これは渾身の力作である。そのくせ、作、演出の橋本さんはとても楽しんでいる。この余裕はなんだろうか。「崖っぷちからお送りする」「尼崎版、ロマンポルノ」という当日パンフにあるキャッチフレーズは勇ましい。彼の今回の作品に対する自信の程が伺える。サカイヒロトさんによる猥雑で自由自在な美術と連動し、芝居は思いのまま、好き放題である。
大体今回のロケーションがすばらしい。周囲のロケーションをここまで活か . . . 本文を読む
ここに来て、また震災ものである。空の驛舎『under-ground』以降たった1ヶ月でこれで3本目。しかも、すべてウイングフィールドで上演されたものだし。この後も来週に三角フラスコ+A級MissingLinkによる真打ち登場である。もちろんこれもウイングだ。この劇場は、芝居が今、描くべきことと、真摯に向き合い、ささやかなアプローチかもしれないが、最大限の情熱をもってそれを為す。まぁ、今回はたまた . . . 本文を読む
その日、結婚式を同じホテルで迎える4組のカップル、彼らの結婚式、そこに登場する新郎新婦。もちろん彼らだけでなく、様々な人々、それを取り仕切るウエディング・プランナー。これは、彼らが無事に挙式を終えることが出来るのかを描くシチュエーション・コメディーだ。辻村深月がこういうエンタメ小説を書くなんて夢にも思わなかった。タッチも軽く、テンポもいい。だが、話にはちょっと無理がある。彼女は従来のリアリズムの . . . 本文を読む