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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

呉越同舟のリフレ派・・・追加緩和の温度差

2014-09-17 01:15:00 | 分類なし
 

■ リフレ政策は効果があったのか? ■

日銀の異次元緩和という大リフレ政策が景気回復に効果があったかどうかという問題は議論の分かれる所です。

1) 「期待に働きかける」という意味においては効果があった
2) 「期待」は消費税増税で剥げ落ちてしまった
3) 円安効果による輸入価格の上昇でコストアップインフレを引き起こした

どうやら異次元緩和が景気回復に与える影響は、「期待」以上の物は無かったのではないかと私は考えます。日銀の当座預金に大量おブタ積が存在する事が、リフレ政策の限界を物語っています。

アベノミクスの第一と第二の矢が明らかにしたのは、少子高齢化が進む日本では、消費と労働力供給の両面から経済成長に足かせが掛かっているという事でした。

リフレ派が盛んい宣伝していた「潜在需要」なるものは、現在の日本では存在していないのです。これは日銀も財務省もある程度理解していた様で、黒田総裁は「景気回復は政府の仕事」と割り切った発言を異次元緩和実行当初から繰り返しています。要は、ゼロ金利の罠に落ちた経済(成長力が極端に乏しい経済)において、金融政策が出来る事は「期待に働きかける事」位しか無い事を、日銀は承知の上で異次元緩和に踏み切っているのでしょう。

■ 財務省派と金融派の2派が同じ船に乗るリフレ派 ■

一口にリフレ派と言っても立場も目的も様々です。あえて大別するならば、『財務省(日銀)派』と『金融派』でしょう。

財務省派のリフレ政策の目的は、日銀による財政ファイナンスにあると思われます。日本の財政は進行する高齢化とインフラの老朽化によって既に税収で支える事は不可能です。あえてプライマリーバランスを適正化しようとすれば、税率を現在より高くせざるを得ず、それによる経済へのダメージは消費税8%の比ではありません。

日銀の異次元緩和は財政ファイナンスの何物でもありませんが、これが日本経済と日本の財政の延命にとっては最も国民に優しい政策です。ただ、表立って「財政ファイナンスと実行している」とは言えないので、「景気回復の為の大胆な量的緩和」と言って誤魔化しています。

一方、『金融派』に属するのは浜田宏一氏や高橋洋一氏ですが、彼らの目的は金融市場に潤沢な低金利の資金を供給する事にあります。ですから、彼らは消費税アップ後の景気低迷の打開策として、「追加緩和」の必要性を強く説きます。同時に彼らはアベノミクスの「第三の矢」の必要性を強く訴えています。

要は、リフレ派という舟には『財務省派』と『金融派』が呉越同舟状態なのですが、意外にも「ドル基軸体制の堅持」という共通の目的を持っています。日銀にしても財務省にしてもドル基軸体制の崩壊は望みませんから、「異次元緩和」や「追加緩和」がドルの援護射撃になるならば、躊躇無く実行します。

■ 量的緩和と消費税増税はセット ■

日本の財政が継続的である条件に「国債金利の低利安定」があります。財政に占める国債の利払費が拡大すると、日本の財政は破綻してしまうからです。ですから10年債の利率は2%以下に抑える必要があります。

日銀の異次元緩和などの量的緩和は、ゼロ金利の罠が発生している状況では実体経済にほとんど影響を与える事が出来ませんが、一方資産市場ではバブルを発生させる要因になります。そこで財務省と日銀は、量的緩和と消費税増税をセットにする事で、資産市場のバブル発生を牽制していると思わわれます。

来年10月に消費税増税が実施されるならば、追加緩和がセットとなるはずです。(実際には追加緩和が増税を必用としているのですが)

■ アメリカはそろそろ郵政に手を出そうとしている ■

日銀の異次元緩和が明らかにした事の一つとして、日銀と日本の銀行は阿吽の呼吸で行動しており、国債を売却した資金を日銀の当座預金にブタ積して、なかなな対米投資に回さないという事が挙げられます。

日銀の当座預金に0.1%の金利が付く理由は、国債運用よりも利率が良い事で民間の禁油機関が日銀に国債を売り易い状況を作る事が目的ですが、同時に日銀に資金を引き止めて置く効果もあります。

FRBはテーパリング終了から来年の利上げを目標に動いていますが、それには日銀やECBの援護射撃が不可欠です。要は、低利の資金の流入が無ければ、FRBの利上げによって金融市場はパニックに陥るのです。ところが、日銀マネーもECBノマネーもなかなか慎重で、金融市場から距離を取っています。

そこでアメリカが喉から手が出る程欲しいのが「郵政マネー」や「年金マネー」では無いでしょうか。

「日本郵政」の完全民営化は決定事項ですが、日本郵政の西室社長からこんな発言があった様です。

日本郵政の西室泰三社長は(2014年6月)25日午後の記者会見で、株式上場について「少なくとも消費税がもう2%上がる前までの段階でできることはした方がいい」と述べた。消費税率の10%への引き上げは2015年10月の予定。西室氏はそれまでは景気が下振れしにくいとし「正確には決まっていないが、マーケットの状況から考えるとそう思わざるを得ない」と述べた。

傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式上場時期に関しては「まだ全く決まっていない」と説明した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


要は、消費税10%アップの前に、「ゆうちょ」と「かんぽ」の完全民営化に踏み切りたいと言っています。その後の資金運用のコンサルタントはゴールドマンサックスになるはずです。(現在もそうですが・・)

西室社長の発言は、日本株市場への援護射撃の様にも思えますので、必ずしも早々に日本郵政が民営化される事では無いと思われますが、アメリカの圧力次第では時期は2017年よりも早まる事が予想されます。

■ 消費の落ち込みが激しければ、10%への増税無く追加緩和が有るかも知れない ■

消費税の10%への増税を年末までに安倍首相は判断しなければなりませんが。消費税8%の影響が予想以上に悪ければ、増税は見送るかも知れません。

ただ、追加緩和は景気刺激という名目で必ずや実施されるでしょう。

外房最大の難所「おせんころがし」・・・絶景かな!!

2014-09-16 01:05:00 | 自転車/マラソン
■ 旧道を行く ■




房総半島を自転車で走っていると、入り江の集落と集落の間に必ず小さな峠道があり、トンネルで峠を抜けて行きます。地図で見れば、その様な場所は海に山が突き出した小さな岬です。

外房の鴨川から勝浦の間は、現在は広い国道が山を長いトンネルで貫通して通っていますが、旧国道は狭い道幅で海岸線を通り集落を繋いでいました。

天津小湊から行川の間は、現在は2本の長いトンネルと入り江の大沢集落の上空を通過する高架橋で直線的に繫がっていますが、かつては外房最大の難所と言われた「おせんころがし」を国道が通っていました。

上の地図で赤線が国道の旧道です。大沢という集落の所で陸側に入り込んで2本の短いトンネルが掘られています。道幅は狭く、昭和40年代は一方通行だったそうです。

この旧国道の以前、明治時代の道はさらに海側を通っていました。大沢集落から先は「おせんころがし」と呼ばれた断崖絶壁の交通の難所でした。この旧道は大沢集落で途切れて、現在は立ち入る事は出来ません。

本日の自転車の旅は、現在の国道を離れて、旧道巡りをお送りします。


■ 初秋の房総の海は穏やかだった ■



晴れた連休中日だというのに二度寝してしまい起きたら9時前。あわてて準備をして、9時30分にクロモリのレモン2号君で出動です。風も穏やかなので、鴨川を目指します。養老渓谷から麻綿原高原を一気に抜け、内浦山を駆け下ると、そこは外房、天津小湊の砂浜です。ここでコンビニランチを済ませ、本日のメインイベントの「おせんころがし」を目指します。

■ トンネルを抜けると・・・ ■



勝浦方面にしばらく進み、現在の国道を日蓮交差点で右に曲がり、誕生寺の前を通るのが国道128号線の旧道です。誕生寺の裏から道は山の中をゆるやかに上って行きます。そして、昼も暗い杉林に突如表れるのが上のトンネルの入り口。落石防止ネットに守られた入り口を入ると、トンネルの中は照明も無く真っ暗。

トンネルは緩やかな下り坂なっており、出口がやけに明るく感じます。
トンネルを抜けると・・・・・。



いきなり太平洋の大海原が眼前に広がります。この光景には息を呑みます。



旧道は海岸の急斜面にへばり付く様に走っています。道幅は狭く、対向は無理なので、幅の広い場所が設けられています。

斜面はコンクリートでガチガチに固められていますが、それでも落石があるのでしょう。「落石注意」の看板が並んでいます。海側の路肩も弱くなっているらしく、路面には亀裂補修の跡がたくさんあります。



標高は30m程。道から下は海までほぼ垂直に切り立っています。眼下の岩場を波が穏やかに洗っています。



天津小湊方面を振り返ってみました。このカーブはコンクリート製の堅牢なガードが設置されています。国道だった折には、事故が多かった場所かも知れません。・・・事故を起こしたら、海へ真っ逆さまですが・・・。

■ 大沢集落 ■



海沿いの断崖の道はしばらくすると現在の国道のトンネルの出口に行き当たります。旧道は現在の国道を横切って、この先山側へと入り江をなぞるように進みます。



山側に入った旧道から現在の国道側を振り返ります。左に現在の国道の高架部分が見えます。



谷の奥には、車が一台やっと通れる幅のトンネルが2本現れます。これ、昭和40年代まで、現役の国道でした。



トンネルを潜ると小さな集落が表れます。大沢集落です。ほとんど入り江の傾斜地にへばり付く様に民家が密集しています。港に下る道は・・・歩いて下りても転びそうな急斜面。斜度20%を軽々と超えていそうです。外房線の線路を潜ると、国道の巨大な橋脚が現れます。集落のはるか上空を国道が通っているのです。(帰りは気合で自転車を漕いで上り切りました)



漁港まで下って振り返ると、入り江の集落の上空を国道が跨いでいるのが良く分かります。
港の近くでは、漁師の老人達が7人程、日陰でくつろいでいました。聞いたらイセエビ漁の出漁を待っているところだとか。夕方に船を出して刺し網を仕掛け、朝に網を上げるそうです。

皆さん暇を持て余していたようで、自転車を珍しそうに眺めて「それ、ギアーは何枚あるんだぁ?」とか「どこから来たんだぁ?」なんて質問してきます。途中から電車に乗るつもりだと話したら、老人同士で「おめぇ、電車の乗り方わかっぺか?」なんて冗談を言い合ってました。もう少し話していたかったのですが、日没が心配なので別れを告げます。

■ おせんころがし ■



漁港から海沿いの崖を見上げると、中腹に僅かに段差があるのが分かります。ここが、明治に作られた旧道の跡です。現在は大沢集落から先は通行止めで、斜面と一緒に漁港を落石から守る為にコンクリートで塗り固められ、ガードレールも有りません。

ここを当時は乗り合い馬車が通っていたというから驚きです。

ところで、全国の交通の難所には危険な臭いがプンプンする名前が付けられています。「親不知海岸」が有名ですが、静岡と焼津の間の「大崩」などもデンジャラスな名前です。

「おせんころがし」もこの場所の危険を知らせる名前です。その由来には諸説ありまが、これが一番有名です。

その昔、強欲な豪族が村人を重税で苦しめていました。村人達は豪族殺害を企てますが、それを知った豪族の娘「おせん」が、父の身代わりになって海沿いの崖から投げ落とされてしまいます。きっと、父の振りをして寝てる振りをしたのでしょう。人違いを知った村人達は豪族に詫び、豪族もそれ以降は税を軽くしたとさ。チャンちゃん。

この他には漁師の娘のおせんが、家畜のえさの草を取りに行き、足を滑らせて死んだという言い伝えもあります。

いずれにしても、過去の滑落事故の教訓を残す為に「おせんころがし」と名付けられたのでしょう。

断崖にへばり付くような旧道跡は、上の写真の鞍部(ちょっと谷になった所)から陸側に入り込み、現在の国道に行き当たるそうです。(コンクリートの法面が終わる辺り)

■ おせんころがし殺人事件 ■

実は「おせんころがし」は戦後犯罪史上稀に見る凶悪殺人事件の現場でもあります。1951年10月10日、勝浦に行商に行ったまま戻らない夫を探す母子4人を栗田源蔵が誘い出します。おせんころがしで子供達を次々に崖から投げ落とした栗田は、母親を強姦して、彼女も崖下に投げ落します。さらに彼は、崖の途中で引っ掛かっていた母子を石で撲殺します。長女だけが軽症で生還するという、極悪非道の殺人事件です。実は犯人はこの他にも強姦殺人を繰り返しており、合計8人を殺害しています。

火曜サスペンス劇場も真っ青な事件ですが、犯人の栗田は、裁判史上で始めて、二つの裁判で死刑判決を受け、1959年10月14日に死刑が執行されたそうです。死刑の廃止が議論される時、死刑存続を主張する人が引き合いに出す稀に見る凶悪犯罪です。

現在はそんな事件があったとは夢にも思えない、静かな入り江の集落がひっそりと佇んでいます。

■ 旧道、廃道、廃トンネルマニア ■

世の中には様々な趣味の方がいらっしゃる様で、この様な旧道や廃道を求めて全国を行脚している人達も少なからず存在します。

http://yamaiga.com/road/r128_osen/main.html

上のブログの方などは、通行止めの区間の断崖の道を、何とMTBを抱えて通りぬけたという猛者です。(勝手にリンクしで申し訳ありません)

道の他にも、廃トンネルを求めて徘徊している方もいらっしゃいます。

こういった旧道や廃道の多くは、整備されて無個性な新道には無い、歴史の重みを秘めています。トンネル一つ取っても、重機が無い時代に、峠越えを回避する為に人力で苦労して掘られた執念を感じずには居られません。

私も旧道は好きで、地元で旧街道筋を辿ったりする事もあります。浦安近辺では、行徳街道の旧道が、川沿いを曲がりくねって通っており、江戸時代の名残を色濃く残しています。

■ 一応センチュリーライド? ■

本日は出発が遅かったので、勝浦から大多喜街道を八幡宿まで走り、日暮れとなったので、千葉みなと駅から輪行で帰りました。

172Kmの旅でした。
結構寄り道をしながらでしたが、160Km時点で8時間ちょっとだったので、センチュリーライドをほぼ達成しました。山越えのコースなので、まあまあでした。

実は先週も鹿野山を越えて鴨川から勝浦、曽我まで200Km走っていますが、曇天で「おせんころがし」は今一つでした。本日は晴れて良かった。





FRBの利上げの予行練習がありそうな・・・そんな妄想

2014-09-14 01:24:00 | 時事/金融危機
 

■ ECBと日銀の金融緩和政策の違い ■

FRBが出口戦略を着々と進める一方で、日銀とECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融緩和を拡大しています。ところで一言で金融緩和と言っても日銀とECBの政策は大きく異なります。

日銀の「量的緩和」民間の銀行の保有うる日本国債を積極的に買う事で、民間の銀行に資金を提供しています。この場合、民間銀行は日銀に返済義務を負いません。

一方、ECBは民間銀行に低利で大量の資金を提供する事で資金循環を活性化させる伝統的な手法を取って来ました。しかし、ECBの当座預金に資金がブタ積になるので、ECBの当座預金の金利をマイナスにする事で、強引に資金を市場に流そうとしています。

一方、日銀の当座預金には0.1%の金利が付きますので、資金はそこにブタ積になりがちです。実際に日銀が拡大したマネタリーベースの多くは市場に流れる事無く、ブタ積にされています。

実際に日銀の異次元緩和は、日銀の当座預金残高が2014年末までに175兆円にする事を目標にしていますから、「ブタ積」は日銀の目標となっているとも言えます。

■ 異次元緩和は景気回復を目的としていない? ■

日銀の異次元緩和によって円安が進行し、株価は回復しましたが、実体経済で資金循環が活発化した実感は乏しい。2013年前半こそ、補正予算の降下で名目GDPがかさ上げされていましたが、一方で公共事情も人出不足で限界に達するという、日本の労働市場の新たな問題が露わになりました。

一方、日銀も支持する消費税増税によって4月以降の日本経済は大きく減速しています。それでも日銀はさらなる増税を支持しています。

日銀はマネタリーベースを増やしていますが、一方で日銀の当座預金残高の拡大も目指しており、景気回復の本気度を私などは疑っています。

■ ブタ積は銀行の準備預金 ■

日本のメガバンクは日銀に超過準備を積み上げ、一方民間への貸し出しは担保が確実なもの以外は慎重です。そして、バブル崩壊以降の不良債権は着実に減らしています。

量的緩和を利用して保有する日本国債の残存年数を3年以下に圧縮するなど、日本国債の金利上昇リスクにもしっかり対応しています。

IMFやBISは世界の銀行の体質強化を指導していますが、日本の銀行は優等生とも言えます。IMFやBISの指導は、金融危機に対する銀行の体質強化を目的としています。

いずれにしても、日本経済の行く先が「イケイケ・ドンドン」とは思えません。

■ イケイケに見えるNY株式市場の裏で・・・ ■

ソロスやジム・ロジャースらが米株でプットを拡大していると報じられています。彼らは、近い将来の米株市場の下落を嗅ぎつけたのでしょうか?

こういう情報が出て来る内は、実際に暴落は起こり難いのですが、「米株市場の調整が起こるかも知れない」と市場に思わせる事で、下落を誘導し、ここらでひと稼ぎするのでしょう。FRBの利上げ予測で市場が流動的になっている所を上手く狙った作戦とも言えます。

ただ、彼らが米株市場を完全に崩壊させる事は無いでしょう。多分、早期利上げ予測のブラフを流して、米株の下落を誘いながらも、底値を買い支える事で、利上げに対する市場の「耐性」を付ける事を目的としているのかも知れません。

これは、テーパリング予測が高まった2013年の5月の状況が参考になるのでは無いかと思われます。「利上げで多少市場が混乱しても、どうにかなりそうだ」というイメージを付けるのではないでしょうか。

■ 米株市場に引っ張られる日本株 ■

4月以降の景気減速を無視する形で、日本株市場は不自然に上昇しています。これは、日銀の追加緩和を見越した「仕込み」とも受け取れます。ヘッジファンドは敏感なので、こういうタイミングを逃しません。

現在の日本株市場のメインプレーヤーは外国人投資家なので、追加緩和に伴う円安の進行を予測した株価形成が進行しているのでしょう。はたして、ここに日本の個人投資家や機関投資家が乗って来るか、そこが問題となります。少なくとも年金資金は大乗り気ですが・・。

ところで、日経平均はダウの影響を大きく受けますから、今後、NY市場で調整が入れば、日本株と大きく下落する事が予想されます。ここら辺でヘッジファンドが何か仕掛けていそうな気もします。

■ 不景気が株高を誘導する狂った日本 ■

本来株価は景気の先行指標として、好景気が予想される時に景気に先だって上昇します。しかし、現在の日本では不景気が予測されると、日銀の追加緩和が予想され、株価が上昇します。完全なる金融相場となっている訳ですが、非常に不健全です。

ただ、米株市場も実体経済よりも、FRBの動向に強く反応する点では日本同様に金融相場と言えます。

株式市場に限らず、債権市場も現物市場も金融相場となっている現在の状況は非常に危険な状態と言えます。

■ 世界的な景気後退が予測される ■

宣伝される程、米国の実体経済は回復しておらず、日本はむしろ景気後退に入りつつあります。ヨーロッパもウクライナ危機や、スコットランドやスペインのかたルーニャの独立運動など不安定な政治情勢が景気を後退させています。

中国ではそろそろ不動産価格の下落が止めようがなくなりつつあり、それが理財商品の崩壊へと繋がりそうな気配です。

確かにリーマンショック以降、「世界経済はもう崩壊するかも知れない」と言われつつもFRBは出口戦略までたどり着きました。しかし、その実態は、中央銀行の量的緩和に支えられた低金利によって、リスクを無視した金融商品が世界に溢れ返っているだけとも言えます。

マスコミの「米景気は回復基調」という報道とは裏腹に、何だか背筋の辺りがスウスウするのを市場関係者は感じているのでは無いでしょうか。


・・・さて、日銀の追加緩和を見込んで日本株に突っ込むか・・・投資好きの方には頭の痛い状況ではないでしょうか。「闇株新聞」さんなどは、行くなら今しか無いという感じで煽られていますが、はたして・・・。


デング熱・・・メディアが言えない事

2014-09-09 08:22:00 | 時事/金融危機
 

■ 蚊よりも移動範囲が広い人間 ■

代々木公園で感染が拡大したデング熱ですが、新宿中央公園でも感染の恐れが出ています。テレビなどでは蚊の移動範囲が話題になっていますが、蚊よりも人間の移動範囲の方が圧倒的に広い事を無視しています。

そもそもデング熱を代々木公園に持ち込んだのも、海外で感染した外国人だと思われ、感染者の移動を制限出来無い限り、デング熱は条件さえ整えば日本の様々な地域で感染を広げる可能性は否定で出来ません。

■ 代々木公園での二次感染の可能性 ■

1) デング熱に感染した外国人が代々木公園で10匹の蚊に刺されたとします
2) 蚊の寿命は30日間と言われいます。
3) デング熱ウィルスを持つ蚊が1日1回吸血をしたとします
  (現実にはそれ以下でしょう)
4) 1匹の蚊は30人感染させ、10匹の蚊は300人を感染させます
5) 無症状や症状の軽い人も居るので、発病率を50%とすれば150人が発病します
  (デング熱の発病率は10-50%)

6) 実際にはこれ程高確率でウィルスを保有する蚊が人を吸血する機会は有りません

7) 1次感染者が代々木公園に滞在する間にに体内でウィルスはあまり増殖しないであろう
8) 1次感染者が代々木公園内で蚊に吸血されて2次感染源となるケースは1次感染者が長期に渡り代々木公園に留まるケース
9) 感染者が多い事、ウィルス保有の蚊が複数捕獲されている事から、今回の感染は明らかに代々木公園内での2次感染。
10) 代々木公園内で2次感染の原因になる可能性が一番高いのホームレスの方達

行政もマスコミも何となく分かっていながら、これは決して新聞などで書くことが出来ません。

■ 新宿中央公園の感染は、ホームレスの方の移動が原因では ■

代々木公園から離れた新宿中央公園でも感染が発生している可能性が指摘されています。代々木公園の蚊は新宿中央公園まで移動できません。


1)代々木公園同様に海外で感染した人が感染源になった可能性
2)代々木公園で感染した人が新宿中央公園で蚊に刺されて感染源になった可能性

私は2)の可能性が高いと思います。多分、代々木公園で感染したホームレスの方が代々木公園封鎖に伴って、近場の新宿中央公園に移動した可能性が高いのでは無いか?

■ 適切な蚊の駆除で収束するでしょう ■

ウィルスの保有者が同一箇所で蚊に刺され続けるケースを防げば、日本におけるデング熱の流行は速やかに収束に向かうはずです。

今年は秋の訪れが早い様ですが、涼しくなるにつれてヒトスジマダラ蚊の行動も低下して行きます。感染の拡大は、蚊の減少と共に自然に収束して行くでしょう。

そもそも、デング熱が熱帯地方の風土病である原因は、蚊が1年中活動出来る気候が最大の原因です。温帯や寒帯では、デング熱の一時的な発生はあっても、それが定着する可能性はほとんどゼロでに近いと思われます。

■ きっとこれまでにもデング熱感染は何回も起きているであろう ■

海外でデング熱に感染した人が日本でヤブ蚊に刺されるケースは低くはありません。

今回の代々木公園の感染は、たまたま患者を診察した医師に専門知識があった為にデング熱と診断しただけで、知識の乏しい医者の多くは、デング熱を「夏風邪」とか「ウィルス性胃腸炎」と診断するはずです。

ですから、デング熱の感染は過去にも何回とも無く起きていたのかも知れませんが、それに気づく医者が居なかっただけだと私は考えています。

要は、知らなければ脅威でもなんでも無いのです。ただ、マスコミが騒ぐから脅威と認識されただけです。

■ ノロウィルスが「お腹の風邪」から昇格した様に、毎年の様にデング熱騒動が起きる ■

昔は「お腹の風邪」で片付けられていたノロウィルスが、いつのまにやら警戒を必用とする恐ろしいウィルスに昇格した様に、今まで「夏風邪」で片付けられていたデング熱も、来年からは、恐ろしい伝染病に昇格するでしょう。

都内の公園で子供達が元気に遊び回る光景がだんだんと見られなくなるかも知れません・・・。そして、公園に行く時には、虫よけスプレーが必須アイテムになるのかも。

■ シンガポールなどへの旅行の方が圧倒的に怖いのですけどね ■

放射線の恐怖と同様に、人々はメリットの無い感染をことさら嫌がります。

一方でデング熱やマラリアの感染の危険性のある地域、東南アジアやシンガポールへの海外旅行を怖がる事はしません。感染のデメリットを「楽しい旅行」のメリットが上回るからです。

飛行機で短時間で移動が出来る現代において、自覚症状が現れる前に日本に入国するケースにおいてウィルスや細菌感染の水際での防疫には限界が有ります。

ただ、国境を越えた人々の移動がこれだけ盛んになっても、感染症による重大な危機が先進国ではSARDSやAIDS位しか発生していない事も事実で、外来の感染症を必用以上に怖がる必要は有りません。

一方で、エボラ出血熱などの重大ウィルス感染に対応するレベル4の医療施設の無い日本では、これらの危険性の高いウィルスに対する対策に不備な点が残ります。

必要以上には怖がらず、さりとて対策は怠らず。
これこそが「ウィルス恐怖ビジネス」に対する最大の対抗策なのでしょう。





本日の記事は、「人権」に敏感な方からお叱りを受けそうですが、クサイ物に蓋をしたまたm、ただ恐怖を煽り立てるマスコミの報道を見ていたら、書いてはイケないとは思いつつ・・・。

これがエボラ出血熱の様な重篤な症状を引き起こす感染症ならば、行政もホームレスの方の移動制限や一次的な隔離と検査を強行するのでしょうが、デング熱程度では、そこまでの必要は無いと判断しているのでしょう。行政もデング熱の感染拡大より、人権団体の抗議の方が怖いですから・・・。


<追記>

実際には行政が代々木公園ではホームレスの方達への健康聞き取り調査と、福祉施設への移動も促している様です。ただ強制力はないので、ホームレスの方の多くは周辺の別の公園に移動されているのでしょう。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140906-00038876/

上のYAHOOニュースの記事では、ホームレス差別や公園からの強制退去の口実にならない様にメディアが注意すべきだと主張しています。公衆の公益と個人の自由のバランスはいつの時代も難しい問題ですが・・・日本人らしい意見とも言えます。

ガラスの停戦・・・どちらからでも簡単に破れる

2014-09-07 23:57:00 | 時事/金融危機
 

■ ウクライナの停戦 ■

ウクライナ政府と親ロシア派が停戦しました。条件は次の通り。

1) 双方の即時停戦
2) 欧州安保協力機構(OSCE)による停戦監視
3) ドネツク、ルガンスク両州の特定地域に暫定的自治権を付与する「特別な地位」に
    関する法律を定め、地方分権を実施
4) ロシア、ウクライナ国境に安全地帯を設け、OSCEが常設の監視を実施
5) 捕虜や違法な拘束者の即時解放
6) 両州での出来事に関連した者を刑事訴追しない法律の採択
7) 国民対話の継続
8) 両州の人道状況改善の措置実施
9) 特別な地位に関する法律に基づき地元自治体の繰り上げ選挙を実施
10) ウクライナ領土からの違法な武装組織、兵器、雇い兵らの撤収
11) 両州の経済復興、生活再建に向けた計画策定
12) 停戦協議の参加者について身の安全の保証 

■ OSCEの実力が問われる ■

停戦を監視する欧州安保協力機構(OSCE)は欧州を中心にアメリカとロシアも含む57か国から組織されています。加盟国の規模は世界の安全保障機構の中では最大です。

一方、OSCEは国際協力組織でNATOの様な軍事同盟とは性格を異にしています。要はNATOは軍事的背景を持ちますが、OSCEはそれを持っていません。ウクライナに派遣されるOSCE監視団は国連のPKO組織の様な物で、戦闘力は持っていないと考えるべきでしょう。

仮にNATOが監視団を派遣するとなればロシアが絶対に認めないはずなので、ロシアに脅威とならないOSCEが監視団を派遣する事で「一応監視団を派遣している」という体裁だけを整えたと言えます。

結局、国際世論を味方にする為に、両陣営とも停戦合意を受け入れたに過ぎません。

■ 薄氷の停戦 ■


「停戦協定」の有名無実化はパレスチナとイスラエルの間では日常茶飯事です。些細な事で停戦はいつも破られます。

ウクライナにおいても、ポロチェンコ政権、親ロ派とも停戦を破る事には躊躇しないはずです。OSCEよりはロシアやアメリカといった背後に居る勢力の影響を強く受けるからです。軍事的実行手段を持たないOSCEよる、米ロの方が余程影響力が強い事は多くの方がお気づきかと思います。

要は、米ロの意向で停戦は簡単に破られるのです。

■ しばらくは欧州景気回復の足かせになるであろうウクライナ ■

一見停戦に合意した様に見えますが、親ロ派は、「停戦が分離独立運動の変更を意味するものでは無い」と発言しており、実際にウクライナ・マリウポリ周辺で衝突が起きるなど、一部の地域で戦闘が砲撃が続いています。

ウクライナ情勢は地政学的リスクとして、世界経済、特にヨーロッパ経済に影響を与えています。ヨーロッパの経済はウクライナの不安定化とリンクして景気後退期に入りました。ドイツも成長率が低下するなど、その影響は深刻です。

ウクライナはヨーロッパにロシアから供給されるガス・パイプラインの中継点の為、ロシアがウクライナへ供給するガスを遮断すれば、ヨーロッパへのガス供給も遮断されます。ヨーロッパに供給されるガスの2割がウクライナを経由しています。実際に2006年のウクライナへの供給停止でると、ルーマニアで30~40%、ハンガリーで約25%、ポーランドで6%減少しています。

さらに欧州とロシアの対立が激化すれば、欧州も制裁措置をエスカレートさせ、ロシアからのガスの供給を拒否する可能性もあります。その場合、ポーランドを経由するパイプラインからガスが供給されるドイツ経済への影響は深刻です。

代替えの供給地としてカタールなどが挙げられますが、スポット市場でガスを確保するとなれば、コストは増大します。

■ ヨーロッパの景気低迷は米国への資金移動を促す ■

一方、FRBにとっては、ヨーロッパの経済が低迷し金利が低下すると、アメリカに資金が集まり易くなります。テーパリンから利上げに踏み込もうとするアメリカにとっては、コントロールし易い「見かけの停戦」は、いつでも危機を煽ってヨロッパ経済にブレーキを掛ける便利な道具と化しています。

どこかで小競り合いが起きるだけで市場は敏感に反応します。

ヨーロッパ経済が不況になれば、金利差の拡大によってユーロとドルのキャリートレードも発生します。ドル高ユーロ安に拍車が掛かり、金利差は実質的にさらに広がります。

■ 危機に慣れない為の停戦合意 ■

紛争が常態化すれば市場はウクライナを材料視しなくなります。しかし、さらに紛争がエスカレートすれば、今度はロシアとNATO軍の対立になり、コントロールが難しくなります。

そこで、適当な時期に、一先ず手打ちにして、「停戦」というモラトリアムの状況で、市場が危機に慣れてしまう事を防いだとも言えます。

■ ウクライナ政府とロシアの阿吽の呼吸? ■

今回の欧米とロシアの対立の激化の原因ともなった、マレーシア航空の撃墜事件は、ブラックBOXが公開されないまま、忘れ去られようとしています。

ブラックBOXはオランダ政府が管理していますが、解析はイギリスの研究所が担当しています。ウクライナ政府はレーダーの記録や官制記録、通信記録を公開する気配すら見せていません。

一方、ロシアも追撃事件の真相を執拗に追及する事もありません。一応、ブラックボックスな官制記録の公開を要求してはいますが、これを交渉の条件とはしていない様です。

ウクライナ政府は航空機撃墜事件を口実に東部諸州への攻撃を激化させ、ロシアはロシア系住民の生命を守る事を口実に、事実上のロシア軍をウクライナ領内に侵攻させました。これにより、親ロ派が勢いを盛り返し、ウクライナ政府を停戦のテーブルに着かせたとも言えます。

どうもこの辺り、ウクライナ政府(或いはその背後に居るアメリカ)とロシアの阿吽の呼吸の様なものを感じずには居られません。

■ ドルや米国債に異変が起きればウクライナで事件が起きる? ■

イランや北朝鮮でも、ドルや米国債に圧力が高まると危機が表面化する傾向が有ります。

ウクライナの停戦合意は短期的には良い材料ですが、中期的には安定はしないと妄想してしまいます。アメリカの金利上昇局面で必ずやウクライナで戦闘が再開する事でしょう。

■ 長期的にはヨーロッパとロシアの間に鉄のカーテンが降りる? ■

プーチン政権誕生以来、ロシアと欧米の蜜月時代がしばらく続きましたが、ウクライナ危機によって完全にロシアは欧米の仮想敵国の座に返り咲きました。

欧米の制裁によってルーブルは下落し、ろしかから欧米の資本は引き揚げつつあります。一方、ヨーロッパに流れ込んでいたロシアンマネーも引き揚げられ、大量のロシアの観光客もヨーロッパから姿を消しました。

ロシアに対する制裁の強化は、ロシアと中国、或いはBRICs諸国との関係強化を推進させ、ロシアは中国にガスを供給するパイプラインの建設に着手しています。ヨーロッパへの供給を停止しても中国が買ってくれるなら問題は無くなります。

ロシアと中国はルーブルや元で貿易決済をする事も決めています。将来的にはBRICs経済圏の基軸通貨の役割を元(とルーブル)が担って行く事になるでしょう。

こうして、ウクライナ危機を切っ掛けに、ロシアと中国の関係は一層強化され、新しい多極化世界の枠組みが明確になりつつあります。

■ 東アジアかの将来を占うウクライナ情勢 ■

中東、ウクライナと世界情勢が緊張度を増す中で、東アジアは比較的平穏な状態が続いています。

中国と領土問題を抱える国は日本だけではありません。ベトナムも、フィリピンもマレーシアも中国との間に領土問題が存在します。先のベトナムの様に、中国が強硬的な行動を取れば、軍事的な緊張が生まれます。

ウクライナでの停戦協定が本格的な危機緩和に繋がるのか、或いは一時の停戦に過ぎないのかという問題は、東アジアの将来を占う上で重要です。もし、ロシアと欧米の対立がエスカレートするならば、必ずや東アジアで中国との危機も発生すると思えるからです。

ウクライナ情勢は日本人にとっても対岸の火事ではあり得ないのです。




<追記>

最近、経済記事が少ないと色々な方からご指摘を頂きました。
仕事が忙しくなると、ついついブログで息抜きをしたくなってしまいます。

市場はアメリカの利上げを睨んだ状況が続いていますが、バーナンキのテーパリング開始のケースと同様に、一回ブラフを打って、市場が金利上昇を受け入れる状況を作るのではないかと思っています。

当然、日銀の追加緩和やECBの追加緩和が実行されてからの利上げになると思いますが、ここら辺を市場関係者がどう見ているのか・・・。

何れにしても、「戦争」など故意に起こされる不測のリスクを回避する事は難しく、現在は材料視される地政学リスクに多くの投資家が足をすくわれるのではないかと予想しています。