『ランチのアッコちゃん』の柚木麻子のデビュー作を読む。遡って読んだ『嘆きの美女』も同じパターンの傑作だったから、この人は最初からこれだけの力量を持っていたのか、と思ったが、そうではなかった。このデビュー作を見て、安心した。彼女もまた、普通の作家なのだ。
この暗くて重い小説(それを否定するのではない。そこに、ほっとするのだ。)からスタートして、あれだけの軽妙な作品に至る。しかも、短期間で、である . . . 本文を読む
劇場未公開(だと思ったが、調べたらちゃんと公開されてました!)のスペイン映画。なのだが、これがなかなかの拾い物で、こういう映画が世の中にはきっとたくさん埋もれていることだろう。18人の男女が出てくる。(のだと思う)原題は『18COMIDAS』だから。3章からなる。もちろん、朝食、昼食、夕食だ。1日のお話で、彼らの3つの食事の風景を描く。
短い描写で細切れに彼らの食事を背景にしたドラマが描かれ . . . 本文を読む
これでミジンコターボはなくなる。これは、今まで10年間の活動の最後を飾る作品だ。そして片岡百萬両が、今までやってきたことの総決算でもある。ここから先に彼が進むためには、この「劇団」という体制が反対に足枷になると感じたのか。それとも、体制を維持していくことが困難になったのか、その辺の事情はわからないけど、片岡さんが(もちろん、劇団員のみんなも、だ!)今以上の新しい地平を目指すために今回の解散がきっ . . . 本文を読む
なんだか、センスのないタイトルだ。これでは松坂慶子の『夜の診察室』みたいで、怪しい。もちろん、これはそんな小説ではないけど。でも、まるで内容を魅力的には表現していない。わからないではないけど、なんかこれでは単純すぎてつまらない。もちろん、小説が、ではなくてタイトルが、ではあるけど。
事故を目撃したショック(友人が目の前で車に撥ねられる)で言葉を失ってしまった少女が、「ひるま美容院」に預けられ . . . 本文を読む
だいたいこのタイトルからして、なんだか普通のアクションではない。DVDでのタイトルは『ソード・アイデンティティー』で、こちらのほうが武侠映画っぽいけど、まぁ、同じだ。これは昨年大阪アジアン映画祭で上映された時のタイトルである。こちらのほうが好きなので、ここではこれを使ったけど、劇場で観たのではなく、今回、DVDで見た。
別に小難しい映画ではないのだけど、普通じゃない。テンポがおかしいのだ。派 . . . 本文を読む