2つの中編小説が(『恋』と『友情』)がセットになり、この長編小説を構成する。最後にすべてが明らかになる。実によくできている。ふたりの女の子は、女の子(ここはちゃんと「女性」と言ってもいいし、本来ならそう言うべきなのだが、)というものの二つの側面を象徴する。信じられないくらいにきれいな子と、自分の容姿にコンプレックスを持つ子。極端な形だが、このふたつの間で人は揺れている。自分を美しいと信じたい。でも . . . 本文を読む
この日本語タイトルは、あまりにそのまんまで、単純すぎる。ここには何の含みも、情緒の欠片もない。でも、原題の翻訳である『白昼の花火』では、あまりに情緒的すぎて、この映画のイメージを反対に損ねる。難しいところだ。ここに提示されるイメージの集積がこの作品の魅力だ。説明ではなくそこで提示される映像。その圧倒的なインパクト。描かれる事件や、犯人の造形、トリックなんて、それと較べればどうでもいいことだ。どちら . . . 本文を読む
平田オリザさんが大学生の時に書いた戯曲の再演である。91年の再演の時に大幅にリライトしたヴァージョンでの再演だから、学生時代のものをそのまま、上演してわけではないけど、「17歳の冬、パリで高村光太郎の『雨にうたるるカテドラル』という詩を読んで以来、その心持ちは、変わっていないように思えます。」とパンフにはあるから、ここにある思いは21歳の彼のものであり、17歳の彼でもある。そして、それは過去のもの . . . 本文を読む