待ちに待った期待の新刊。一昨年の正月、偶然図書館で彼女の『私を月に連れてって』を手にして、衝撃を受けた。こんな凄い作家がいたのか、と。しかも現役高校生! 慌てて彼女の既刊も読んだ。14歳でデビューして毎年1冊ずつ刊行しているなんて、驚きだった。しかもデビュー作『さよなら、田中さん』の時点でもう凄い作品を書いている。もちろん最高傑作は『私を月に連れてって』なのだが、これまでの4冊、いずれも面白い。
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ロベール・ブレッソンの未公開映画が、劇場公開されたので見てきた。僕が初めて見たブレッソンは『白夜』だ。あれはなんとも不思議な映画だった。お話はある。でも、何も起こらない。突き放したような描写。感情移入なんかできない。ただただ冷静に見守るだけ。でも、そこに心惹かれる。静かなスクリーンに釘付けされた。その後、遺作となった『ラルジャン』まで。作品自体は少ないけどリアルタイムですべて見た。といっても3本ほ . . . 本文を読む
こんなにもつらい小説だなんて思いもしない。表紙のかわいいイラストのイメージから描かれるドラマは遠すぎる。だが、あの優しい光景は確かにこの小説世界を象徴する。決して嘘ではない。子供たちは生き生きしているし、主人公であるまだ20代後半になったばかりの若い女先生は一生懸命で素敵だ。だから、この過酷はお話はつらい。
読みながら、「これは無理だ、」と思った。これでは彼女自身が壊れてしまう。でも、逃げるわけ . . . 本文を読む
5月13日の劇場公開にさきがけてネットフリックスでの配信がスタートした。なんだか不思議な話だ。映画は「配信で見るもの」と何の疑いもなく思う人がこれからは大多数になる時代がやってくるのか。時には「劇場でも見ることが可能」なんていう。なんだか寂しい。でも、今回みたいに配信で先行公開されたらついつい見てしまう。
映画館で予告編を見た時から、これは凄いと思った。カメラが彼らを追う。彼らはそこで自由自在に . . . 本文を読む