2時間掛けて、今期アニメお勧め記事を書いていたら・・・ブラウザーが落ちた・・・。
あまりのショックに・・・自転車に乗って来るゎ・・・。
きっと、帰る頃には「よたろう」さんとか「ハノイの塔」さんが紹介記事を完成させている事と期待します。
・・・房総半島を二日間、海水浴をしながら自転車で走って帰ってきたら、「よたろう」さんと「ハノイの塔」さんがコメント欄で記事を完成さえて下さっていました。ありがとうございます。
・・・でも良く読むと、あれれ、お二人ともお勧めアニメが私と違うぞ・・・・!!。まあ、この多様性こそがアニメや漫画の奥の深さである訳ですが。
『サクラダリセット』より
河野裕原作のライトノベルのアニメ化。私の大好きな川面信也監督の作品ですが、実は私、彼の作品だと気付きませんでした。『のんのんびより』や『田中君はいつもけだるげ』で見せた、たっぷりと間を取った演出はされておらす、かと言って『ココロコネクト』の様な「良質なラノベアニメ」とも違います。今回、川面監督がチャレンジしているのは、原作の持つ「硬質なリリシズム」をいかにアニメ化するか。
原作はラノベの文庫で発表された後、シリーズ7巻全てが「角川文庫」で再版されています。大人が小説として読むに堪える内容。この様な作家には、桜庭一樹や、有川浩が思い当たります。
人々が不思議な能力を持つ咲良田(サクラダ)において、完全記憶能力を持つ少年と、過去の3日間をリセットする能力を持つ少女、そして彼らの中学時代の友人?で謎の死を遂げた未来予知能力者の少女を巡る物語・・・そう書くといかにもラノベ的な展開を想像しますが、様々な不思議な能力者が引き起こす様々な些細な事件が、やがれ一枚の絵に収束していく様は極上のミステリーと言っても過言ではありません。
アニメは淡々とした会話劇で進行します。主人公のケイは脅迫観念に近い正義感で自身の行動を規定し、一方ヒロインの春埼(はるき)は幼少の頃は自己と自分の周囲の区別が付かない程、自我が希薄な少女。それゆえに春埼は人間の感情という物が理解できない。春埼は他人の心の痛みと自分の心の痛みを区別する事が出来ず、それが故に、傷ついた人を見ると無条件にリセットの能力を使います。しかし、その効果は自身にも及ぶので、彼女自身もリセットを使った事すら忘れて2巡目、3巡面の時間を繰り返すのです。
「世界のあらゆる事象を3日間、無かった事に出来る」という最強の能力は、彼女自身もその影響を受ける事で、全く意味の無い能力になってしまいます。しかし、ケイはリセットの影響を受けません。そう、春埼とケイが組めば、リセットによって世界を変革する事だって可能なのです。
春埼はリセットの能力使用に自分なりの制約を掛けています。それは、困っている人、悲しんでいる人が居たら無条件にリセットを使うという縛りです。それによって彼女は能力の恣意性を避け、公平性を担保しています。そんな彼女ですが、強い正義感に縛られるケイの為ならば、自分の能力を使っても良いと判断します。彼女は「ケイが望むなら」リセットを使うと決心するのです。仮にケイに邪な気持ちがあれば悪用されるリセットですが、ケイならば信じられると考えた。
二人を組み合わせる事で意味を持ったリセットの能力を咲良田の管理局は放置はしません。「奉仕部」という部活に所属させ、「よろず相談」的なお助け活動で彼らの能力を活用し、そして能力の使用を報告させる事で管理します。
よろず相談の内容は、「猫を探して欲しい」など他愛の無い内容が多いのですが、その些細な事件の裏で、何か大きな事件が進行しているというのが、この物語の醍醐味です。
能力には様々な制約が存在しますい。リセットの場合3日しか巻き戻せず、リセットから24時間以内は再度のリセットは不可能。さらにセーブポイントを設けなければリセットが出来ません。さらには能力同士の序列があって、能力の影響を受けない人や打ち消せる人も存在します。この様な能力に関する緻密な設定によって、この物語は複雑な論理ゲームとしての側面も持ち合わせています。
文章も論理的で、会話も意図的に感情が排除されています。「~ピョン」とか「~るん」なんて会話が当たり前のラノベにあって、ある意味突出した作風ですが、複雑で緻密な論理ゲームの不要なノイズを混入させない為に、会話から「あいまいさ」を排除する事を目的としているのでしょう。
結果的にこの物語は非常に「硬質」な質感を獲得しています。実は現代の優れた純文学に同類の作品を見出す事が出来ます。例えば『となり町戦争』三崎亜紀や、『ミサキラヂオ』の瀬川 深のに近い。硬質で磨き上げられた言葉のリリシズムを感じる事の出来る作品です。
一方で物語の描く世界は、不定形で柔らかく優しい。超能力を持つ人達の街という設定から恩田陸の『常野物語』を想起しますが、「純文学的なエンタテーメント小説」と評した方が相応しいのかも知れません。
作者自身は、「会話の持つ不確かさを排除したかった」と語っている様です。これ、「会話の持つ不確かさがトリックのネタ」となる事の多い昨今の推理小説のアンチテーゼとも言えます。
実は私、アニメの視聴を止めて原作を大人買いしてしまいました。(久々です)
川面監督はアニメで原作の持つ「肌合い」を最大に再現していますが、それでも「文章で読みたい」と思わせる作品です。そして、様々な事象の関係が複雑なので、アニメを一通り観ても理解が難しいという点が・・・アニメ作品としてのハンデキャップ。
原作ではバラバラな時系列を揃える事で、アニメは視聴者の理解を助けていますが、それでも2回とか3回観ないと私などは「ゲームのルール」が理解出来ませんでした。
この作品の見どころは、小さな事件がパズルの様に集まる事で徐々に大きな絵が見えて事にあります。しかし私的には、感情をほとんど持たない春埼が、ケイとの繋がりにおいて「論理的に感情を獲得しようとする」事に興味をソソラレました。
春埼をAIに置き換えるととても面白いSF小説になるでしょう。リセットという能力を持つAIが自我を獲得する物語・・・そう解釈できるのではないでしょうか。
作者は「言葉の理解の限界」にも非常に自覚的で、一見論理的に見える会話でも、様々な解釈の祖語が生じ、それこそが自我の存在の証である事を春埼を通して何度も描こうとしています。これもAIと自我の関係のシミュレートを強引の解釈する事が可能です。
『サクラダリセット』は単なるラノベやミステリーでは無く、むしろ緻密な思弁的小説=SF小説と捉えた方が相応しい。
前期からの連続2期作品ですが、私的には今年一番の「興味深い」作品。アニメは小説完読後にじっくりと味わいます。
『ボールルームへようこそ』より
なんの取り柄も無い中3男子が、ふとしたきっかけで社交ダンスの世界に足を踏み入れ、そして才能を開花させるというお話。これ、少年漫画では王道の展開で、テーマはスポーツだたり、将棋だたり、自転車だったりしますが、社交ダンスというんがミソ。
原作マンガは本屋で「買え!買え!オーラ」を出しまくっていますが、私はアニメが初見。イヤー、素晴らしい作品です。特にダンスシーンの動画だけでもご飯が5杯は行けます。
この手の作品の主人公は隠れた才能を持っていますが、主人公の才能は「見る=観察する」こと。とにかく夢中になってダンサーの動きを見る事で、その動きを自分の物とする。そしてパートナーの動きも「見る=感じ取る」事で、ダンスで一番重要なペアーの一体感を達成する。当然、人一倍の努力や練習が無ければ「チート能力」になってしまうので、その辺りの匙加減が絶妙の作品です。
今期一番、「大人の視聴に耐える作品」としてお勧め。こんなの観たら、『コードブルー』が面白く無くなっちゃう・・・。
『アホガール』より
これもマンガ原作のアニメ化。とにかく突き抜けてアホな女子高生と、彼女に日々迷惑を掛けられながらも、ついつい世話をしてしまう幼馴染男子のドタバタ劇。総監督は『アクションヒロイン チアフルーツ』の草川啓造。
草川監督は私的には岸誠二監督や渡部高志監督に近いイメージ。アニメならではのテンポとエッジの効いた演出を得意とする監督。私的には2009年の『アスラクライン』がツボ。
頭をカラッポにして楽しむ作品ですが、主人公の母親が出て来ると笑いのテンションメーターが振り切れます。
歌は両方ともangelaという二人組。ハフナーの主題歌シャングリラの裏でアホガールのリズムトラックが鳴っているのがミソ。シャングリラのボーカルトラックの音程もちょっと操作してますかね。こういう遊びの前に著作権はあまりに無力・・・。
『恋と嘘』より
ネットマンガから登場した作品。
超少子高齢化社会の日本では、少子化対策の為、政府がコンピュターで配偶者を決める「ゆかり婚制度」が法制化されています。男女は16歳になると政府通知によって将来の配偶者を知らされ、それ以外の人との恋愛を禁止されます。
しかし、主人公の根島 由佳吏(ねじま ゆかり・男子)は小学生の頃から思い焦がれていた相手が居ます。政府通義が来る直前に思い切って告白に至りますが、何と彼女・高崎 美咲(たかさき みさき)も彼を好きだった。普通ならハッピーエンドとなってここで話は終わりますが、「ゆかり婚制度」でカップルになれない二人にとっては道ならぬ恋。
彼女は「彼に思いを伝えた事を一生胸に刻んで後70年はは生きていける」と言い、別れを切り出しますが、根島の政府通知の相手・真田 莉々奈(さなだ りりな)が二人の関係に興味津々、二人の恋を応援すると言い出したから話は変な方向へ。恋人と婚約者との男女3人に、さらに根島の親友の秘めた恋心も絡んで、物語は視聴者の予想に反して複雑な展開を見せ始めます。
少女漫画にありそうなお話ですが、こんな原稿を持ち込まれても、編集者の多くが「古くさい」とか「ありがち」とか「ひねりが無い」と言ってボツにするでしょう。現在の漫画読者は刺激に慣れていますから「王道恋愛もの」は世に出難い。
そんな作品や作者の受け皿になっているのがネットの漫画サイトですが『Re Life』と『恋と嘘』は多くの読者の支持を受け、アニメ化までされています。
話の本筋は「変化球」ですが、表現自体は非常に「素直」な作品。「ゆかり婚」というアイデアから丁寧に様々なシチュエーションを紡ぎ出していきます。「次どうなっちゃうんだろう??」というハラハラドキドキとは対極で、じっくりニヤニヤ高校生男女の関係を楽しめる良作だと思います。おいしい水を飲んで「幸せ」と感じる感覚に近い。
『ナナマルサンバツ』より
これもマンガ原作。
競技クイズに熱中する高校生達の物語。雰囲気としては弱虫ペダルの自転車がクイズに置き換わった感じ。少年漫画の王道展開の作品ですが、普通に面白い。
私などは夜中にヘッドホンで視聴しながら、クイズの答え大声で叫ぶ始末・・・。
ところで、この作品、コメント欄にもありますがヒロインの声優が「超棒」。こんな棒読みは最近のアニメでは珍しいのですが、声をあてているのは女優で歌手の川島海荷さんという方。
声優以外の人を起用すことで有名なのは宮崎駿監督や細田守監督ですが、彼らは「声優の演技」を嫌って、あえて普通の俳優を起用します。一方で、劇場作品などで声優以外の役者さんが声をあてる場合は「話題作り」のケースが多い。「〇〇さんが声優に初チャレンジ!!」なんんてワイドショーで取り上げて宣伝する為。
今回の川島海荷さん起用はTV局か事務所の無理押しだろと言われていますが、「下手にも程が在る」「彼女の声を聴きたく無いから視聴を止めます」なんて評価が多数。
・・・・私は慣れました・・・。というか、ギャップ萌えです。かわいらしいヒロインが低めのハスキーボイスで、活舌悪く喋る。このミスマッチ感が癖になって、又今週も観てしまいます。
ところで伝説の「棒」と言えば『ゼーガペイン』の花澤香菜。今では押しも押されぬNo1声優さんと言って過言ではない彼女ですが、ゼーガの棒読みは「神」。彼女自身、「今やれと言われても決して出来ない」と語っていますが、あの「棒」があるからこそゼーガは名作たりえ、最後に感動の嵐に襲われる。
『賭ケグルイ』より
これも漫画原作。
「小林靖子ここに在り」といった感じの作品でしょうか。息子が5歳位の頃に戦隊モノの『メガレンジャー』で知った脚本家です。普通のOLをしていた彼女はある日、日曜朝の戦隊ものを観て「これなら私にも書ける」と脚本を勝手に書いてTV朝日のお客様相談室宛てに送った。それがプロデューサーの手元に運よく届き、彼の指示の元、脚本教室に通ってデビューしたという経歴の持ち主。
そこから頭角を現し、『メガレンジャー』では新メカ登場回を任され、『ギンガマン』ではメインライターに。『仮面ライダー電王』では大人も関心する複雑なストーリーと新なライダー像を作り上げ、さらに佐藤健をスターに押し上げた。
最近は『進撃の巨人』のシリーズ構成でヒットを飛ばしていますが、彼女の作品の魅力は「厚みのある世界感」。アニメや特撮などは所詮は子供のお話で薄っぺらいものが多い中で、彼女の描くキャラクターには血が通っています。作品の中で登場人物は苦悶し、成長し、書かれたキャラクターとしてでは無く、作品の中で生きる人物として行動する。そんな彼女の作品の魅力が最大に味わえるのは『ウィッチブレイド』だと私は思っています。
「金持ちの息子や娘が通うギャンブル公認の高校」に転校して来た蛇喰 夢子(じゃばみ ゆめこ)はいかにも清楚なお嬢様。しかし、彼女はギャンブル狂だった。物語は学校をギャンブルで支配する生徒会と夢子の対決の構図ですが・・・このアニメ(マンガ)、狂っています・・・。
「さぁ、さぁ、さぁ、掛け狂いましょう!!」
顔芸、声芸の極致のアニメですが、作画も声優さんの演技も素晴らしい。特に夢子の声を演じる早見沙織の豹変ぶりには息を飲みます。これが『聲の形』の硝子役だと思うと、声優さんって本当に凄いですね。
ところで小林靖子に話を戻しますが、原作を未読なので彼女がどういう魔法をこの作品に掛けているのか良く分かりません。彼女自身、「原作物を手掛ける時にはアニメとしてまとまりが良くなるような最小限の調整を心掛け、設定なストーリーの大きな改変はしない」と語っています。
ただ、彼女お手がけた原作物は、『灼眼のシャナ』にしろ『ジョジョの奇妙な冒険』にしろ『進撃の巨人』にしろ、原作以上に一巻したリズムと力強さに貫かれています。普通なら「こんなのアリエナイじゃん」と視聴中止しそうな作品を、グイグイと引き込むあたりが、今作における彼女の手腕なのかなと・・・。
OP、EDともに水準を超えていますが、特にEDが素晴らしい。ギャンブルの緊張感と高揚感をモデルウォークと綱渡りに例えて表現していますが、脳内麻薬出まくりの演出です。
『メイドインアビス』より
これもマンガ原作。
『サムライフラメンコ』でヒンシュクを買った(私は大好きですが) 倉田英之のシリーズ構成・脚本。
1~3話までを倉田英之が脚本を担当していますが、彼の脚本の持つ「空気感」は本当にスイバらしい。「間を書ける」脚本家です。映像も背景アートはどこのジブリだよと思う程の力の入れようで、クォリティーで評価するならば今期No.1作品。
毎週放映されるアニメでこのクオォリティーを維持できるのか心配にもなりますが、キャラクターの造形が単純なので、動画を動かす労力とお金を背景に振り向けましたって感じでしょうか。毎週、期待に胸を躍らせながらモニターに見入っています。
『Re CREATERS』より
騎士と魔法少女とロボットと魔導士が戦う・・・・「おいおい、そんな同人誌みたいなストーリーって在りかよ」と思わずツッコミを入れてしまいそうな作品。
アニメや漫画ファンならば誰もが一度は妄想した事が在りそうな、世界感が異なる作品のバトルロイヤルを商業メースのTVアニメで実現した意欲作。
監督は『Fate Zero』の「あおきえい」。Fateシリーズも似たような構造で歴史上の人物を魔法によって現代に召喚して戦わせる物語でしたが、今作で召喚されるのは人気アニメやラノベや漫画の登場人物。
魔法少女がSFアニメの主人公と渋谷でマジバトルするとか、ファンとしては嬉しすぎる映像のオンパレード。魔法少女があまりに強すぎて、ちょっとチートなので早々に死亡退場してしまったのは残念で成りませんが、エロゲームの女の子が登場したので、今は彼女がどうストーリーに絡むのか興味津々。まさか色仕掛けで敵を篭絡するなんてチート技か?!
二期連続作品ですが、登場人物も多く、動画シーンも良く動くので「万策尽きた」のか?特番が多いのが難点。盛り上がって来ると特番になっちゃう・・・。
『僕のヒーロアカデミア』より
ヒーロやビランが当たり前に存在する世界で、ヒーロを目指す少年の成長を描く、ジャンプの王道マンガのアニメ化。脚本は黒田洋介。
さすがは黒田洋介とボンズと唸らずにはいれない作品。とにかく面白い。
『サクラクエスト』より
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
上記二作品は以前に記事にしているので、作品の魅力はそちらで。
以上、今回はバラエティーに富んだ良作が沢山あって面白い。特に『ボールルームにようこそ』は普段アニメなどご覧になられない大人の方にもお勧めです。
<追記>
「よたろう」さんと「ハノイの塔」さんが熱いコメントを書いて下さっています。興味のある方はコメント欄も是非。