メイドたちによる奥様ごっこが描かれる。最初はそれが「ごっこ」だとは、思わない。だが、やがて奥様の不在が明確になる。そこに、本物の奥様が帰ってくる。しかし、彼女もまた、もうひとりのメイドで、さらなる奥様ごっこが繰り返されることになる。
ジャン・ジュネの『女中たち』を底本にして佐藤香聲が構成、演出、作曲をした作品。これは佐藤さんとしては、本当に久々のストレートプレイとなる。身体表現や音楽ではなく台詞 . . . 本文を読む
シュワルツエネッガーの最新作である。政治家を辞めて、映画界に復帰してから、少しずつ、いろんな役に挑戦している。復帰第1作の『ラストスタンド』は、楽しかった。ゲスト出演で『エクスペンダブルス』に呼ばれて、その流れでスタローンとダブル主演の『大脱出』にも出た。だが、今回はこれまでの軽い映画から脱して、シリアスで、重量級のアクション映画に挑む。
これは絶対に見なくては、と期待した。それにしても、やは . . . 本文を読む
シリーズの第9作目。前作はスピンオフだった(短編集だった)ので、これは久々の新作となる。でも、変わらない。というか、その変わらなさがこの作品の魅力だ。
家族はどんどん増えていき、もう収拾がつかないほどだ。でも、友達の輪は広がり続ける。どんどん新しい人たちを受け入れるからそうなる。でも、それこそがこの家族なのだ。閉じることなく、開かれた関係性。しかも、子どもたちはどんどん成長していく。そんな成長 . . . 本文を読む
天才ジャン=ピエール・ジュネ監督が、またまたやってくれた。僕は大ヒットした『アメリ』よりもこの映画の方が好き。彼のフィルモグラフィティの中ではこの2作品はよく似た傾向の作品であろうが、「かわいい」のアメリよりも、「家族愛」のこちらの方がより、彼らしい。普遍的なお話の中で、自分の個性をどこまで発揮するか。それがこの2作品の特徴だ。それは商業主義への迎合ではない。もし、それなら、彼は今頃ハリウッドで . . . 本文を読む
このタイトルって実は『ペーパームーン』なのだ。そんな当たり前のことに今頃になって気づく。まるで何も考えずにいた。原作を読んだときだって、気づいたはずなのに、今回映画を見るまで、思い出さなかった。ただ、あの膨大な小説をどう映画化したのか。さらには、この嫌な話に耐えられるのか、そんなことを考えながら見始めた。ピーター・ボグダノビッチ監督のあの映画は、とても優しい作品で、大好きだった。だが、同じタイトル . . . 本文を読む
こんなお芝居を見るのは初めてだ。何が初めてかというと、こんな「恋愛演劇」が、である。ふつうなら、絶対にここまではしない。どこかテレてしまって、どこかに何か他の物を入れてしまう。ここまでやれないし、やらない。でも、上野友之さんはそうはしない。これは最初から最後までやる。それだけやる。だからこれは純度100パーセントの恋愛劇なのだ。
ここに登場する人たちは恋愛以外何もしないし、考えない。仕事をして . . . 本文を読む
とても緊張感のあるいい舞台だった。以前、劇団大阪がこの台本を取り上げたのだが、それを見た時、あまりに演じる保護者たちが高齢すぎて、リアリティがないと思った。今回は反対に、いささか若すぎてリアリティがないのではないか、と危惧した。だが、何の何の。このメンバーによる作品が、ここまでリアルな作品になっていたのだ。それには驚かされた。若いキャストが無理して演じるのではない。彼らは等身大の中学生の両親を見 . . . 本文を読む
今回のあみゅーずは、お得意の3話からなるオムニバス・スタイル。ただし、1・3話は同じ2人のお話。母(条あけみ)と娘(中村ゆり)があこがれのロンドンにやってきて、豪華ホテルで過ごす夢の時間。その最後の夜のお話である。その間に挟まれるのは、中年夫婦(笠嶋千恵美、九谷保元)が主人公となるコミカルなエピソード。この同じホテルで過ごす2組のお話として全体がまとめられる。
コンパクトに収まる2組のお話が、 . . . 本文を読む
こういう山登り小説が生まれる。しかも、お仕事小説でもある。仕事と趣味がバランスよく収まり、人生の至福がそこにはある、なんて感じか。とても幸せな小説だ。でも、ほんの少し寂しい。それは彼女が40歳で、ひとり、だからか。じゃぁ、結婚して家庭があるのが幸せか、と言われると、そうじゃない、と答える。比較なんか意味はない。幸せは人それぞれが感じるものだ。別れた恋人とパラオなんかで再会するドラマチックにも、な . . . 本文を読む