これはひとりの女の脳内での出来事を描く物語。だから、最初はこのむちゃくちゃで荒唐無稽なサロメのお話を楽しめばいい。それがどんどん暴走していくのも、かまわない。けっこうワクワクしながら見ることができたくらいだ。そんな女と家族との物語がやがて、その外枠にある物語と交差していく。
あるジャーナリストが、取材で彼女に会いに来る。彼の登場によって話はようやく先へと進む。女は入院している。彼女は以前、保健所 . . . 本文を読む
ドーンセンター開館20周年記念企画「ドーンフェスティバル2014」のメインを担う公演にふさわしいとても華やかで感動的な舞台だった。ドーンセンターのホールをここまで上手く使いきった芝居は初めてではないか。6話からなる短編連作なのだが、さまざまな女性たちがそれぞれの時代を精いっぱいに生きた姿が感動的に描かれる。見終えて胸がいっぱいになった。
構成、演出が樋口ミユ。その事実にも、感動している。彼女がこ . . . 本文を読む
ここは虐待を受けた子供たちの避難所。家族から惨い目にあい、行き場を無くした18歳までの児童を預かる施設。これはそこでの職員たちと子供たちとの交流を描く映画だ。でも、これ見よがしの心温まる物語ではない。それどころか、描かれることは、どこまでも悲惨だ。
彼らが抱える闇の深さに愕然とする。簡単には心を開いてくれない。ここの職員たちの中にもまた、かつて虐待を受けてきた人たちがたくさんいる。自分のような . . . 本文を読む
映画を見た直後に読み始めて、今、読了。なるほどな、と謎が解けた。でも、読み始めた時には、唖然とした。これ、あの映画とまるで違うじゃん、と。お話自体の基本線や輪郭は当然同じなのだが、細部がまるで変えてある。とくに、夫。彼が落語家ではない。しかも、あんなにも年上ではない。あれは明らかに大泉洋をキャスティングしたがための修正でしかない。それって原作に対して失礼ではないか、と人ごとながら憤慨した。だから、 . . . 本文を読む