実はかなり期待した。こういうタイプの映画はもう今では誰も顧みないから、きっとすぐに劇場から消えていくだろうが、その前にできるだけ大きなスクリーンで見たくて、無理した。体力もないし、時間もまるでないのに、劇場に行った。おかげで今週は芝居は1本しか見れなかった。
なのに、少しも心弾まない。『ファインティング・ニモ』はともかく、あの『ウォーリー』を撮ったアンドリュー・スタントン監督が初の実写映画に . . . 本文を読む
大森一樹監督の同名映画を原作にして木嶋茂雄さんが構成、演出した大作だ。総勢30名以上にも及ぶキャストによるアンサンブル・プレーである。交通整理だけでも大変だろうが、そんなことは普段から大人数の芝居に慣れているから問題ない。それよりこの人数を逆手にとって、人海戦術スペクタクルを目指す。アップテンポの芝居は見ていて心地よい。
しかも、アイホールの広い舞台を縦横に使った壮大なドラマは見ていて、まず . . . 本文を読む
忙しすぎて映画も芝居も見に行けないから、本ばかりを読む。と言っても、仕事に行くための往復の時間の間だけだが。
桜庭一樹『傷痕』
これも短編連作スタイルだ。日本のポップス界を背負うスーパースターが51歳の若さで死んだ。カリスマ的な存在であった彼をめぐるさまざまなトラブル、憶測、噂。真実はまるでわからないまま、世界中が彼の死を悼む。マイケル・ジャクソンをモデルにして、謎に包まれたスターと彼の私 . . . 本文を読む
最近こういうタイプの小説がやけに多い。短編連作は確かに読みやすいし、作者にしてみれば設定を用意して、あとはその枠の中で話を転がすだけだから、いちから書き始めるよりも楽なのだろう。それは読者にとっても同じだ。まず向き合う時の姿勢が、構えることなく済む。なんだか安易な気もする。まぁ面白ければそれでいい話なのだが。そして、当たり前の話だが、宮下奈都さんはとても面白い。
ハライという、町の小さな、で . . . 本文を読む