習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『Ricky リッキー』

2011-10-27 20:53:34 | 映画
 フランソワ・オゾンはなぜこんな映画を作ろうと思ったのだろうか。羽の生えた赤ちゃんを巡る物語はドタバタコメディーにすることも可能だった。しかし、彼はそんなものは作らない。初期の作品にあった不条理とそれを受け入れて生きていくこと、といったテーマがとても口当たりのいいドラマとなって帰ってきたって感じだ。  でも、この当たり障りのなさって、なんか違う気がする。リッキーが戻ってこないラストは、作者が「こ . . . 本文を読む
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山内令南『癌だましい』

2011-10-27 20:38:12 | その他
 癌と闘う女性を描く2つの作品。作者が実際に末期の食道癌で、自分の体験をモデルにして(というか、取材して)書いた2作品だ。自伝的なものではない。だが、自分の体験がなければ書かれない作品だ。作者は2作目を脱稿した後、亡くなられた。  彼女の第1作で、文学界新人賞受賞作『癌だましい』は、そのあまりの凄まじさに目を覆いたくなる。主人公の設定が異常だ。普通なら可哀想とか、痛ましいとか、そんな言い方をする . . . 本文を読む
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