三池崇史の快進撃はどこまでも続く。さすがに、今回はつまらなかったけど、でも、こういうばかばかしい映画を本気で撮る彼は好き。エンタメとして、よく出来ている。それだけで、充分だ、という人もいるだろう。だが、僕はそういうのは嫌だから、これでは納得しないけど、否定はしない。
いきなり、この不条理のただなかに叩き込まれる。問答無用だ。1時限目。だるまさんが転んだ。スプラッターではない。でも、ただの冗談で . . . 本文を読む
改めまして。高倉健を主人公にしたらいいような小説、と先に書いた。でも、この主人公の中年男はそんなかっこいい存在ではない。家族がばらばらになり、心細い。自分のせいで妻を失った。独立したはずの子供たちは厄介事を抱えて、彼を悩ませる。さらには、家を出てほかの男と再婚した妻が苦しんでいることを知る。
50歳を目前にして、彼の人生は、もしかしたら、今、一番、大事な局面を迎えているのかもしれない。ばらばら . . . 本文を読む
漫才のことは知らない。興味ないというのではなく、そんな時間がないからだ。だから、この映画のモデルになった二人組のことも、名前くらいしか知らなかった。しかも、これは吉本が制作した映画だ。近年量産される安易な「映画もどき」の作品の1本だと思ったから、最初は見る気がしなかった。だが、劇場でたまたま見た予告編が琴線に触れた。なんだか胸いっぱいになる。こういう「難病もの」(のようなもの)は好きではない。だ . . . 本文を読む
とても素敵な映画を見た。こういう作品が、誰にも知られず、ひそかに公開されている。そして、すぐに消えていく。とても残念な話だ。もっとたくさんのお客さんを集めてもいい。きっと、誰が見ても満足する。そんな傑作なのだ。だが、ほとんどの人は知らない。それだけのお話なのだ。
こういう小さな作品は目立たない。主人公の福ちゃんと同じように市井に潜んで、でも、確かに周囲の人たちから感謝されている。この映画に僕た . . . 本文を読む
あまりのそっけないタイトルにそれはないでしょ、と思った。しかも、主人公は長距離夜行バスの運転手だ。それって、ただのまんまじゃん、と思う。でも、この暗く切なく長い小説(450ページほどもある)を読んでいると、だんだんそのシンプルなタイトルに込められた意味が胸に滲みてくる。この男は、30年前の高倉健が演じて欲しい。
先日亡くなられた時、あと1本健さんが映画を撮るなら、何がよかっただろうか、と考えた . . . 本文を読む