まるで童話のような語り口だ。ひとりぼっちの6歳、男の子の名前を付けられた女の子のお話。優の母親は家を出ていった。母に捨てられて、父親からも捨てられる。魔女のような伯母のもとに引き取られる。
伯母のもとで育つ。小学校から中学、そして高校と。彼女は強くなりたかった。だから相撲を始めた。女なのに相撲? そんな偏見はここにはない。伯母は自由にさせてくれる。母は何もしてくれなかったのに。父 . . . 本文を読む
認知症を扱ったドキュメンタリーを『83歳のスパイ』を作ったマイテ・アルベルディ監督が手掛けるということだけで充分期待できる。最初のシーンから驚く。ピントが合ってない。ベッドでのふたりの会話が描かれるのだが、ピンぼけのまましばらく続く。もちろんこれは据え置きカメラで仕方ないけど、少し見ていてつらい。認知症の夫は妻のことが誰なのかわからない。彼女は、か「私はあなたの妻よ、」と言うけど。そんな場面から始 . . . 本文を読む
石井聰亙と永瀬正敏が27年前に作っていた作品が、ようやく完成した。これはドイツで準備してクランクイン前日に撮影がいきなり中止になった作品だ。まさかの出来事である。
それから27年。その間石井は名前を岳龍と変えている。紆余曲折があり、仕切り直してようやく今回の完成に漕ぎ着けた。安部公房の原作を現代に置き換えるのではなく、当時のまま作る。だけどそれは原作に忠実にするということではない。原作を大事にし . . . 本文を読む
これはタイトル通り探偵ものミステリーである。だけど小路幸也だからタッチは軽くて読みやすい。このシリーズはこれで3作目だけど、少し模様替えしているから、気がつかなかった。たまたま図書館の新刊コーナーにあったから手にした。
磯貝は失踪した姉を捜して欲しいという依頼を受けて、調査をするが、なかなか手掛かりは見つからない、というよくあるパターン。ハードボイルドではなくハートボイルド(って . . . 本文を読む