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コロナ禍ど真ん中の2020年春から秋をスタートとして始まる帰国子女中学生たちの日常を描く4話からなる短編連作スタイルの長編小説。
玲奈ちゃんを主人公にしたなかよし3人。コロナをものともせずに大変な時代を生きる。まず、冒頭のタイトル作のスピード感に圧倒される。その後を描く2作目以降も同じだ。圧倒的な熱量で元気な中学生の日々が描かれる。1作目が中2で、2作目は中3。コロナ元年の2020年から21年へと時間が流れる。
最後の4作目では高1になり、仲良し3人組は別々の高校に通い、別々の道を歩んでいる。だけど3人の友情は変わらない。玲奈はバスケを辞めてバンド活動を始める。初めての文化祭のステージまでが描かれる。
これはよくある青春小説なのだが、コロナの2020年から2022年を背景にしたことで、今までにないドラマになった。彼女たちが抱える家庭事情が複雑(というか、普通じゃない)でそんな中、正しいことって何だ、ということを考えさせられる。普通なんて誰が決めた? 玲奈の母親は普通じゃないけど、彼女の中では筋が通っている。ただ中2の女子(で、なくても)にはなかなか受け止めきれないけど。
家族、友人、学校。彼女たちはこの狭い世界からやがて出て行くけど、今はまだここで生きる。ここでやれることを全力投球。こんな小説を金原ひとみが書くなんて、思いもしなかった。