この映画を見たのは、これがなんだか『キューポラのある街』を思わせる映画だ、と思ったからだ。あの映画は僕の生涯ベストワン作品である。吉永小百合演じる中学3年生の少女ジュンが、貧しい暮らしの中でも、明るくけなげに生きる姿を描く青春映画の大傑作だ。北朝鮮に帰る朝鮮人少年との別れを描くラストシーンが素晴らしい。どんなに苦しくても、弱音を吐かずにまっすぐに生きる。ひとりの少女と、彼女の周辺の人たちの姿が胸に . . . 本文を読む
2時間半の壮大な妄想劇だ。延々と悪夢が連鎖していく。そこには理由はない。(まぁ、悪夢に理由を求めても詮無い話なのだが。)これはインフル病みの高熱のもたらす混濁した意識のなせる業か。彼の混迷は極まる。時間も空間も自在に飛び越えていく。今がどこで誰がどうしたとか、何がどうしたとか、あんたは誰なのかとか、もう、なにがなんだか。でも、その圧倒的なビジュアルに引き込まれ、スクリーンからは一瞬すら目が離せない . . . 本文を読む
手にしてから1か月近く放置したままだったがようやく重い腰を上げて読み始めた。かなり内容が重そうだから先送りしていた。ほかにも読みたい本は山のようにあるから、ついついそうなる。きっかけがなくては読めない。先に読んでいた妻がもうこれはいいや、というのでそれを合図にして読み始めた。彼女が読んでいた120ページのところまで一気に読んで、「たしかに、これはなぁ」とため息つく。450ページに迫る長編だ。僕も読 . . . 本文を読む