岡崎琢磨『さよなら僕らのスツールハウス』と『フィフス・ウエイブ』
こういうゆる~い小説が、それなりに人気なのは、きっと読みやすいからなのだろう。もう少し読み手の心に突き刺さる「傷み・のようなもの」を感じさせるように書いたっていいではないか、とは思う。わざわざ本を手にして読むのだから、あまりに内容が薄すぎて時間のムダだと思ってしまう。もちろんこの手のライトノベルにそんなものを期待するほうがヤボなのかもしれないけど、小路幸也(この2週間で彼の新作を2作読んだ。『東京カウガール』と『花歌はうたう』だ。要するにこの2作のレベルならまぁ、納得するといいうこと)くらいのレベルに達していてくれたならラノベでも楽しめるのだが、それ以下のものは、さすがに苦しい。たまたま手にしてしまったし、読み始めた以上はラストまで読んだけど。
シェアハウスを舞台にしてそこで暮らした6人の男女の8年後の話。だと、思ったらそうではなく、それは第1話。短編連作だった。1話はなかなか面白かったが、2話のシャワー事件の話が長すぎるし、つまらないから、そこで急速に読む気をなくした。オチのエピソードも、終わらせるためのもの、というレベルでしかない。
「あの頃」、という感傷的なお話は嫌いではないけど、ミステリ仕立てというには安易だし、底が浅い。
同じ日に、たまたま同じようなレベルのラノベ級映画を見た。クロエ・グレース・モレガン主演の『フィフス・ウエイブ』だ。昨年くらいに公開されたSF映画。これもつらかった。最初はそれなりに見れたのだが、後半、作品世界が狭くなり、しかも話が中途半端なまま終わったときにはっすがに腹が立った。僕の2時間を返せ、と思った。(レンタル代は映画の半券で借りたから無料なので)
クロエ主演なので、『キックアス』のシリアスSF版くらいのものか、と思ったのだが、これはないわぁ。ある日突然何の予告もなく世界が終わる。その時、どう生きるのかというサバイバル映画で、そう言えばこれは『サバイバル・ファミリー』の一人版だ。
『インディペンデンス・ディ』のジュブナイル版でもある。敵の描き方はあまりに安易で、これでは『GODZILLA 怪獣惑星』と同じレベルではないか。いずれにしても、設定を生かすことなく、安易なストーリーの中に落とし込むのはやめた方がいい。低予算映画であってもシチュエーションをリアルに描くことで成功した映画や小説って、いっぱいあると思うのだ。要は見せる姿勢の問題だ。お金や時間は二の次だろう(特に小説は)
侵略ものは枚挙に暇がない。どれだけ新しい視点を持つかが成否のポイントだ。これはあくまでもクロエ主演のアイドル映画だから、彼女をチャーミングに撮り、納得のいく展開に出来たなら、取りあえずは及第点をあげられるというハードルの低さ。なのに、要となる三角関係のラブストーリー(なんと、そこがポイントって!)を中途半端にしてしまい失敗する。なんとも、トホホな映画なのだ。