久々の再演となる。もう初演から10年になるらしい。今回は上田一軒演出ではなく、横山拓也自身による演出だ。iaku初期作『流れんな』を全編広島弁に改稿して描く2024年版。とても繊細な芝居である。横山さんはそれを丁寧に描く。
先日見た劇団未来の『パレードを待ちながら』はオリジナルを全編大阪弁として上演したが、敢えて地方語への変更が作品にどういう変化をもたらしたか。気になるところである。なんて思いな . . . 本文を読む
今回阪本先生と仰星演劇が挑むのは野田秀樹の傑作戯曲。仰星としては5年振り2度目の公演になる。2時間の長尺をたった7人のキャストで挑む。今さら内容で触れることはない。ラストの圧倒的な美しさ。それに尽きる。この芝居はここに至るための2時間だったのだ、と改めて思う。まさに阪本さんらしい引っ張り方。圧巻だ。阪本先生の期待に兄を演じた田中紗世が見事に応える。間の取り方も完璧。さらなる高みを目指す阪本作品完成 . . . 本文を読む
上田啓輔の企画、演出、主演による公演。先月のwomen'sによる公演に続いて今回は男たちだけでの公演となる。横山拓也の傑作戯曲に挑戦する。劇団大阪では今までも横山作品を3度取り上げてきて今回で4回目となるが、今回は上田さんの個人プロデュース。彼のこの作品への深い思い入れが充分に込められた作品に仕上がっている。
とても怖い話である。だが、そこは彼らにとってはなんでもない日常。いつもの一 . . . 本文を読む
こういうネタで長編作品を作り上げるところに大谷演劇の凄さを感じる。目のつけどころが素晴らしいだけでなく、それを踏まえてしっかり突き詰める。しかも軽やかなタッチで。高校演劇あるあるというショートコントになるようなネタにこだわり、感動的な友情物語に仕立てた。バックステージものは、一歩間違えたら、自己満足のただの楽屋おちになる。だから冷静な判断と適切な描写が必要になる。つかこうへいの『蒲田行進曲』の例を . . . 本文を読む
NGRの新作が今回もウイングフィールドに登場する。最近は完全にここが主戦場になった。昔はアトリエでの小さな芝居、テントでの大きな芝居(テント芝居をやめてもう10年になる)と並行してここでの普通クラスの芝居と3本立だったけど、今はこのスペースをベースにして、さまざまな試みをする。30年以上劇団を維持してして、しかも浦部さんを中心にしたオリジナルメンバーが抜けることなく劇団運営をしている。それだけでも . . . 本文を読む
まず、このタイトルに惹かれる。もちろんタイトル自体にはあまり意味はない。だが、とても観念的で小難しい芝居、というわけでもない。いや、どちらかというとわかりやすい。まるでエッセイみたいな軽やかな作品である。彼らが過ごす日常のスケッチ。なんとこれは阪本先生が抜けてから初めてのHPF復帰となる新生追手門学院高校作品。17人の「わたし」(パンフにはキャスト全員が「わたし」と記載されている)たちが、舞台を駆 . . . 本文を読む
今年のHPFはこの作品から見ることになった。2月に学内公演で見た『祭りよ、今宵だけは哀しげに 銀河鉄道と夜』に続いての「列車での旅」を描くシリーズ第二弾である。(もちろん、これはシリーズではなくたまたまの結果だろうが)彼らは時空を超えて旅する。銀河鉄道の宇宙(空)の旅に続いて今回は時代を越える旅が描かれる。台本は昨年全国大会で上演されたという島根県三刀屋高校の作品(作、亀尾佳宏)。それに長尾高校演 . . . 本文を読む
今年も夏休みと同時にHPFがスタートした。今年の会場はメイシアター、一心寺シアター倶楽、ウイングフィールドの3ヵ所。13団体(高校ですね)が21日から8月3日まで公演する。
毎回楽しみなのだが、今回は久々に自分が授業で教えているクラスの生徒が出る芝居、なんてのもある。(僕は現役時代も基本演劇部とは関わってないけど)まぁ基本的には身内感覚は排除して見るのだが、たまにはこういうのもいいか . . . 本文を読む
今年の春演参加作品。なんと劇団としては3年連続の公演となった。もちろんのこと、最初はこんなことになるとは思いもしなかったはず。初演は2022年。その後作品は文化庁芸術祭優秀賞、関西えんげき大賞優秀作品賞、大阪演劇フェスティバル作品賞を受賞した。
今回の東京公演は関西えんげき大賞の副賞での公演となるらしい。駒場アゴラ劇場で5ステージ。毎回ほぼ満席になったと聞く。僕は今回は配信で見せても . . . 本文を読む
今年は久しぶりに(と言っても3年振りだが)3ヶ月だけどフルタイムで働いたから、芝居の本数が減った。4月からは週3にしても増えない。公演案内の連絡も大幅に減少して、見たい芝居も少ないからか?そんな中、久しぶりの武田操美と小石久美子のマシュマロテント『蛇含草ホテル』が素晴らしかった。ただ、今年は6月までたったの34本しか見ていない。その中でのベストワン。だけど簡単にベストテンが選べるくらいにクオリティ . . . 本文を読む
今年も邂逅は春演に参加する。しかもコロナ禍で延期になっていた作品に満を持して挑む。これは4年前に上演されるはずだった。ようやく日の目を見ることになった。実に華やかな舞台である。十二単ではなく、着物でさえないオリジナルの衣装で着物の艶やかさ、鮮やかさ、華やかさを表現する。さらにはミュージカル・スタイルで歌と踊りが全編を彩る。お話は『裏・源氏物語』とでも呼ぶべき内容で、頭中将が主人公。もちろん中村多喜 . . . 本文を読む
このタイトルは面白い。身内を守るための行為だが、必ずしも単純ではない。それぞれの思惑が交錯して、まさかの結論に辿り着く。7年ぶりの再演である。劇団が本格的にミステリに移行した頃の作品。初演はなんと10年以上前で、だから今回は再再演。作、演出の丸尾さんにとってはこれは自家薬籠中のもの。だから安心して見ていられる。(もちろんいつもだって安心してるけど)細部までしっかり作ってある。だけどそれはリアルとい . . . 本文を読む
これは若い学生劇団の公演だ。藤井寺市の市民会館小ホールというマイナーな空間で上演される。春演参加作品なので見せてもらえた。そうじゃなくては、関係者じゃないとこんな芝居があることさえ知らないまま終わるはず。
土曜日の朝からの公演というのも珍しい。こんな僻地(!)で休日の早朝から芝居を見るなんてなんだか新鮮。初めてのところだったから時間に余裕をもって行った。開場前に着き、ロビーで読書しながら待つ。僕 . . . 本文を読む
久々となる息吹の春演参加作品。短編と中編の2本立て。それぞれ木田さんと大坊さんという劇団の重鎮が主役を演じる。2作とも狂言を題材にしたシンプルな作品である。
『花がたな』は若い役者ふたりとのコラボ。(ひとりは現役高校生!)初々しいふたりと向き合う木田昌秀はとても若々しく老人を演じた。ぬけ作演じる寒川紘暉との掛け合いが楽しい。また、寒川紘暉と彼の妹である寒川結月との兄妹による掛け合いはなんだかかわ . . . 本文を読む
往来の代表作とも言える一篇。久々の再演となる。でも僕はもう3回以上見ている。今回、劇団往来創立40周年作品としての再演だ。2006年の初演から見ているし、僕が在籍していた高校でも生徒に見せている。気分的にはセリフの三分の一くらいが中国語である。これは大変な芝居だ。主人公の耀子をはじめとして視覚障害者の役がキャストのほとんどを占める。90年代、中国天津を舞台にした音楽劇。視覚障害者のための日本語学校 . . . 本文を読む