くやっているみたいじゃないか」

「そうですね。ドルが値上がりしています」

「財政の崖を乗り切るまでは、アベに頑張ってもらうか」

「円安でウォールストリートあたりでは、だいぶ日本株を買っている様ですね」

「やつらは、どうせ円高で売って利益を出したいんだろ。ボーナス代わりだな」

「ところでアベにもボーナスを出さないといけないですね」

「日本の首相のイスでよければ安いものさ」

「しかし、あんな座り心地の悪いイスのどこが良いのやら」

「ヤツラ、マゾなんだろ、きっと。」






自民党ファンの皆様、ゴメンナサイ。

安倍総裁の発言が、あまりにもヨイショされるので、思わず・・・・・。




安倍総裁は真面目な方ですから、きっと捨て身で日本を守る決意でしょう。

ただ、相手にするのが、怪物だというだけ・・・。



昨今の安倍氏の発言を聞いていて、

本気で通貨マフィアに喧嘩を仕掛けるのなら、安倍氏の事が心配になります。

格上の相手との喧嘩は、正面から挑んでも勝負になりません。

小沢氏の様に、逃げ回りながら、チョコチョコと反撃するのが良いのでは?



今、あまり大風呂敷を広げると、たたむ時が大変です。



まあ、大阪には、手品ヨロシク、次々に風呂敷を取り出すマジシャンも居る様ですが・・・。

リクードの選挙PRで殺されるパレスチナ人・・・アメリカへのプレゼント

2012-11-21 07:36:00 | 時事/金融危機
 



■ 21日には停戦合意がされるかもしれないパレスチナ紛争 ■

ロケット砲と空爆の応酬が続くパレスチナとイスラエルの紛争(戦争)ですが、
エジプトの仲介で21日には、停戦合意がされる見込みとなっています。

予断を許さない状況とは言え、地上戦に突入する前に停戦するのは、
イスラエルとパレスチナの共通の妥協点でしょう。

■ 仕掛けておいて、逃げ腰なイスラエル ■

地上戦に突入した場合、イスラエル兵の人的被害が増え、
イスラエル国内に厭戦感が広がる恐れがあります。

さらに、イスラエル軍がハマスの攻撃に過剰反応して、
必要以上の反撃をパレスチナに与えた場合、
エジプトがイスラエルに対して強硬な態度に変化するかもしれません。

エジプトはカダフィーという後顧の憂いが無いので、
イスラエル国境に軍を集結させ、イスラエルに圧力を掛けて来るでしょう。

さらには、ゴラン高原のシリアの反政府軍がチョッカイを出して来たり、
レバノンのヒズボラが、ハマスに刺激を受けてロケット弾攻撃を仕掛けてくるかも知れません。

ですから、イスラエルは戦闘が拡大する前に停戦に合意したいはずです。

■ 政権政党、保守派のリークードの選挙PR以外何物でも無い ■

今回のハマスとの戦闘は、イスラエルの政権政党であるリクードの選挙活動です。

ネタニヤフ首相はイスラエルの選挙を1月に繰り上げています。

そして、選挙を前に、国内の保守派勢力の支持を獲得する為に、
ハマスとの限定的な戦争で点数を稼いだというのが、
中東情勢に詳しい方達の見方でしょう。
これは2008年末の状況と極めて似ています。

イスラエルの保守派は二つに大別されます。

一方は、イスラエルの存続の為に周辺対立国との紛争は仕方無いが、
戦争を拡大して、中東紛争に発展する事は避けたい現実派の保守。

そして、もう一方は、周辺的大国を打倒し、
イスラエルの存続を確実にすべきと考える極右の勢力。

イスラエルの選挙前に行われる軍事行動は、
だいたい、この両派が納得するラインを狙って行われます。

「戦争に勝った」と国内にアピールできる状況が成立すれば、
戦闘は中断しあれ、停戦合意に至ります。

■ 紛争が短期で終結すると読んでいた欧米諸国 ■

今回のイスラエルとハマスの戦闘で、お約束のごとく原油価格が上昇しています。
しかし、その上昇は、パニック的では無く、何となく予定行動を消化しているだけに見えます。

イスラエルを巡る中東情勢は2008年時点に比べて不安定化しています。

アメリカの傀儡であったエジプトのムバラク政権も倒れ、
表面上は反目しあいながらも、イスラエルと対決を避けていたカダフィーは既に無く、
同様にシリアのアサド政権も国内の過激なイスラム勢力を抑える事は出来ません。

ですから、欧米諸国は、今回の紛争が拡大する可能性は低いと予測しているのでしょう。

■ イスラエル、ハマス双方のメンツさえ立てば停戦 ■

イスラエルは今回、迎撃ミサイルのアイアン・ドームが有効に機能して、
人的被害を極力防いでいます。
ハマスのロケット弾の射程が延び、人口の多いテルアビブに飛来していますが、
アイアン・ドームの的中率は思いの他高く、
イスラエル人は上空を見上げてミサイルの迎撃に歓声を上げいます。

イスラエル人は、空爆で被害者が続出するパレスチナの映像を見て、
「圧倒的にイスラエルの勝利」だと確信しています。

一方、ハマスはイスラエル軍の地上侵攻を阻止できれば、
それを「勝利」として国内にアピールするでしょう。
パレスチナ人はイスラエルとの圧倒劇な戦力差を良く知っていますから、
2008年の様な地上侵攻が防がれれば、ハマスを賞賛するはずです。

イスラエルは予備役を招集し、国境付近に地上部隊を集結させていますが、
これはあくまでもポーズでしょう。
むしろ、ハマスをサポートする様な行動です。
ここら辺は、永年の阿吽の呼吸なのでしょう。

そろそろ双方の停戦条件が整ってきています。

■ イスラエルを支持するオバマ ■

ロシアが、イスラエル非難の安保理決議をアメリカが邪魔していると憤っています。

オバマはイスラエル支持を表明するなど、
ユダヤロビーの影響の強いアメリカは、イスラエルを表立って非難していません。

多分、ネタニヤフは地上戦や戦線拡大をしな事を前提に、
選挙PRの今回の紛争の許可を、アメリカから貰っているのでしょう。

だから、オバマはイスラエルを非難して、イスラエルが暴走する事を避ける為、
イスラエルを支持する声明を発表しています。

■ ロムニーを支持したイスラエルの、オバマへの再選へのプレゼント ■

今回の紛争は、アメリカ大統領戦の結果を待って始まっています。
ネタニヤフはオバマから距離を置かれていたので、
イスラエルはロムニー支持を明確にしていました。

しかし、頼みの綱のロムニーがあさりオバマに敗れたので、
オバマに、再選のプレゼントを差し出さなければなりません。

現在、アメリカは年末の「財政の崖」を前にして、
ドルや米国債に下落圧力が掛かっています。

そこで、小規模な中東有事を演出して、
「有事のドル買い」と、「原油価格の上昇」をプレゼントしています。

原油価格の値上がりは、ドルの需要を押し上げるからです。

■ 不測の事態が発生しなければ、筋書き通りに紛争は終結する ■

不測の事態が起きなければ、今回の紛争は早期に解決しそうです。

しかし、米国の「財政の崖」問題の山場は、年末です。
「財政が崖」問題が、ギリギリはで拗れるならば、
今回の紛争は、援護射撃としては時期が少し早い様に感じられます。

「財政の崖」問題が、比較的早期に片付くのか、
あるいは、「停戦」をズルズル引き伸ばして年末頃に合意に至るのか・・・?

いずれにしても、今回の紛争に対して世界は冷静です。


一方で、パレスチナでは多くの子供や女性が空爆の被害にあっています。
もし、私の妄想が正しければ、今回の紛争を演出し、支持した輩は
地獄に落ちろ!!  デス!! (ここは是非、凸森(デコモリ)の声でお願いします。)




<追記>

アニメと現実を混同するなとお叱りを受けそうですが、
私には、TVのニュースや新聞の一面がフィクションに思えて仕方が無い。

ヨルムンガンド PERFECT ORDER 7話
イラクの物流を描いた1話完結回。
興味のある方は、ネットで映像を探してみて下さい。


イラク戦争以来、戦争は国家プロジェクトでは無く、
民間軍事会社のビジネスに成り果てています。

国家は戦争の種を蒔き、民間軍事会社が刈り取る。

軍を警備するのが、民間の軍事会社というのだから・・・。
兵隊の死は、国民の厭戦感情を芽生えさせますが、
民間軍事会社の社員(傭兵)の死に国民は関心を払う事はしません。

こんなマッチポンプが世界中で繰り広げられているのです。


日本は平和ボケでも良いのかも知れません。
下手に石原氏などが、「愛国心」を刺激すると、
いつか来た道を再び進む事にもなりかねません。


「日本を攻撃したら、オタクアニメが見れなくなってしまうじゃないか!?」
「我らの政府は、我々若者からオタクアニメを奪うのか!?」

こんな危機感を、アジアの若者が共有してくれないかなあ・・・。




王道・スポ根アニメ・・・熱過ぎるゼ、『ガールズ&パンツァー』

2012-11-20 11:22:00 | アニメ
 













■ 平和ボケの国だからこそ生まれた名作 ■

中東ではリアル・ドンパチの真っ最中に、
何を不謹慎なと言われてしまいそうですが、
戦争の道具を「戦車道」という「武道」に昇華させたアイディアは、
平和ボケ日本ならでは。

リアルの戦争も、フェアプレーの精神に則っていれば少しは救いがありますが、
イスラエルとパレスチナも戦力差は「反則的」

■ ガールズ&パンツァーは、王道・スポ根アニメ ■

さて、今季一押しアニメの『ガールズ&パンツァー』。
「あり得ない」を吹っ飛ばす「ディテールの積み上げ」・・・・『ガールズ&パンツァー』


弱小チームが、強豪校を打ち破って勝ち上がるストーリーは
スポ根マンガやアニメの王道ストーリー。

弱小チーム、大洗女学園は、全国大会で強豪のサンダース大学付属高校と対戦。

相手校は豊富な資金力で、米軍シャーマン戦車を大量保有。
フラッグ車を破壊すれば勝ちというルールながら、
台数的にも、大洗5両、サンダース10両という不利な状況。

さらに、サンダースは無線傍受機を使用するなど、戦力の差は歴然。

しかし、敵の無線傍受を見抜いた大洗女子は、
何と、無線で偽通信を流しながら、携帯メールで連携。
完全に裏をかかれたサンダースのフラッグ車を、逆に追い詰めます。

味方の卑怯な作戦を知ったサンダースの隊長は、
戦車を同数の5両に減らして、大洗を挟撃します。

双方、激走しながらの砲撃戦ですが、
照準補助装置など存在しない時代の戦車の、走行しながらの砲撃は、
敵味方共に、ほとんど命中しません。

敵の追撃車両が間近に迫る中、砲手のハナは丘の上からの一撃必殺を狙います。
稜線射撃は、確度は上がりますが、敵の格好の標的ともなります。

敵戦車の照準に狙われながらも、
ハナの放った一撃は、一直線に敵フラッグ車へ!!

■ 30分のアニメながら、演出の密度の高さに驚愕 ■

『ガールズ&パンツァー』の監督は『イカ娘』の水島努。

『クレヨンシンちゃん』や、『イカ娘』など、
30分に3話の作品を手がけてきただけに、
演出の密度がハンパ無く高い。

Aパート(前半15分)けで30分ぐらいの感じがします。

ことに、4話、6話の演出は圧巻です。

大洗の街中で、岸和田のダンジリさながらの戦車の激走を見せる4話Aパート。
そして30分を贅沢に使って、「戦車道」の対戦の醍醐味を描き切る6話。

密度は高いのですが、お腹イッパイにはならないのは、
各シーンのカットアップが見事だからでしょう。

普通は、ダラダラと描いてしまう所を、ビシ、ビシと切って行く歯切れの良さ。
そして、その直後に、戦車のキャタピラーのアップや、
上空からの俯瞰映像に切り替えてゆく、シーン毎のコントラストの鮮やかさ。

そして、間、間に、少し長めの静かなシーンを挟んで、
コッテリしてしまいそうな情報量を整理する上手さ。

この映像の連続は、並みの手練れではありません。

愁眉のシーンは、敵のフラッグ車に遭遇したシーン。
バレー部チームの驚きと緊張を、
少し長めの無音のシーンの連続で描きます。

現在、ドラマの日本のドラマや映画の演出家や監督で、
これ程までの映像構成を出来る人は思い浮かびません。

■ 古き良きハリウッドの戦争映画を彷彿とさせる ■

6話は古き良き時代の戦争映画の匂いがプンプンします。
丘を登り切った戦車の前半分が、空中にそそり立ち、
その直後に着地するシーンなど、何度見てもシビレます。

音楽も、いかにもハリウッドの昔の戦争映画の趣き。
シーンによって、マイナーの変奏になる所も、ツボ。

そして、圧巻は、戦闘地図上をペン先がトレースしながら戦況を説明するシーン。
古いハリウッドの戦争映画では、お約束のシーンですが、
もう、懐かしさMAXです!!


実は、6話は作画が間に合わずに、間にダイジェスト回を急遽はさんだ様です。
間に合わなかったのは、戦車のCGだとか。(2ちゃん情報)

もう、疾走する戦車の映像を見るだけで惚れ惚れしちゃいます。
さらに、敵味方ともに、キャラ立ちも良く・・・。

■ オーソドックスな構図や動きが魅力の水島努 ■

アニメは実写と異なり、どんなに大胆な構図でも、
あるいはトリッキーな動きでも作り出す事が出来ます。

その真骨頂がエヴァンゲリオンかもしれません。
樋口慎二の作り出すイメージは、驚きに満ちています。
きっと、ハリウッドの監督達は「ヤラレター!!」っという思いで、
エヴァの新作劇場版の冒頭シーンを見る事でしょう。(ネットにアップされていますね)

一方、水島努の作り出すシーンは、極めてオーソドックスです。
イカ娘の触手のシーンは、さすがにデフォルメされますが、
それ以外では、あたかも実写のカメラが写すようなシーンが連続します。

これは、『クレヨンしんちゃん』で水島の教師役であった原恵一の影響かもしれません。
映画『カラフル』で、原恵一は、実写カメラ以上のリアリティーをアニメで追及しています。

水島努の映像は、そこまでのリアリティーを求めると言うよりは、
日常の中に、非日常を自然にはめ込む為のテクニックの様です。

「イカ娘」が普通にいる日常。
「戦車道」が普通に行われる日常。

ホームドラマの様な、極めて一般的で、無個性な画面の中で展開されるのは、
現実から、はるかに逸脱した物語です。
しかし、それが、ドラえもん同様に、普通に「ありそう」な気がするのです。

一方、「Another」では、ドラマや映画に近いリアリティーが追及されていました。
実写では表現出来ない、グロテスクなシーンが、
ほぼ実写に近いテーストで描かれる事によって喚起される恐怖は格別です。

この様に、水島努は、アニメである事の自由度を自在に使い分ける監督です。
こんなレべルの監督が、10人は居そうな日本のアニメ業界は、
やはり、世界最高レベルのコンテンツ業界なのでしょう。


まあ、文章では表現し切れないので、下記でしばらく見れると思います。

www.nosub.tv/watch/30158.html


■ 戦車の意外な機動性の高さにビックリ ■

最後に、ちょっとビックリした事を一つ。

戦車って、意外と機動力高いのね。
ドリフトして停止って、本当に出来るのか、
是非、鍛冶屋さんにお答え頂きたい。

当然と言えば、当然ですが、薬莢も車内に排出されるんですね。
アブナイじゃん!!


■ 「戦車ケーキ」 キターーー!! ■


最後にオマケ。


5話の「戦車喫茶」の「戦車ケーキ」には息子と爆笑しましたが、
本当に作ってみた人が居るみたい。



作り方はこちらに紹介されています。

http://syofigure.seesaa.net/article/300921722.html