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映画・演劇のレビュー

『虹泥棒 レインボウ・シーフ』

2017-11-23 23:00:08 | 映画

 

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の90年作品。日本では未公開になっていたが、昨年26年の歳月を経て、ようやく公開された。劇場では見逃したのでDVDになったので見た。寡作の彼の貴重な1作品なので、楽しみにしてみたのだが、なんだかなぁ、の出来で、これではお蔵入りするのも致し方ないか、と思う。つまらないわけでないけど、何がしたいのかわからないし、いつもの彼の孕む狂気が感じられない。

 

バカバカしさは健在だけど、それだけでは、ただのバカでしかない。ピーター・オトゥールとオマー・シャリフの『アラビアのロレンス』コンビが主演するなんていうメジャー仕立てのキャスティングなのに、映画自体はなんだか、スケールも小さい。クライマックスの洪水のシーンはなかなかの迫力なのだけど、それが何なのか、よくわからない。遺産相続を巡るドタバタでもないし。

 

冒頭のクリストファー・リーによるバカ騒ぎのシーンは面白かったのに、本題に入るとお話が萎んでしまうのは、どうしたものか。ストーリー自体がつまらないし、意図不明の台本で、ショックだった。やはり『エルトポ』と『ホーリーマウンテン』という2本が彼のキャリアだったのか。もうすぐ新作が公開されるけどあまり期待できない。

 

チェ・ミンシク主演、大杉漣共演の『隻眼の虎』も見たのだが、どうしてこんな映画を作ったのかと頭を抱えるような作品だった。しかも、これが2時間19分もある大作なのだ。韓国ノワールの傑作『新しき世界』の監督作品なのに、どうしてこんなことになったのだろうか。1925年、日本統治下の朝鮮で、幻の虎を捕まえるための戦いが描かれるのだが、それがどうした、というしかないお話。話自体がスカスカで、これもまた企画意図すら見えてこない作品。僕がアホだからなのか、と自分が心配になるほど、ガッカリした。優れた映画を作ってきた監督なのに、なぜこんな失敗をするのか。まぁ、人間のすることだから仕方ないし、いろんな事情もあろうが、なんか2本連続で外すと、さすがにショックだ。


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