この小さな映画の魅力は主人公の少女の瞳にある。媚びない。でも、決して強くはない。ふつうの女の子だ。そんな女の子に映画はしっかりと寄り添う。だが、彼女を甘やかすのではない。ただ静かに彼女を見守るだけだ。
予告編を見たとき、なんだか『ミツバチのささやき』のような話だなぁ、と思い興味を持った。主人公の少女が姉と2人で人の住まなくなった屋敷の探検に行く。門をくぐり、庭を通り、玄関先までやってくる。す . . . 本文を読む
写真批評やルポルタージュを書く大竹昭子さんの小説集だ。10篇の短編からなる。彼女の視点から世界が描かれる。それは一人称ということではなく、カメラアイ自体が筆になる、という感じだ。エッセイのような軽やかさで静かに語られるさまざまなお話の虜になる。
どんどんその世界にはまり込む。そして、そこでまどろむ。これは旅の感覚に近い。題材は直接旅を扱うわけではない。だが、なんとなくそんな雰囲気に包まれる話 . . . 本文を読む