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映画・演劇のレビュー

『聖☆おにいさん』

2013-05-15 20:37:29 | 映画
こんなアニメ映画を見る気はさらさらなかったのだが、中途半端に時間が出来てしまって、時間つぶしのため、映画を見るはめになったのだが、この映画しかそこにハマる映画がなかったのだ。喫茶店で読書という選択もあったが、梅田で2時間は辛いので、映画にした。そんな消極的な理由で見たのだが、期待せずに見たから、それなりには楽しむことが出来たかもしれない。まぁ大した映画ではない。90分というお手頃サイズで映画とは言えないくらいにささやかだ。でも映画だから何が何でもスケールアップなんて考えない姿勢がよい。それどころか、スケール・ダウンこそ望んだみたいなのだ。

予告編を見たときにそのバカバカしさがなんだか楽しそうだと思った。だから、少し気にはなっていた。天界からイエスとブッダがバカンスで地上にやってくる。しかも、なぜか東京の立川。そこでアパートを借りて、1年間を過ごすという話だ。なかよしの2人は、ちょっと周囲から浮いている。なんだか見た感じホモっぽいし、仕事もしていないでフラフラしているから不思議がられている。彼らはバカンスに来ているのだから働かないのは当然だが、周囲の人たちにしてみればそうは理解してもらえない。ただの日常の風景の中で、2人は異常に見えるからだ。

原作漫画はとても人気のあるものらしい。映画はハイテンションのギャグ漫画ではなく、とてものんびりした話で、僕は結構好き。特別な事件や出来事はない。それどころか、何もないことを大切にしているようだ。近隣の住人ともちょっと距離はある。(これは親しくなり過ぎると、なんだか嘘くさくなるから、これくらいがいい)へんな外人だが、別に悪い人ではなさそうだ、という感じ。

2人はエキゾチック・ジャパン(なんだか懐かしいキャッチフレーズ)を楽しむ。贅沢はしないし、というか出来ないし、でも、そんな庶民的な感覚こそを大事にしている。東京ディズニーランド(もどき)に行ったり、近所のスーパーで買い物したり、散歩を楽しみ、四季を満喫する。春から、冬まで。桜のころも、夏の暑さも、ほんの少しの雪も。夏祭り、クリスマス、お正月も、ちゃんとイベントを経験して、ここで楽しく過ごす。

この何でもなさをもっと愛おしいものとして描けたら今以上に素敵な映画になったかもしれない。だが、残念ながらあまりにあっさりしすぎていて、映画としては物足りない。些細なことへのこだわりが欲しい。


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